創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Leonard Sirowitz "My Graphic Concept"(1)

チューリッヒ在住の未知のD・イムセン氏から、かぶと虫の広告---「小さいことが理想」と「レモン」はいいね、との英文のメールがきました。お返しに、かぶと虫の広告などについてチューリッヒで講演をしたレン・シローイッツ氏のスピーチを英文を優先し、2…

(455)《クリチック》をつけよ

8月28日のコメント欄に、umeume13 さんが、 「本日の日経に出ておりましたが、クロスオーバー・イレブンのCDボックスが発売されます。当時の音楽はもちろんナレーションも含め当時の番組構成が生かされているようです」こんなレスにつけました。>umeume13…

(456)『トミ・アンゲラー『フォーニコン』

『創』という新鋭な総合誌が、かつて、あった。創刊号は、1971年の11月号。 気がきいていて野心的な活字人間なら、世の中には新奇なこともあるんだよ---というようなことを、雑誌をつくって教えてやろう---と考えないでもない。多摩美術大学の大渕武美教…

(455)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第11回)

『魔術師の弟子』 (下) 昨日の、つづき 魔術師先生は、ライン川を見おろす小山の上の大きな城に住んでいたのでしたね。 広い城の掃除は、弟子のフンボルト少年の仕事でした。魔法を教えてもらう授業料がわりに掃除をいいつけられていたのです。掃除といって…

(454)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第10回)

ゲーテに、『魔術師の弟子』という譚詩(ものがたりし)があります。 知り合ったシラーに刺戟されて、民謡をもとにしてつくった一連の詩の中の一篇です。 岩波文庫『ゲーテ詩集』(竹山道雄訳)第2巻では、こんなふうに始まっています。 魔法秘行(ひこう)の…

(453)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第9回)

『帽子』(下) ベニートは帽子に命じました。 「つかまえろ」 シルクハットは空高くのぼって、ムラサキ・ゴシキ鳥をさっとさらうと、ベニートのはげ頭に帰ってきました。 ペニートは動物園長にいったものです。 「園長閣下。ただいまより、このぼうしから白バ…

(452)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第8回)

ストラスブール。パリからまっすぐ東へ約460kmご走った地点にあり、バラン県都。 北緯48度35´。 東経7度45´。人口約25万人。 大きな地図で見る 初めてパリに滞在した45年前---1966年11月、ストラスブールヘ行くという私に、友達のベニ・ボハリバン…

(451)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第7回)

昨日のつづき--- 『ラシーヌおじさんとふしぎな動物』(下) "THE BEAST OF MONSIEUR RACINE" パリの科学アカデミーからは速達で返事がきました。 珍獣ともども、直ちにパリヘ出頭されたし……とありました。 在野の研究者の発見を認めたがらないのは、いずこの…

(450)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第6回)

トミの絵本---『ザ・ムーンマン』、『へびのクリクター』、『ゼラルドと人喰い 鬼』ときて、第4話は『ムッシュウ・ラシーヌと珍獣』。 学校の夏休みが終わるまで、つづけます。お子さん、お孫さんとごいっしょにお楽しみいただき、彼(彼女)らの感想をお聞か…

(449)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第5回)

『ゼラルダと人喰い鬼』(下) 第2景……ゼラルダって娘の登場です。 人喰い鬼の城から離れた谷間の、森のまん中あたり、木の生えていない平地に、ひとりの農夫とひとり娘のゼラルダが住んでいました。 父ひとり娘ひとりの生活です。 母親がいなくなったテン…

(448)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第4回)

桃太郎は、鬼ヶ島へ鬼退治に---- ゼラルダは、腕によりをかけて料理をつくり、鬼の心をとろけさせてしまう。 戦争か、外交か---なんて、むつかしく考えない。 『 孫子』だったかに、すくなくとも相手を「敵にはまわさない」って外交努力が書かれていましたな…

(447)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第3回)

まるで、淡彩のような色づかいです。というのは、ストラスブールからニューヨークへ転がりこんできた、自信ありげな青年だけど、出版社としては、冒険すぎることはできない、というので、墨のほかには、グリーンと赤づかいという制限つきで描かせたのが、こ…

(447)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第3回)

パスカルは、フランス人気質として、繊細さと明析さ、それに合理性をあげています。 しかし、これとはまるで違う、ゴーロア気質というのもあります。 紀元前五世紀どろからアルザス地方に住みついたゴーロア人のそれを受けついだものです。 ジュリアス・シー…

(446)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第2回)

30年ほど前に、NHK−FMで深夜に放送したスクリプトの中から、トミ・アンゲラーの創作童話についてのおしゃべりをアレンジして本にしたものです。 絵は、トミの了解のもとにモノクロで収録しましたが、ここではせっかくなのでカラーで。 トミの絵本は、…

(445)『トミ・アンゲラー絵本の世界』(第1回)

まえがきに代えて、[口上]としたのには、別に意味があってのことではありません。若いころのテライだったのです。奥付をみると、1981年10月1日となっています(版元は、誠文堂新光社---あのころ、ここからずいぶん出していただきました)。お読みい…

