創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

An interview with Miss Judy Protas (4)

Doyle Dane Bernbach inc. Vice-president, Copy Supervisorchuukyuu Out of the work you've done so far, name two ads you like best and tell us why you like them. Any episodes concerning the creative, work of the two ads? Protas Now tnat I'm o…

(167)ジュディ・プロタス女史とのインタヴュー(4)

DDB 副社長兼コピー・スーパバイザー 人種偏見に挑戦したリヴィ・パンのポスター chuukyuu「これまでにあなたがなさった仕事の中で,もっとも気に入っていらっしゃる作品を2つばかりあげてくださいますか? そしてできればその理由と、制作に関するエピソード…

An interview with Miss Judy Protas (3)

Doyle Dane Bernbach inc. Vice-president, Copy Supervisor chuukyuu In case the opinions of you two split, how would you solve the problem? Protas One of us waits out the other. If there's a real split in opinion, we let it sit for a couple …

(166)ジュディ・プロタス女史とのインタヴュー(3)

DDB 副社長兼コピー・スーパバイザー アートディレクターと衝突したら何日でも待つこと chuukyuu「アートディレクターとの意見が分かれた場合はどうしていますか?」プロタス「2人のうちのどちらかが、相手を待っています。もし本当に意見がくい違った場合は…

An interview with Miss Judy Protas (2)

Doyle Dane Bernbach Inc. Vice-president, Copy Supervisor chuukyuu While you kept writing for Ohrbach's, how many different teammate art directors did you have? Protas Well, not too many different ones. I'd say there were probably four alto…

(165)ジュディ・プロタス女史とのインタヴュー(2)

DDB 副社長兼コピー・スーパバイザー アートディレクターとうまくやるには真剣に順応しようとすること chuukyuu「オーバックスを担当している間に、何人のアートディレクターと組みましたか?」 プロタス「そうですね---そんなに多くはありませんよ。たぶん、…

An interview with Miss Judy Protas (1)

Doyle Dane Bernbach inc. Vice-rpresident,Copy Supervisor chuukyuu You are famous as the copywriter for Ohrbach's. Do you still write for Ohrbach's ? Protas I took myself off the Ohrbach's account in December 1968. chuukyuu How long had you…

(164)ジュディ・プロタス女史とのインタヴュー(1)

DDB 副社長兼コピー・スーパバイザー DDBに入社した2人目のコピーライターとして、20年以上も現役をつづけている彼女は、東京に着くなり、 「スシが食べたい」とねだった。ニューヨークでもよく食べているのかと思ったら、たった一度、ロール・パーカー夫人…

(63)フォルクスワーゲン・ビートルの広告(36)

「オオカミ少年」といわれる広告少年がいます。いつもいつも、「画期的新製品!」と叫んでいるために、人びとは「また、ビス1本を取り替えただけだろう」と、気にもとめません。 VWビートルが「オオカミが来たよ」と知らせたのは、18年間のうちに、たった2回…

(62)フォルクスワーゲン・ビートルの広告(35)

価格の説明に踏み込んでいます。自信たっぷりに。あけすけに。いくらか挑戦的に。この主張に賛同してくれる人は10%でけっこう---と割り切って。 ロー・プライスに驚いて逃げ出さないでください。 1,575ドル。 フォルクスワーゲンの新車の値段です。 でも、…

(61)フォルクスワーゲン・ビートルの広告(34)

逆張り口調---ネガティヴ・アプローチは、強力爆弾なだけに、危険を伴います。たいていの広告主はOKをだしません。不発に終わったときの不様さもわかっているからです。「謙虚」とは質が異なるようです。しかし、成功したときの威力といったら---。 2,3…

(60)VWビートルの広告(33)

1960年といえば、47年前ですね。そのころ、ぼくはコピー・チーフとして、ト○タ車の広告やパンフレットの文章を取り仕切っいました。いま、こうしてVWのものを改めて見渡して、(こんなふうに、誰にでも理解できるように、やさしくは書いてなかった)ことを反…

(59)VWビートルの広告(32)

初期---といっても、キャンペーンを始めた1959年ではなく、1961年の後期か翌年あたり---コピーライターが変わったことを示す作品です。 コピーに明るいユーモアが加わり、VWビートルの文体が完成しました。その微苦笑は落語に似ています。最後のフレーズがオ…

(58)VWビートルの広告(31)

ラストの1行---「へえ、1970年代の米国のビジネスマンって、ホンネはそうだったんだ。万国共通なんだ」って感じますね。いえ、あなたは、もっと根性がすわってるでしょうけど。 やっとフォルクスワーゲンのすてきな写真がとれました。 フォルクスワーゲンが…

(57)VWビートルの広告(30)

1967年1月19日の日付のある『ポスト』誌から切り採ったと、メモ書きしてあります。米国では多くの雑誌が全国媒体です。北の州---メイン州、ハンプシャー州、オハイオ州、モンタナ州の人たちの目を引きつけたことでしょう。いや、ワイオミング州やアイオワ州…

(56)VWビートルの広告(29)

