創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

(445)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(11)

・ これだけの広告の切れっぱしが集められるということは、当時、スコッチというか、ウィスキーが「ライト」な時代に入っていたということでしょう。 そのころ、酒をあまりたしなまなかったので、このシーヴァスの広告やカルバートを担当したローゼンフェルド…

(444)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(10)

・ 掲載号が4月25日だから、ことしのクリスマスまで「あと250日」なのです。 そう告げられ、「とても待てない」という心理的ゆさぶりをかけたわけ。 蛇足:栓なのですね、まだ。コルクつきの。 これが、何時、ねじりみぞ式キャップに変わるか---も、目…

(441)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(9)

・DDBのシーヴァス・リーガルのシリーズでは、ロゴをまったく使用していません。 DDBの前に制作していた広告代理店(社名未詳)は、ロゴを使っていました(参考例を最下段に掲示)。 ] シーヴァス・リーガルのよさがお分かりにならないのなら、余分の2ド…

(442)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(8)

クリスマスをシーヴァス・リーガルを味わう習慣の定着を、ユーモラスな口調で図りながら、2ドルの効果の視覚的な表現を模索していく。 並みのスコッチしか 呑んでいらっしゃらない方へ シーヴァス・リーガルを お贈りになるって案はいかが? いえ、あなたにそ…

(441)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(7)

・シーヴァスが重視するハタ日の一つ---父の日。 年々の訴求のバラエティが見もの。 お気をおつけになって! こんどの父の日には、 お舅どのところには、あちこちからお祝いの品が 沢山いってるってこと。 さて、と、一瓶お求めになるとして、棚には、いろん…

(440)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(6)

・ このヘッド、「論より証拠」って意訳してもよかったんだけど。あるいは、「舌や喉は正直」とか、「味覚はうそをつかない」 バッテンの隙間のボディ・コピーを拾い読みしてみると、結論は、実際に呑(や)らなくちゃ、普通のスコッチとは一味違うことが納得…

(439)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(5)

・シーヴス・リーガルの年の4〜6回の出稿の主要シーズンは、クリスマス前と、父の日(6月第3日曜日)の前。 これは、前者への説得。 このクリスマスに、高価だからということで、シーヴァス・リーガルをお贈りになるんですか? そんなお顔をなさらないで。 た…

(438)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(4)

・初期アピール・ポイントの一つが、[2ドルの価格差]でした。 スコッチ・ウイスキーにはバーゲンはありません。 シーヴァス・リーガルの約半値でお求めになることもできるスコッチもあります。 その代わり質も半分になります。 スコッチに限って、払った分だけ…

(437)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(3)

・シーヴァス・リーガル(シーグラム社)が広告の扱いをDDBに移したのは、1961年末。キャンペーンが始まったのは、翌年からのようです(米国のアカウントの移動だと、新規に請けたところは、ふつう、キャンペーン開始準備に3ヶ月をあてます)。 DDBへV…

(436)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(2)

・khalki さんに[ニョーヨーカー・アーカイブ]を教わったので、ほとんどの広告に『ニューヨーカー』誌に掲載された号(時期)が特定できるようになり、このシリーズの資料性が高まりました。 DDB NEWS』のバック・ナンバーで、シーヴァスのキャンペー…

(435)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるシーヴァス・リーガルのシリーズ(1)

[ニューヨーカー・アーカイブ]シリーズの一つとして半永久的に記録するため、atsushi さんの協力をえて50点近くを補充し、1日1点を原則としてアップしていきます。 翻訳や原文の採録が間に合わない作品は画像のみで、翻訳と原文はあとで埋めていくとい…

(434)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(57)

『ニューヨーカー』誌に掲載されたビートル・シリーズは、とりあず、これで終幕です。 あと、数10点、他誌に掲載された広告があるものの、キャンペーンの系統的な流れは、これでおつかみになれましょう。 自我作古ですが、20世紀中で世界一といわれているV…

(433)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(50)

地球の果てでの最初の車。 オーストラリア探険隊は、えり好みなんかしませんでした。 ただ「どの隊員も、ヒョイと飛び乗り、一瞬の躊躇もしないで走りだすことのできる」車がほしかったのです。 そして、フォルクスワーゲンがその条件にぴったり合っていたとい…

(432)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(13)

逆手訴求は、DDBが得意としているものの一つです。もちろん、アメリカの広告史の中でも、さして珍しいアプローチではありません。 DDBは、この伝統的な奇法をユーモアで包んだから、広告に飽き飽きしていたアメリカ人の中層以上の知的オーディエンスの…

(431)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(12)

・ステイション・ワゴン篇、いつか、やれるといいですね。 データは、それなりに貯まってはいるんですが、時間がとれなくて。 フォルクスワーゲン・セダン……小型車に革命を起こしました。 フォルクスワーゲン・ステーション・ワゴン……歴史はくり返す、でしょうか…

(430)[ニューヨーカーアーカイブ]によるビートルシリーズ(11)

