創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(47)VWビートルの広告(20)

何年も何年も外観のモデル・チェンジをしないポリシーを通していると、受け手のほうでもそのメリットを納得して受け入れます。
もちろん、浮気な人種は去っていきますが、さて、どちらのグループが多いか。


外観のモデル・チェンジをしない車が、メイン・ライトを浴びる。



'51 '52 '53 '54 '55 '56 '57 '58 '59 '60 '61年型フォルクスワーゲン


フォルクスワーゲンをつくりはじめてからこのかた、私たちは、時間と努力のすべてを、ただ一つの基本的な型に注いできました。
私たちがたくさんの実践を行なってきたことはわかっていただけるでしょう。
私たちは、VWの各部分がとてもぴったり嵌合するようにつくってきたので、完成車はまったく気密です。
エンジンも非常に注意深く工作し、組み立てているので、VWは斬車のときから一日中トップ・スピードで走らせることができます。
私たちは、軽々しく変更を行なったりしません。またVWが違って見えるように変えたりしません。ただ性能をよくするためにだけ変えるのです。
万一変更をするような場合には、私たちは新しい部品も以前の型のフォルクスワーゲンにも合うようにします。
この結果、フォルクスワーゲンの特約ディーラーは、何年製のフォルクスワーゲンでも直すことができるというわけです。最初のVWだって直せます(なぜかって? 何年型でも取り替えのきく部品を使っているからです)。
もしあなたが、毎年または2年ごとに流行遅れになる車と.絶対にそういうことのない車のどちらにするか、、とせまられたらどちらになさるでしょうか?




The '51 '52 '53 '54 '55 '56 '57 '58 '59 '60 '61 Volkswagen.


Ever since we started making Volkswagens, we've put all our time and effort into the one basic model.
You can see we've had lots of practice.
We've learned to make every part of the VW fit every other part so well, the finished car is practically air-tight.
The engine is so carefully machined and assembled, you can drive a brand new VW at top speed all day.
We don't make changes lightly. And never to make the VW look different; only to make it work better.
When we do make a change, we go out of our way to make the new part fit older Volkswagens, too.
With this result: An authorized Volkswagen dealer can repair any year's Volkswagen, even the earliest. (Why not? They use mostly interchangeable parts!)
If you had to decide between a car that went out of style every year or two and a car that never did, which would it be?


当初、ヘッドライン(見出し)を「'51年型から'61年型までのフォルクスワーゲン」と表記していました。
ある日、とつぜん、コピーライタの意図が、'51 '52 '53 '54 '55 '56 '57 '58 '59 '60 '61 と並べるところにあったのだ---と気づきました。
並べるほうが、視覚的に、読み手の意識をくすぐるからです。