創造と環境

コピーライター西尾忠久の1960年代を中心としたアメリカ広告のアーカイブ

(165)ジュディ・プロタス女史とのインタヴュー(2)

DDB
副社長兼コピー・スーパバイザー

アートディレクターとうまくやるには真剣に順応しようとすること


chuukyuu「オーバックスを担当している間に、何人のアートディレクターと組みましたか?」


プロタス「そうですね---そんなに多くはありませんよ。たぶん、全部で4人だったと思いますけど---。チャーリー・ピッキリーロでしょ---この人は今、オーバックス担当にもどっていますが、彼としばらくいっしょに働いていました。ゲイリー ・ゲイヤーとも組みました」


chuukyuu「アートディレクターの組み替えがあるたびに、あなたはあなたのやり方をそのアートディレクターに合わして変えたりなどしましたか?」


プロタス「アートディレクターとは友だち、愉快に笑い合う仲間として仕事をします。笑いは広告をつくる時に悩むのと同じくらいに大切なことだと思うんですよ。とくにチャーリー・ピッキリーロと組んだ時はとてもすばらしい時間を2人で過ごしたのです。
ゲイリーとは、このアカウントが大きくなり、ずっと複雑になってから組んだものですから、笑いは少なくなり、仕事が多くなっていました。それでもやっぱり楽しかった。
私の場合、問題は何も起こってきませんでしたよ。もちろん、私は相手をとても信頼します。けれども一般的に言って、十分に分別があって、人びとを十分に理解できれば、その人のムード、気性に合わせていくことができるんじゃないでしょうかしら。
精神的にささえ合っていく以上、その人の個性がどんなものであっても問題じゃないということです。組んで働く人の性格にうまく順応していきさえすればいいのだと思います。実際それは一種の楽しい挑戦ですね」

ライターのリサーチとは、あらゆることを聞き出すこと


chuukyuu「アートディレクターとチームワークを組んだ時の仕事の進め方はどんなふうにやっていますか?」


プロタス「アートディレクターとのチームワークで仕事を進めていくのが一番いいことだと私は思いますね。恐らくDDBにいるほとんどの人びとにとってそうだと思います。
まず仕事が渡された時、最初にするのはアートディレクターと目を見かわして・・・『あーあ、いいアイデアなんて思いつきっこないわ!』ということでしょうね。それから2人ですわり込んで、頭を悩ませ、大騒ぎをし、よくないと思われるアイデアを除き、何かしらOKの出せそうなのを思いつく---。
ところが、つぎの朝それを見ると、『どうしてまたきのうは、 こんなのがすごいアイデアだなんて思ったのかしら、ひどいもんじゃない!』ということになるのです。
そんなふうにして、これと思えるものが出てくるまで、何日もこれを繰り返しつづけるのです。
私たちのほとんどがやっている方法にたいして違いがないというべきではありません。
最高のチームが持っているものは、まず第一に何をなすべきかというセンスのよさですね。ストーリーをつかみ、事実を探究し、さらに、その背景をほりだすのです。これらのことは、決して私一人でするということはありません。
他の代理店にいる友だちが、最近なんですが、『今日、アートディレクターをクライアントとの会議につれて行ったんだよ』って言ってたんですが、このことは、彼が謙遜して、いつもと違うことをしたということを明らかにするものです。
コピーライターとしてクライアントのところへ出かけていく、ストーリーをつかみとってきて、それをアートディレクターのところへ持っていく---ということは、私はやりません。
アートディレクターが、力の半分を受け持ちます。すばらしいへッドラインにおいつこうとするのがよいアートディレクターですし、ビジュアルなものに合わせていこうとするのがよいコピーライターといえますからね。
彼と2人で出かけていき、事実、すなわちストーリーを探究してこなければならないのです。私たちは、ありとあらゆることを必要とするのです。
もりだくさんのインフォメーション、すなわち、背景とか、クライアントの考え方、彼がその商品に関して持っているフィーリング、その他クライアントが私たちに話しうるかぎりのすべてのことが必要なのです。
『そんなことは知る必要ないでしょう!』『そんなことは広告に使えやしないでしょう!』とクライアントがいうことがよくあります。いいえ、すべてすべて、知るべきなのです。それが広告で語られようが語られまいが知らなければならないのです。それが、私が現在働いている問題のテクスチャーにつながっていくのです。
すべてのものが寄り集まって、一つのアイデアになっていくのです。
事実、そのことを認識すらしないで広告にとりかかろうとするクライアントもいるでしょう。
私、思うのですが、クライアントというのは、彼が私に与えてくれる資料を検閲などしないようにするべきだと。でも、たいていのクライアントはそのことをわかってくれないようです。
ですから実際に、一度ひねった水道のじゃ口をすぐまた止めなければならないといった問題が起こることもあります」
(写真は、DDBの廊下でコピーライターのオーガストと立ち話中のジュディ・プロタス女史)


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