創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

01-18 発見する時には直観的、表現する時は論理的

タトンは、『発見はいかに行われるか』(渡辺・伊藤共訳・南窓社刊)の中で、ポアンカレの言葉を引用しながら、創造的人間の間に見られる二つのタイプとして、論理型と直観型をあげています。
「(数学者の二つの型のうちの)一つは論理一点ばりというタイプである。
彼らの仕事をみると、彼らは何事も偶然にまかせることなく、要塞に向かって塹壕を掘り進めて行ったヴォバンのように、じりじりと進んで行ったのだと信じたくなる。
もう一つは直観にゆだねるタイプで、最初からまっしぐらに、時には危険もかえりみず、前衛の騎馬隊のように突進する。
彼らが採用する方法はその対象となる事がらによって決まるのではない。
一般に前者は解析型と呼ばれ、後者は幾何型と呼ばれているが、解析型の人間は純粋な解析に取り組んでいる時でもやはり幾何型なのである。
論理的であるか直観的であるかは頭脳の質によって決まるのであって、新しい問題に取りかかる時でもそれがものを言うのである」(注:ポアンカレ『科学の価値』)

面白いことに、市川教授は、ディジタル情報はどちらかというと代数的な性格を持ち、アナログ情報は幾何的性格を持つと指摘しておられます。
ポアンカレは、「発見とは、まさに意味もない組み合わせはつくらず、きわめて少数の有益な組合せをつくることにあるのである。
発見とは識別であり選択である」
といい、数学的秩序に対する感じ、すなわち直観を重視します。
タトンも、ポアンカレに続いてマダマールの説、
「多くの科学者はある考えを発見する時には直観的であって、その考えを表現する際に論理的にすぎないこと」
を紹介して、直観に焦点を当てます。
「それぞれの科学者の個性は、彼が直観を重んずる度合いによって決まる」
「『論理的』頭脳においては、いわゆる『直観型』の場合ほどには直観の役割が目立たないとしても、やはり、その影響は本質的なものである」