創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

コピー作法

[効果的なコピー作法](11-了)

これで、40数年前に書いた『効果的なコピー作法』のすべての章をアップしました。[第12章 銘柄の区別]は、いま流行りの気どり語でいうと「ブランディング」でしょうか。 デレビ・コマーシャルは、ほかの人のほうが、かゆいところに、手がとどくとおもって…

[効果的なコピー作法](11-3)

第11章コピーの信頼(3) 資料庫を数ヶ月にわたり、思いついては捜したのは、きょう引例したこの広告と、明日お見せするカラーの現物です。2点とも、カラーとモノクロでは、衝撃力・説得力が格段にちがいます。 いくら捜してもみあたらないので---というこ…

[効果的なコピー作法](11-2)

第11章コピーの信頼(2) >>『効果的なコピー作法』目次 猫を箱から出したのは、だれか? 今までの段ボール箱の内面は、磨き砂のようなものでした。無数の小さなツメが、入れたものをひっかきました。冷蔵庫や家具は、ときとして擦り傷をつけられて届けられ…

[効果的なコピー作法](11-1)

46年前の1963年に上梓した『効果的なコピー作法』(誠文堂新光社)を、Web上で復元しています。積み残していたこの[第11章 コピーの信頼]で、すべての章をアップし終えたことになります。 [はじめに]にも記していますが、当時は誠文堂新光社か…

[効果的なコピー作法](8−了)

第8章 コピーのユーモア (4) 地下鉄駅の壁面ポスター (ニューヨークの地下鉄は落書きの花ざかりだった時期がありました) メンズ・ショップ 同上オーバックスではそれだけしか払わなかったって、ほんとなの? 同上 「ぼく、思うんだけどさ、学校って、 …

[効果的なコピー作法](8−4)

第8章 コピーのユーモア (3) 木曜日に、オーバックスでご覧ください! オーバックス史上最大の輸入コレクション! パリ、ロンドン、イタリー、マドリッドからの最高ファッションのすべて。デザイナーさえ驚いた完全なコピー---時間をかけてできたホンモ…

[効果的なコピー作法](8−3)

第8章 コピーのユーモア (3) レクチャーの前の雑談と思ってください。この章の(2)にカートゥーン作家のサヴィニャックに触れて、広告する製品とあまり結びつかないユーモア---とつい、言ってしましました。 頭の隅に、トミ・アンゲラーによる『ニョー…

[効果的なコピー作法](8−2)

第8章 コピーのユーモア(2) 「トナカイが飛べるなんて柾拠はどこにも ないんだし。だいたい、ひとりの人間が、 一夜のうちに世界中の煙突にいけるなんて話、 バカげてると思うな」 何でもわかってるつもりの人たちもいます! でもね、ぼっちゃん、サンタ…

[効果的なコピー作法](8-1)

早書きの例の本---と自嘲している、『効果的なコピー作法』(誠文堂新光社 1963.12.15)に積み残したままになっていた章の落ち穂拾い---いや、遠慮は美徳のこの国では「残りものに福あり」ともいいます。 関西の家電メーカーの宣伝部から、日本デザインセン…

[効果的なコピー作法](12-了)

後送りしたままになっている、第8章 コピーのユーモア と、第11章 コピーの信頼 は、近いうちにアップして完結させましょう。 >>[効果的なコピー作法]目次 第12章 銘柄の区別(了) 「きれいで無邪気な、 水のお嬢さん なんという自信屋さんだろう」 「…

[効果的なコピー作法](12-3)

2年以上、1日も休まずに、つづけています。資料はあるのですが、ネットにあげる技法に未熟で、多くの方に教わりながらつづけてきました。atsushi さん、fuku33 さん、einen さん---。 たとえば、きょうの、ツイストやオリーブのセリフにも色をつけたいので…

[効果的なコピー作法](12-2)

今朝、東京は夜来から音をたてた強風で、しかも、雨。2時半から引例図版の、トマトやオレンジ、オニオンのセリフの配置に四苦八苦。でも、定例の朝の早足ウォーキング(冬場は6時半〜7時 6km/毎時)が雨のために欠けるので、じっくりと取り組めました。…

[効果的なコピー作法](12-1)

第11章 コピーの信頼 をあとまわしにして、第12章を先にしたのは、この章に引いた広告のコピーライター---ジュリアン・ケーニグ氏(写真)のスピーチを、この4,5日あとにもってきたかったからです。 しかし、躊躇もしました。スクラップしておいたはずの広告が…

[効果的なコピー作法](10-了)

ようやく、12章中の9章をアップしおえました。 2008年9月23日に「はじめに」を掲示、つづいて第1章をアップしています。月刊誌『ブレーン』に連載したときには、1章ずつを12ヶ月にわたった発表しました。当ブログでは、約半年間で9章です。 46年前に単行本化…

[効果的なコピー作法](10-4)

この項でも、M・デボー準教授の”Effective Advertising Copy"からの「長いコピーが許されるケース」のリストを引用していますが、これを輪読していた20代の半ばの生意気ざかりのころは、このリストに「学者さんというのは、よくもまあ、わかりきったことを…

