創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

[息抜きタイム](252)ベター・ヴィジョン協会のシリーズ(12)

The advertisements for Better Vision Institute by DDB(12)



かわいそうな子・・・・・なんてお思いになりませんように、
彼はもう見ることができるのです。



眼鏡をかけた子にお会いになると、まずあなたは、かわいそうに・・・・・・とお感じになるでしょう。
でも実際、あなたが気の毒にお思いになるのでしたら、その子が眼鏡をかける前のことを気の毒がってください。
彼の目が、際限なく変化に富んだ細やかな模様を見ることができるようになる前のことを。
彼が、頭上の鳥が舞いあがっていくのを目で追えるようになる前のことを。
グランド内の野球のプレーを目で追えるようになる前のことを。
絵本の中のおてんば子猫がそれらしく見えるようになる前のことを。
かわいそうにとお思いになるなら、もっとはっきりした、もっと明るい世界があるのだということを知らない子供たちを、かわいそうと思ってください。
みんなも、自分が見ているのと同じように見ているのだと思ってなにも言わない子をかわいそうだと思ってください。
かわいそうだとお思いになるなら、資格のある日の検眼士に検査してもらったことのない子を、かわいそうだと思ってください。彼がもっとよく見られるように手助けをしてくれる人なのです。つまり、もっとよく遊べるように、もっとよく勉強できるように、もっとよく生きることができるようにしてくれる人なのです。
あなたのお子さまはどうですか?  最近,目の検査をなさいましたか?
新学年の始まる今が、いちばんふさわしいときです。ベター・ビジョン協会




Don't feel sorry for the kid.
He can see now.


You see a kid wearing glasses, and your first impulse might be to feel sorry for him.
But actually, if you're going to feel sorry, feel sorry for him before he got glasses.
Before he could see the infinitely varied and .Don't feel sorry for the kid.
He can see now.
You see a kid wearing glasses, and your first
impulse might be to feel sorry for him.
But actually, if you're going to feel sorry, feel sorry for him before he got glasses.
Before he could see the infinitely varied and delicate patterns of a seashell.
Before he could follow the soaring flight of a td overhead. Or a baseball over the infield.
Before the furry kittens in his picture booklooked like kittens. And the ducks like ducks.
If you're going to feel sorry, feel sorry for kids who don't know that there's a far clearer, brighter world to be seen.
And who don't say anything, because they think everybody sees the way they do.
If you're going to feel sorry, feel sorry for kids who have never had their eyes examined by a qualified eye-care practitioner−the one person who might help them see better. Hence, play
better, study better, live better.
How about your children? Have they had their eyes examined lately? Now, with the start of a new school year, would be the sensible time to have it done. Better Vision Institute.


       ★     ★     ★


このベター・ヴィジョン協会のシリーズがとりもったご縁で、アートディレクターの中島祥文さんと親しくなった経緯は、このシリーズのとっぱなに置いた、katachan さんコメントでお分かりいただけるとおもうし、1月4日の中島祥文さんご自身のコメントでさらにはっきりしたことでしょう。


じつは、きのうもお会いして、多摩美大での講義の模様をお聞かせくださいました。
そのとき、ご高書考えるデザイン 中島祥文・24のデザイン発想』(美術出版社 2009.5.20 \5000をいただき、カヴァーや各章について丁寧に解説してくださいました。



このブログへの若干の引用についてのお許しも得られたので、とりあえず、第1章[デザイン発想1 クオリテイの啓蒙]から。 


ウ-ルカーペットの機能表現
                         →新価値観の提唱
生活の提言 




広告は、隣にいる人の会話や手紙のようなものではないかとずっと感じていた。
もちろん人々の目や心をキャッチする工夫や仕掛けも大事だが、それも、
思いをよりよく伝えるための一つの手法に他ならない。
「ウール」の仕事に出会ったことでその考えはより明確になった。
それまで、肌触りが良いとか暖かいとか、高価なものというイメージ
しかなかったウールだが、調べていくと、機能面で優れた所がたくさん
あることを知った。それは新しい発見であり驚きでもあった。調査資料
を見る限り、一般の人にウールの機能はほとんど知られていない。
そこで、自分たちが体験したこの発見や驚きを知らせることが大切だと
思った。そしてそれがこの広告シリーズのコンセプトになった。



この章について解説した中島祥文さんは、DDB哲学の祥文流の実験といった意味のことをおっしゃったが、ぼくは、それ以上に、奇妙な符合を感じて聞いていた。

それは、中島さんも好きだとおっしゃっているモービルの「あなたに生きていていただきたい」キャンペーンのコピーライター---ボブ・レブンソンのコピー作法です。


拙篇/著『クルマの広告』(ロング新書 2008.12.10)に、『DDBニュース』(1979.6月号)から転載したものです。


「あなたがなさっている『親愛なるチャーリー』のアプローチについて説明してください」


レブンソン氏『ここ数年、ぼくはコピーで行き詰まった人びとに『親愛なるチャーリー』から始めるよう示唆してきました。

ぼくが彼らに言っているのは、こういういうことなんです。

君たちが話しかけているのは、その製品については君よりもうといが、じつに聡明な友人だと思いこめ。それをし終えたら、『親愛なるチャーリー』なる冒頭の一行を抹殺しろ、そうすれば少なくともとっかかりはできるだろうと。実際、白紙から始めるよりずっといいんですよ。絶対に失敗しません」



できる人の考え方って、どこか似ていますでしょう?