創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

03-11 90%は天国のDDB

そこで、DDBでは、自由がどのように与えられているかを調べてみましょう。 ローゼンフェルド氏に、以前、プリンターズ・インク誌の記者が、こう尋ねたことがあります。「DDBで仕事をするのはどんな具合ですか?」 ローゼンフェルド氏の答はこうでした。 「90…

02-11 産業界におけるペア・チームの採用

リー氏は、ペア・チームを「男と女のような関係」と表現していますが、ソニー厚木工場の小林茂工場長も、新しい組織づくりの最小単位としてのペア・システムを採用されて成功された人ですが、 「チームとしての組織づくりの重要なポイントになるのが、ペア・…

01-11 DDBの家庭的な雰囲気

なぜ、ランド氏かゲイジ氏かに、これほどまでにこだわるかといいますと、企業の社風を決める重大な要素の一つに、上層部の人的構成があげられるからです。 普通、私たちは、「社風」とか「社格」とかといった言葉で企業文化を言い表しますが、心理学者の宮城…

ご紹介感謝。

Tさんから、『metabolism』(ご紹介いただいた記事はこちら)を見るようにとのメールが入りました。 1カ月前に立ち上げたこの[『創造と環境』38年前&いま]の意図を、正確にとらえてご紹介いただいています。 梅田望夫さん『ウェブ進化論』(ちくま新書)…

(11)ロバート・レブンソン(追補)

ボブ(ロバート)・レブンソン氏が「話しあいの時間が足りなくってごめんなさい。社内報『DDBニュース』(1968年6月)に載ったインタヴューの記録があるので参考にしてください」と渡してくれた、サンドラ・カール編集長との一問一答。『DDBドキュメント』(…

(10)ロバート・レブンソンのインタヴュー(その3)

〜『みごとなコピーライター』より <<ロバート・レブンソンのインタヴュー(その2) ◆クリエイティブ・エイジェンシーの将来 chuukyuu 「米国におけるクリエイティブ・エイジェンシーと、その将来についてどうお考えですか?」 レブンソン「いわゆるクリエ…

An interview with Robert Levenson(3)

Robert Levenson Doyle Dane Bernbach, inc. Vice President, Management Creative Supervisor <

03-10 コピーを短く!

バーンバック氏と共にDDBを創立したロビンソン夫人については、すでに幾度か紹介しましたが、彼女は同じ質問に対して、少し違った答をしました。「『コピーを短く!』です。そもそも、バーンバックさんといっしょに仕事を始めたころは、全くの新人ライターだ…

02-10 ペア・チームの中のパーソナリティー

また、ペア・チームがうまく行かなかった場合はどうするのでしょう? 幹部コピーライターのレブンソン氏に尋ねてみました。 chuukyuu「あなたは、これまでにたくさんのアートディレクターと組んで仕事をなさったと思いますが、正直なところ、アートディレク…

01-10 選ばれたのは、ゲイジだった

この点に関する資料は、全くといっていいほど残っていないので、私の推測を話す以外に方法がありません。 (1)バーンバック氏が創業しようとしていたのは、全く新しいタイプの広告代理店であった。 (2)したがって、彼の意志を履行してくれるアーティスト…

日本経済新聞社

松下武史 クリエイティブ・ディレクター/コピーライター 1983年AET入社、1995年独立後7年、株式会社CPUを設立。現在は再びフリーに戻りクリエイティブ・ディレクターとして活躍する傍ら、若手クリエイターや営業職および宣伝担当向けの研修セミナーでの講義…

03-09いっていることを信じさせよ

幹部コピーライターの(チャック)コルイ氏は、 「バーンバック氏が私に話してくれた言葉で、最も印象に残っており、そして助けとなっているのは、『君がいっていることを人に信じさせなければならない』という言葉です。 これは、私たちがつくったものを彼…

02-09ペア・チームの任命

しかし、問題が残らないわけではありません。 概念的にはこのペア・チームプレーが理解できたとしても、ペア・チームを動かすいろんな条件が、それぞれのチーム、もっと大きくいえば、それぞれの企業で、みんな違うわけです。 DDBでは、このペア・チーム…

01-09 考える友人…ポール・ランド

それにもかかわらず、この時代に、バーンバック氏は一人の親友を得、彼から多くのことを学んでいるのです。 その親友の名は、(ポール)ランド。このデザイナーについては、亀倉雄策師による『ポール・ランド作品集』(造型社刊)に詳しいのでそちらに譲って…

(9)ロバート・レブンソンのインタヴュー(その2)

〜『みごとなコピーライター』より <<ロバート・レブンソンのインタヴュー(その1) VWのほかにはELALとモービルが好き chuukyuu「フォルクスワーゲンのほかに、お気に入りの広告は?」 レブンソン「ずいぶんたくさん、いろんなアカウントを扱ってきました…