Tomi Ungerer:The Artist and His Background (10)

advertising for "The Village VOICE" "expect the unexpected" chuukyuu : What is the color you like best? Tomi : Black, definitely. chuukyuu : What flower you like best? Tomi : I like trees better than flowers. Leaves and branches. I'm not s…

[6分間の道草](444)トミ・アンゲラーとの対話(了)

きのう、[下書き]からのアップの順番を間違えて、1部の方にこっちをご覧いただいてしまいました。 順序の間違いに気づいたのが昼すぎで、あわてて、かつ、悩みながら、順番通りにする修正方法をおもいつき、正しい順序に訂正しました。ゴメンナサイ。下書…

(443)トミ・アンゲラーとの対話(10)

CBSダイアリー 42丁目西220番地(つづき)------- ● トミとの対話は、快調なテンポではかどった。 トミは、ちょっとだるいような声の調子で、よどみなく質問に答えてくれた。 見方によっては、口から出まかせ、頭に浮かぶことを、パッパッと反射的に言葉にして…

Tomi Ungerer:The Artist and His Background (9)

Creative playground equipment for kids for Redbook magazine After our amusement spent its natural course, Tomi searched through the pile of debris around the room, and like a magician; pulled bits and pieces of objets d'art out for my insp…

[6分間の道草](442)トミ・アンゲラーとの対話(9)

[子どもたちのための創作遊具]は、『レッド・ブック』誌の記事用に特別に創案したもののようです。依頼したほうも慧眼ですが、創ったトミも立派です。 子どもたちのための創作遊具 42丁目西220番地(つづき)------- それからトミは、アトリエのあちこちから…

Tomi Ungerer:The Artist and His Background (8)

220 WEST 42ND STREET I first called on Tomi at his New York apartment. I remember that it was 10: 30 am on November 12, 1966. He had just returned from Montreal, Canada. I met him in his atelier at 20 West 42nd Street. I arrived at his apa…

(441)トミ・アンゲラーとの対話(8)

2009年8月号『芸術新潮』がトミ・ウンゲラー特集をしています。 アンゲラーは、彼が世にでた英語圏読み。ウンゲラーは、母国読み。 米国時代の彼からアンゲラーと教わったので、ここではアンゲラーで通します。 42丁目西220番地------- 動物見立て 偉大芸術…

Tomi Ungerer:The Artist and His Background (7)

FLASHING EYES AND INDOMITABLE WILL Chairman of the Board The year was 1957, and Tomi, now 25, found his way to New York, in the company of an American woman he had met in Strasbourg. "When I came to New York, I was very sick and I nearly c…

(440)トミ・アンゲラーとの対話(7)

輝く眸と強い意志と------- しかし、わしは、もっと先まで行ってきた 月の世界のむこうがわから、 いましがた,帰ったばかりだぜ。 テネシー・ウィリアムズ「やけたトタン屋根の上の猫」より 重役会 Chairman of the Board ● 1956年。25歳。 トミは、ストラスブ…

Tomi Ungerer:The Artist and His Background (6)

In 1950 Tomi took off on a motor-scooter trip to England. He was only eighteen at the time, and knew a little English he had picked up at the lycee. As far as Tomi's language ability goes, he himself said, "I've managed to learn English we…

(441)トミ・アンゲラーとの対話(6)

考える早さで描く(つづき)------ 1950年。 18歳のトミは、モータースクーターによる英国旅行を試みる。コルマールの中学で習っただけの英語力だけを供にして---。 トミの語学力について、彼自身は「英語だけがものになった。童話なんかも英語で書く」と言って…

Tomi Ungerer:The Artist and His Background (5)

Tomi Ungerer: The Artist and His Background by chuukyuu (1971) Art of Montage Part2 Surely there are a number of people in this world naturally endowed with the makings of a painter, boys blessed with innate ingenuity. Still, I have no mea…

(440)トミ・アンゲラーとの対話(5)

コピーライターの能力で、もっとも大切なのは、質問です。 生産ラインを見たあと、技術者やラインで働いている人たちへとの会話、マーケ部や販売畑の人たちへの質問、経営陣に理念を訊きただす---的を射た質問の集積から、エキスをしぼりだします。 トミの取…

Tomi Ungerer:The Artist and His Background (4)

Tomi Ungerer: The Artist and His Background by chuukyuu (1971) DRAWING AT THE SPEED OF THOUGHT---------- Iron-Owl Tomi and his mother returne to her parents' home in Strasbourg. Tomi was fifteen years old at the time, and his mother wanted…

(439)トミ・アンゲラーとの対話(4)

考える早さで描く------ あなたは言ってみれば病気なのよ・・・・・・ いつももっとなにかを知りたいという望みで卜・・・・・・ ルイ=フェルディナン・セリーヌ「夜の果ての旅」より アイロンのふくろう Iron-Owl ● 母は、トミに家業である天文時計工場を継がせる、ための…