[効果的なコピー作法](10-3)

ホームページにすべきことを、ブログでやっています。 ブログは「日記」と思いこまれています。日記は、書いた当人以外は、まず、読み返しません。これは、それに逆らって、いつでも読み返す---あるいは、今日、このブログの存在に気づいたら、これまでのコ…

[効果的なコピー作法](10-2)

アート・コピー会談(セッション)について、繰り返し、繰り返し----いまPDFしていて自分でもくどいと思うし、日本の広告クリエイティブ仲間ではすでに常識になっているのに----とお思いでしょうが、46年前、ぼくのこのシリーズが出るまで、日本ではアートディ…

[効果的なコピー作法](10-1)

この文章を発表したのは1963年---46年ほど前です。そのころ、米国の広告クリエイティブ界にマグネチュード8.0級の激震が起きていました。その激震の名は"ungraphic"。 経済界 では、「米国がクシャミをすると日本は風邪をひく」という比喩が常識めいて言われ…

[効果的なコピー作法](9-了)

彼が利益を産む組織に属していれば、他との違いを針小棒大に言ってみることもありましょう。PKL社も創業2,3年目の発言には元気のいい言葉が多かったのです。ロイス氏とケーニグ氏が15分個室にこもれば「広告ができている」と豪語したのは、DDBの30分単位のア…

[効果的なコピー作法](9-3)

クリエイティビティについて、いろんな分野で活躍していらっしゃる方々と語りあいたいと、このブログを立ち上げて2年---ようやく緒についたようです。 システム建築家の方、ふしぎな写真家、IT設計家、経営学の先生、広告企画者、コピーライターなどなど…

[効果的なコピー作法](9-2)

著作のカヴァーのデザインは、売れ行きにも多少は影響しましょうが、それよりも、読み手に永く飽きられないことのほうが重要です。できたら、本棚で額縁ふうに飾ってほしい。だから、イラストレイション(挿絵・写真など)の選定にはすこぶる気を遣います。迷…

[効果的なコピー作法](9-1)

1963年----46年前に書いたものです。 当時、PKL社の株式公開で、マジソン街の有能なクリエイターたちは(あるいは単なる広告人も)、錬金術ともいえるブティックの開店を、たいてい、夢見ていました。 そのことにはさして言及していません。こちらはコピー作法…

[効果的なコピー作法](6-了)

M.デボー準教授 ”Effective Advertising Copy”輪読会で指導を受けていた50数年前、「学者というのは、なんとも回りくどい考え方をするものだなあ」と嘆息していました。コピーライターには、具体的な用語で語りかける習癖が身についてますからね。 その後、…

[効果的なコピー作法](6-4)

1960年ごろ、ニューヨークを起点として、[広告クリエイティブ革命]ともいえる変動の波が起きていました。その実情を日本へ報らせるには、日本の広告例を引くわけにはいかなかったのです。革命の現場から例をつかんでくるしかなかったのです。それがた…

[効果的なコピー作法](6-3)

最初に言っておくのを忘れていました。『ニューヨーク・タイムズ』紙からの引例の広告は、日本の新聞と同サイズで、すべて1ページ広告です。したがって、一昨日の「スーツを買おうとなさるとき、39番サイズを、あなたは何着ぐらい選びだせますか?」にして…

[効果的なコピー作法](6-2)

金融危機時のウォール街人士でなく、わが世の春時代のWall streetersを思い浮かべてください。好不況はいつの時代にもあります。しかし、ニューヨーク・アートディレクターズ・クラブが「コンセプト・アド」一辺倒になったのは1960年代前半でした。VWビー…

[効果的なコピー作法](6-1)

ぼくは学校を出てすぐに、関西の電機メーカーの宣伝部に配属されました。家電店向けのPR誌の編集をしばらく担当、やがてコピーライター・トレイニーを兼ねるようになりました。会社に上申して、コピー・ライティングの勉強をすることに。 講師は、当時『プリ…

[効果的なコピー作法](5-了)

容量オーヴアーで省略した【例21】の原文を掲げます。あと、容量が許すだけの訳文を再録しましょう。いつもとは逆ですね。 第5章 コピーの流れ(補2) Why are people buying Volkswagens faster than they can be made? Here are some of the reasons: (1) Ai…

[効果的なコピー作法](5-4)

この【例23】と(5-1)に引用した【例21】ではコピーライターが替わっています。掲載日も約9ヶ月違い。【例21】のほうは1959年8月17日の『ライフ』誌、もう一方は翌年3月14日の同誌。ライターはキャンペーン開始時のがケーニグ氏。同氏が退社したので、後のほ…

[効果的なコピー作法](5-3)

[:W80]米国VW社が本格的に活動を始めようと決意したのは1959年の春です。経営陣も一新。広告代理店にはその実績によってDDBを選びました。社長のバーンバックさんとともにスタッフが(当時)の西ドイツ、ウルフスブルク工場へ出向き、数日間にわたるオリエン…