An interview with Robert Levenson(2)

Robert Levenson Doyle Dane Bernbach, inc. Vice President, Management Creative Supervisor <

(8)ロバート・レブンソンのインタヴュー(その1)

〜『みごとなコピーライター』より フォルクスワーゲンのコピーライター 数年前(1963)、私は、『フォルクスワーゲンの広告キャンペーン』という風変わりな本をつくりました。 それ以来、VWの広告のコピーライターであるボブ・レブンソン氏と話しあってみたい…

An interview with Robert Levenson(1)

Robert Levenson Doyle Dane Bernbach, inc. Vice President, Management Creative Supervisor interview by chuukyuu Q; When did you come to write copy for Volkswagen? Levenson; Well, I came to Doyle Dane Bernbach in 1959. We got the account in …

03-08 問題の核心を使え

1968年の秋までDDBに在社して、ソニーやジャマイカ観光局の広告をつくっていた幹部コピーライターの(ロン)ローゼンフェルド氏にも聞いてみました。 「問題の核心を使え…ということですね。利口ぶった態度を取らない──問題というものを一つだけ切り離して考…

02-08 アメリカにおけるペア・チーム

「アート・ディレクション」誌1965年12月号は、「アートディレクター=コピーライターのチームワークは、はたして効果をあげているだろうか?」と題するリンダ・ピバーのルポを載せています。その大要は歴史的に見て、コピーライターは、クリエイティブ部門に…

01-08 広告の将来についての情熱と理解

同じくグレイ社時代を、やはり、後に彼の右腕となった(ロバート)ゲイジ氏がこう述懐しています。 「私がどれほど仕事好きであるかを知っていただくためには、私が初めてビル・バーンバックに出会った時のことをお話しする必要がありそうです。 私は、ケリ…

(7)『みごとなコピーライター』まえがき

『みごとなコピーライター』(誠文堂新光社 1969.7.15)に付した[まえがき]です。 独白 こんな形の「広告創造論」が日本で読んでもらえるかどうか、私には、答えることがまったくできない。 この本の出版を引きうけてくださった誠文堂新光社には悪いけれど、多…

03-07 人々とコミュニケートする方法を…

(レオナルド)シローイッツ氏は、DDBの幹部アートディレクターの一人であり、ソニーやVWの広告をつくってきた人です。 彼は、バーンバック氏から学んだものとして、 「とても多くのものを学びました。アイデアのエッセンスをつかむ方法、人々とコミュニケー…

02-07 ペア・チーム誕生の必然性

このペア・チームがどうしてできたかを、ゲイジ氏はこう話しています。 「1949年、DDBが発足した当時のアメリカの広告界には、コピーライターとアートディレクターがチームで仕事をするということはほとんどありませんでした。しかし私たちは、それ以外のや…

01-07 型にはまった人間ががまんできない

ファンジェは『創造性の開発』で、創造性を妨げるものとして、「意識していようといまいと日常生活の一部となっている習慣と伝統とは、ほとんどあらゆる場合にわれわれを縛っている。 そのうえ、与えられたグループの一員として(やはり、意識していようとい…

(6)VWビートルの広告キャンペーンを代表する2点

2月9日に引用した『創造と環境』[第3部 DDBの環境03−06]に、「バーンバック氏が関係したVWの有名な広告に『不良品 Lemon』というのがあります。 (→広告の訳文はこちら) なんでもないVWの写真にこの見出しをつけて、クロームの一カ所がはがれているのでこ…

03-06タルムードの「類比による論法」

この等価変換の考え方の初歩的な形が、タルムードの思想の中に発見できるのは、興味深いところです。タルムードの思想というのは、旧約聖書の独創的な解釈学で紀元2世紀の終わりごろに生まれて伝えられたものだといわれています。「タルムードの弁証法」と呼…

02-06ロビンソン夫人が語るペア・チーム

DDBのクリエイティブ・ワークがペア・チームで進められていることは、今や常識です。 しかし、それは、自然に常識になったのではありません。多くの人がDDBに関心を持ち、質問し、彼らが答えたからです。次のロビンソン夫人の講演がそれを語っています。「DD…

01-06 広告界にはいったのは、ある日突然に・・・ 

しかし、彼がユダヤ系の家庭に育ったということは、もう一つのことを意味します。将来の目標が、医者、弁護士、教師、芸術家、科学者あるいはジャーナリストか広告業界に限定され、その分野で地位を築くために努力が続けられ、両親もそれを期待するというこ…

(5)バーンバック氏、DDBの環境を語る(その2)

社内報『DDBニュース』1969年7月号に掲載された同誌編集長サンドラ・カール夫人とのインタヴューを、許可を得て『DDBドキュメント』(誠文堂新光社 1970.11.10)へ翻訳収録したものの後半部です。 >>バーンバック氏、DDBの環境を語る(その1)はこちらから…