創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(430)[ニューヨーカーアーカイブ]によるビートルシリーズ(11)


のちに、ヘルムート・クローン氏は、「ビートルとエイビスのアートディレクターです」と自信たっぷりに自己紹介できるようになったと述懐しています。広告界でなくても、それで通ったのです。



27ヶ所も変わりました。おわかりでしょうか?



これは、1961年型フォルクスワーゲンの初公開写真です。'60年型とそっくりに見えるでしょう。
全長を伸ばしも短くもしませんでした。
フィンもつけ加えていませんし、とりもしていません。フェンダーやテール・ライトも変えていません。
私たちは、廃物化さすためのプランなんか、採用しようとは思っていません。製造治工具の変更に金をかけるかわりに、その分だけ、よりよい車をあなたに提供するための方に使いました。
'61年型VWのエンジンは、4馬力アップしています(馬力競争にVWを引き入れようというわけではありません。加速性能に生き生きしたタッチを加えたかったからです)、
前進ギアは、ロウも含めてシンクロメッシュになりました (走行中でも)セカンドからロウへのシフト・ダウンはほかのシフト・チェンジのときと同様に滑らかです。
フロント・トランクは、約2/3倍も広くなりましたが、外観は変わっていません。
ウインドシールド・ワッシャーが標準装備になったので、それだけおトクです。
これらの改良点(ほかに23ヶ所)が加わってもフォルクスワーゲンは、わずか1,599ドルにすえおきです。これには、電動ウインドシールド・ワイパー、 ヒーター、デフロスターを組み込んだ値段です。
「プロダクト・エンジニアリング」最近号で、アメリカの優秀な工業デザイナー、J.ゴードン・リピンコットが、フォルクスワーゲンのやり方の成功をとり上げて、 「年ごとのモデル・チェンジはなくなるにちがいない」という見出しをつけています。
どうやら、私たちは何かを始めたようです。


C/W ジュリアン・ケーニグ Jullian Koenig
A/D ヘルムート・クローン Helmut Krone
"The NEWYORKER" 1960.10.01




Can you see the 27 changes?


This is the first picture of the new 1961 Volkawagen. It looks just like the '60.
We haven't made it longer or shorter. We havn't fins or taken off fins. We have't changed the fender or tail lights.
We don't belive in planned obsolesence,
Instead of putting the mony into costry retooling, we've used it to give you a better car for the same price.
The '61 VW engine has 4 more horsepower. (While this dosn't exactly put the VW in the horsepower race, it adds a nice extra touch of liveliness to the acceleration.)
All forward gears are now synchromesh--including first. You shift down from second to first (even while you're moving) as easily as you shift into any other gear.
The front trunk is almost two-thirds larger inside, and yet no larger outside.
Windshield washers are now standard equipment, at no extra cost.
With thses improvement (and 23 more), the Volkswagen is still only $1,955. And that includes electric windshield wipers and the built-in heater/defroster.
In a recent issue of "Product Engineering" Magazine, a leading American industrial designer, J.Gordon Lippincot, pointed to the success of the Volkawagen approach and titled his article: "The Yearly Model Change Must Go!"
We may have started something.



フィン(ひれ)つきの車を知らない方はこちらのTV-CMをどうぞ。
TV-CM(1966)[アニメーション]ニューヨークADCで金賞



(アナ)クルマって、本当によく変わっていきますね。
長くなったり、短くなったり、尾翼がついたり。
覚えておいでですか? 各所にクロームメッキが見られたクルマを。
ワン・トーン・カラーのクルマがお払い箱になり。
ツー・トーンやスリー・トーンが好まれたってことは?
私たちにかわらないことがまだまだあるんです。
たとえばヘッドライト、2つが3つ、4つ----8つ。
登場しますはフォルクスワーゲン
姿かたちは少しも変わっていません。
変わり続けるのは内部だけ。
ブレーキもクラッチトランスミッション、エンジンなどは何百回も変わりました。
見かけはいろいろと変わっても、中身はそのままというクルマがあるようですが、フォルクスワーゲンはその逆をいくクルマです。(訳文は金子秀之さん)


C/W ボブ・レブンソン Bob Levenson
A/D レン・シローイッツ Len Sirowitz  


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