創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(640)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(34)

No.2キャンペーンの成功で、エイビスの短期レンタルの収入は、
1964年  3,072万ドル
1965年  4,566万ドル
1966年  6,921万ドル
年々、50パーセント近くあがりました。


もちろん、レンタカー利用の需要が高まったという要因に支えられたこともあります。
しかし、カール・アリー社のハーツ担当のA・Eがこぼしたように、利益の差は5倍から2倍前後にまで縮められていました。


この成功の功績の半分は、利用者の支持を創造したDDBのクリエイティブによるといっては、いいすぎでしょうか。
  

[:w500]


この広告のコピーは
エイビス全員の
給与袋に入っています。


この国の人びとは、広告が言ってることをまるまる信じるわけではなくなってきています。
どうしてそうなってしまったか。
このごろの広告の多くには、製品はお客さまの期待どおりの結果にいつもなるとは限りません式の言い訳が、大なり小なりついているからです。
エイビスだって、時として、例外ではありません。
ピッカピカのプリマスの新車でも、トランクに泥があったり、スペア・タイアの空気が抜けていれば、エイビスの広告がウソになってしまいますからね。
私たちは、この国のすべての広告を監視することはできません。ですが、自分たちの広告に恥じない行動をとることはできます。
次に出す広告では、2分以内に書き終えられる貸出票書式になることを宣言します。
受付の女性たち、大丈夫だよね、しっかり練習したんだから。
さあ、エイビスが広告どおりかどうか、お試しください。


C/W ジャック・ディロン
A/D ヘルムート・クローン
"The Newyorker" 1966.10.07

(訳:染川優太 & chuukyuu)


エイビス側のタウンゼント社長があるとき、A/Dのヘルムート・クローン氏に質問しました。
「君は、どことどこを担当しているのかね?」
「いまは、エイビスとアメリカン航空です」
「エイビスだけにならないかね?」


これを、タウンゼント社長の好意の発言と受け取るか、協力会社の人事権への容喙とみなすか?
ぼくは、後者の見方に賛成します。
タウンゼント社長は、ビジネスの専門家ではあっても、クリエイティブな環境づくりのプロではありません。
クリエイターの扱いには、バーンバックさんが精通してい、赫々たる実績をあげているのです。
人間、思い上がってはいけません。