創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(45)VWビートルの広告(18)

広告の歴史---というより、ものの考え方の一つの示唆となっている空冷式VWビートルの広告キャンペーンですが、ニュービートルの登場で、2つに分類することができます。


1.空冷式リア搭載エンジンに独特の特質---水や不凍液が不用。牽引力がじかに後輪に伝わり、ドライブ・シャフトが不要。

2.外観は変えない。内部は変える---年式にこだわらないくていいので、流行遅れにならない。中古の価格が高い。


−−−ということで、後者を主題としているアイデアの広告は、50年近く経ったいまでも、そのまま使ってもほとんど違和感がないようです。

これもそのひとつ。


私たちは毎年,石膏づくりから始める必要なしです。
私たちほこれで、基本の同じVWを、とても長い間つくり続けているので、もうすっかり飽きてしまっているとお考えかもしれません。
しかし事実は、私たちはまだ研究を続けているのです。
私たちは、どうすれは最高の車に仕上げることができるかを研究してきました。また、どうすれば各部品をぴったりと合わせることができるかも研究してきました。この車は、実際に気密なのです。
ですから、私たちは、車の働きをよくするためには、非常に多くの時間をかけます。
今年は、ブレーキがより効率よくなりました。ヒーターのほか、20ばかりのものもよくなりました。
新しい部品をつくる時に私たちは、それが古い年式のものにも合うようにつくろうと努めます。ですから、VWが永久に走り続けるのを妨げうる何ものもないのです。また、外観が永久に新しくあることを妨げうる何ものもありません。
毎年、石膏づくりから始めるのだと、こうはいきません。
たった今、現在の型のよじれを伸ばしたかと思うと、すぐにまた、次のよじれに当面しなければならないのです。
来年型のための大変更の「大宣伝」ぐらい、私たちにとって理解できないものはありません。
あの人たちは、今年のは自慢のものじゃないのでしょうか ?




We don't have to start from scratch each year.

We've been making the same basic VW for so long now, you'd think we'd be bored with the whole thing.
But the fact is, we're still learning.
We've learned how to finish the car superbly. And how to make the parts fit so well, the car is practically airtight.
So we have plenty of time to concentrate on making the car work even better.
This year the brakes are more efficient, and the heater, and some 20 other things.
When we do make new parts we try to make them fit older models, too. So there's nothing to stop a Volkswagen from running forever.
And nothing to stop it from looking new forever, either.
Starting from scratch each year can get in the way of all that.
Just when they've ironed out the kinks in the current model, they have to face the kinks in the next.
We'll never understand all the hoopla over the "big changes" for next year's models.
Weren't they proud of this year's?