のちに、ヘルムート・クローン氏は、「ビートルとエイビスのアートディレクターです」と自信たっぷりに自己紹介できるようになったと述懐しています。広告界でなくても、それで通ったのです。 27ヶ所も変わりました。おわかりでしょうか? これは、1961年型フ…

(429)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(総索引)

(番号)←クリックで呼び出せます。 (No.)←Click to show detail. 1959年 (1)フォルクスワーゲンは変わるでしょうか? Is Volkswagen contemplating a change? 1959.08.01 (2)フォルクスワーゲンは、納車に3ヶ月近くもかかるの、どうして? Why are people…

(428)[ニューヨーカー・アーカイブ ]を基にエイビス・シリーズ(総索引)

・ 目次代わり (2010.08.29〜10.09) あなたが思わず、ヒザを打ったのを、2点でも5点でも、コメント欄で教えてください。 (打ちすぎてアザになった? 10日も経てば消えます。また打つのも楽しいし---) 活用法 それぞれのヘッドライン(見出し)の前の(番…

(649)旧著『売る』の再録アンケート

39年前の1971年3月1日、22冊目にあたる『売る』(日本経済新聞社)を上梓しました。 日本ダイナース・クラブの会員誌『シグネチャー』に1年半にわたっての連載に手を入れてまとめたものでした。 その最終節を、この3日間にわたって採録しました。 自分…

(648)プリスティーンの広告 マリー・クァントに訊く(3)

広告主が、環境の変化に敏感とはかぎらない。 保守的な考えに固執している世の中の層も、薄くはない。 クリエイターは、変化の兆しに敏感でなくてはならない。 しかし、一歩進んでは進みすぎ。半歩の間合いがむずかしい。 新鮮で刺激的な広告はどうやって生…

[6分間の道草](647)プリスティーンの広告 マリー・クァントに訊く(2)

・昨日からのつづき。←クリック ・この草文を書いたのは、40年以上も前です。「悲劇を売る」とか「不恰好を売る」などという反常識に思える言葉を項目にすえています。 もちろん、主題の中には、この40年間に世間常識化してしまったものもあれば、依然とし…

(646)プリスティーンの広告 マリー・クァントに訊く(1)

39年前の1971年3月1日、22冊目にあたる『売る』(日本経済新聞社)を上梓しました。 日本ダイナース・クラブの会員誌『シグネチャー』に1年半にわたっての連載に手を入れてまとめたものでした。 同誌の読者は、アッパー・ミドル階層の人や家庭が主流だっ…

(645)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(番外6)

1971年の「ライフ」に載ったDDBの自社広告です。この段階でエイビスがDDBのプレステイジ・アカウントになっていたことがわかります。 プレステイジ・アカウントとは、そのキャンペーンにより、次々と新しいクライアントが向こうからやってくる得意先…

[6分間の道草](644)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(番外5)

・この広告は茶化していっていますが、2位のエイビスと1位のハーツが演じたのは、まさに、広告によるレンタカー戦争だったといえましょう。 エイビスが白旗を掲げたのは、バケイション期間だけの休戦通告(あくまでも、ユーモア)。 もちろん、人びとは面白…

(643)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(番外4)

・ エイビス側の経営母体が代り、広告戦略が一変すると、ハーツ側も訴求内容を一変し、不慣れな旅行先でのインフォメイション・サービスに切り替えました。 ただ、不愉快なシーンの写真を掲げたので、効果のほどは知りません。 人生を楽しむために旅をするは…

(642)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(35)

・この広告は、1966年11月と12月中に、まるで咳きこむようにつづけて連載されました。 エイビスになにが起きたのでしょう。 そう、エイビスの高利益性に目をつけた企業があり、買収交渉が裏ではじまっていたのです。 それまでに、広告予算を使いきっ…

(641)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(番外3)

・ ハーツがやった---というより、カール・アリー広告代理店がつくったTVコマーシャルを1本、紹介しましょう。 カール・アリー社を取材したときにもらった現物はもう、手元にありませんが、コマ割りでも充分、できあがりを想像できましょう。 (アナ)「ハーツ…

(640)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(34)

・No.2キャンペーンの成功で、エイビスの短期レンタルの収入は、 1964年 3,072万ドル 1965年 4,566万ドル 1966年 6,921万ドル 年々、50パーセント近くあがりました。 もちろん、レンタカー利用の需要が高まったという要因に支えら…

(639)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(番外2)

・ 『アート派広告代理店−−その誕生と成功ーー』(1968.10.15 ブレーン別冊 誠文新光社)の第1章ともいうべき位置にカール・アリー社を置いたのは、エイビス対ハーツのレンタカー広告合戦のまっただなかで、ハーツの広告を引きうけたのがカール・アリー社だっ…

(638)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(番外)

・ ハーツ社から指名をうけたカール・アリー社は、コピー・グループのへッドにジム・ダーフィー氏、コピーライターにエド・マケイブ氏をあてました。 カール・アリー社については、この広告が出た当時に直接取材した当時のレポートを紹介します。 ジム・ダーフィー…