こんな訴求ができるのも、また、こんなアピールを喜んで読むのも、フォルクスワーゲン・ビートルなればこそです。ただ、掲載誌『ライフ』が1961年10月28日号なのが残念。キャンペーンを始めて足かけ3年目---当時は有効でも、いま、オールド・ビートルに乗っ…

(55)VWビートルの広告(28)

ガソリンが急騰しています。リッター154円。この1年で50パーセント前後の高騰。オランダ在住の友人は、リッター1.445ユーロ---236円だと。 いつの時代でも、庶民は車の燃料費が高いと思っています。米国でも、日本でも、ヨーロッパでも。 それで、こんな試み…

(54)VWビートルの広告(27)

コピー量! 見た瞬間、「ウヘェッ!」 「これを訳すのかい」「小見出しぐらいつけとけよ」 素読してみると、スイスイ読めてしまう。だから、訳もスイスイ。「いったい、どうなってんだ」って考えこむ。 わかったことの一つは、メイル・オーダー(通信販売)スタ…

(53)VWビートルの広告(26)

フォルクスワーゲンの広告の特徴の一つに、[自己否定もどき]---いってみれば、擬態があります。その典型が、"Lemon (不良品)"です。 広告は、自社製品の美点をあげつらうもの、という世間常識に挑戦しているわけですが、すべての広告主が[自己否定もどき]の…

(52)VWビートルの広告(25)

シンプル・ヘッドライン(simple headline 短い見出し)について述べてみる。 100年以上も前から、広告の見出しは、Why(なぜか---)、What(なにが---)、Who(だれが---)、When(いつ---)から始めるのが効果的といわれてきました。VWのチームもこれらの原則にした…

(51)VWビートルの広告(24)

もっとも信じられやすい広告は、テストモニアル(推薦広告)といわれてきました。しかし、このごろでは、人生経験の薄そうな若いタレントがTV−CMに出るので、「彼(彼女)は、いくら貰ってやってんだろう?」といった会話が、食卓をにぎわせています。「ロバ…

(50)VWビートルの広告(23)

DDBのクリエイティブ・チームは、よく悪戯ごっこをします。この「ガム・シュー(ゴム底の靴の男)遊び、別名「プライヴェート・アイ(私立探偵)」もどきごっこもその一つ。いえ、ビジュアル表現の競いあいなんですが---。 尾行(つ)けられてるなって気配…

(49)VWビートルの広告(22)

VWビートルの広告のコーナーに入れるべきでなく、VWステーション・ワゴンの項を新たに立てるべきかもしれないが、ここでいいたいのは、アートディレクターは、視覚的表現にここまで関与すべきだということである。 『ヘルムート・クローン クリエイティブ革…

(48)VWビートルの広告(21)

DDBは、VWビートルのキャンベーンを、20年近くつくりつづけてきました。制作チームに入ったクリエイターは、それこそ、延べで100人を超えているはず。 ときには、前に使ったアイデアに、後継チームが別のアイデアをかぶせることもしばしばです。 今回の曲線…

(47)VWビートルの広告(20)

何年も何年も外観のモデル・チェンジをしないポリシーを通していると、受け手のほうでもそのメリットを納得して受け入れます。 もちろん、浮気な人種は去っていきますが、さて、どちらのグループが多いか。 外観のモデル・チェンジをしない車が、メイン・ラ…

(46)VWビートルの広告(19)

マーケット(消費者)を刺激するために、次から次へとモデル・チェンジを繰り返すのが流行しはじめて半世紀---しかし、外観を変えないマーケティング・ポリシーだってあるのです。 外観を変えないことをメリットとして告知するには--- '54年型を'64年型に見せ…

(45)VWビートルの広告(18)

広告の歴史---というより、ものの考え方の一つの示唆となっている空冷式VWビートルの広告キャンペーンですが、ニュービートルの登場で、2つに分類することができます。 1.空冷式リア搭載エンジンに独特の特質---水や不凍液が不用。牽引力がじかに後輪に伝わ…

(44)VWビートルの広告(17)

久しぶりの[息抜きタイム]です。DDBのVWチームは、かぶと虫の生産工程での入念な検査ぶりを、検査員の数や検査ヶ所の数で表現しています。 検査員の数---2007.06.23掲示(左端)「こんなにたくさんの人がフォルクワーゲンを検査しているんですよ」では、1,…

(163)DDBの隠し玉---J・グリン夫人とスタイリング部(下)

『DDBニュース』(1969.10月号)に載っていた記事を、許可を得て『DDBドキュメント』(ブレーン・ブックス 1970.11.10)に翻訳・転載したものです。広告代理店の機能の未来像を暗示する一つ---と38年前に思ったのです。不幸にして、日本の広告界では、この記…

(162)DDBの隠し玉---J・グリン夫人とスタイリング部(上)

これは、38年前の『DDBニュース』(1969.10月号)に載っていた記事を、許可を得て『DDBドキュメント』(誠文堂新光社ブレーン・ブックス 1970.11.10)に翻訳・転載したものです。広告代理店の機能の未来像を暗示する一つ---と38年前に思ったのです。不幸にし…