創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

[効果的なコピー作法](8−4)


第8章 コピーのユーモア (3)

木曜日に、オーバックスでご覧ください!


オーバックス史上最大の輸入コレクション! パリ、ロンドン、イタリー、マドリッドからの最高ファッションのすべて。デザイナーさえ驚いた完全なコピー---時間をかけてできたホンモノ! その仕上がりのすばらしさ、すてきなお値段をご覧になれば、待っただけのことはあると、きっと思ってくださるハズ! 木曜日の1時、当店のすてきなファッション・ショーでご覧ください。

パリ、オーバックスを侵略。 (抄訳)


でも、それも3月18日木曜日までのことです。4日間というのは、そう長いあいだではありませんよ。

1965.3.14 ニューヨーク・タイムズ

ギミックとガジット(8−3)


「ユーモアのある広告」を誤解されないように、「ギミック」と「ガジット」のテクニックについて触れておきましょう。
この章で述べている「ユーモア」と、この2つとは別ものです。


広告用語上での「ギミック」とは、ふつう、小器用さやヒネリ、気を散らすアート、その他トリッキーなものを指します。
セールス・プロモーションのための「スタンツ」も「ギミック」に属しますが、これはダイレクト・メールの分野ではもっとも有効とさえいわれています。

「ガジット」は、広告の内容とは別の、外面的な「しかけ」を指します。ある洋酒会社がデトロイトのバー経営者向けのダイレクト・メール・キャンペーンにギミックとガジットの郵便物を使いました。プラスチックで成型したウィッシュ・ボーン(占いに用いる鳥の胸骨)やハンマーを毎日送ったのです。
この場合のウイッシュ・ボーンが「ガジット」です。
こうした計画が「ギミック」です。
ギミックは、屋外ポスターに用いられると、よく見られ、よく記憶されるという点で、りっはな点数をかせぐことが証明されています。


また、テレビ・コマーシャルでも、用い方しだいでは有効でしょう。


いずれにしても、「ギミック」も「ガジット」も、読者や視聴者の興味を製品自体から導きだされたものとは別のところからひきつけようとするのです。
「ユーモアのある広告」は、読者の興味を製品自体から導き出されたものでひきつけ、その興味を持続さすためにユーモアをきかすテクニックです。


>>「ライターの年齢」につづく