創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(504)Best 10 ads of Avis Rent Car that chuukyuu chose (2)


1966年5月に来日したバーンバックさんは、10日の日経ホールでのスピーチで、エイビス・レンタカーのキャンペーンの1コマをスライド映写し、次の解説を付した。
「自分自身に不利なこと、表面的にはマイナスになるように感じられることでも、それによって信憑性を得れば広告は成功するということだ。このキャンペーンでいっていることは、"私たちは2位です。だから一生懸命にやるのです"。このキャンペーンを始めてからエイビスは、前年の300万ドルの赤字から150万ドルの黒字になった。
自分にとって不利な言い方をしても、それが信憑性をもたせれば、それによって人びとの注目する広告になるということで、1位になる努力をしているのだということがわかってもらえる。
"We try harder" というスローガンは、その後大統領選挙などでも使われて、エイビスはより有名になった」(『日経広告手帖』5月15日号より


ご苦情がおありの節は、
エイビスの社長を呼び出してください。
番号は、CH8−9150です。







社長をガードするための秘書など、一人もいません。彼がじかに電話に出ます。
彼は、お相手するのが大好きなのです。
彼は、それを小さな会社の偉大な特典と考えています。
どのことについての責任はだれにあると、きちんとわかっています。責任を転嫁する人もいません。
さて、当社の社長は、何もかもについて、だれにもかれにも対して責任があると思っています。彼には、スーパー・トルクのフォードをスーパーにするために死に物狂いで働いている私たちがついているのですが、それでも、ときどき、汚れた灰皿や、きちんと動かないワイパーなどがあるということを知っているのです。
もし、そういうのをお見つけになったら、私たちの社長をお呼びください。
彼は、あなたから苦情をいわれてもビクビクしません。それどころか、あなたに対して適切な処理をしてお返ししますよ。


エイビスがたるんでいたら、
こうしてください。


でも、私たちだってそのままにはしてかきませんよ。私たちは、またあなたら来ていただくよう、反省します。
エイビスはレンタカー業界では2位にすぎません。余分なお客さまなんか持ってません。
私たちはあなたのチャージ・カード(月末払い特典つき)が1枚だけですむようにと、すでに汗を流して働いています。
私たちの車は、可能なかぎり、上乗のコンディションを保っています。けれども、近いうちに、私たちの車の走行上限を36,000kmと決めることになるでしょう。軽快なフォードのスーパー・トルクでもね。
この業界には、そんなセッカチ屋はいないのですが---。
もちろん、私たちにも、たるんでいるところとがないわけではありません。で、もし、あなたが、そんな点をお見つけになつてしまって、私たちの車をお使いになるのを止めておしまいになったとしても、私たちはあなたを責めるわけにはまいりません。
そんなときには、どうぞ、おっしゃってくださいますよう。
ご遠慮なく。
私たちは、きっと、ちょっぴり泣きはしますが、その後は前にもましてしっかりやると思います。


(写真キャプション:「私たちにお慈悲を垂れ給うな」)


エイビスは、あなたが必要です。
あなたは、エイビスが必要じゃない。
エイビスは、このことを肝に銘じています。


私たちは、なお、少しばかり、空腹です。
業界で2位にしかすぎないのです。
お客さまを十把ひとからげなんかにはできません。
まあ、ビジネスがうまくいってると、つい、お客をはしょったり、粗略にあつかうことも、なきにしもあらず、です。
そんなとき、カウンターに近づいて行って、めんどくさがられたいなんて思いませんよね。
試めしてください。
エイビスのカウンターへいらっしゃって、生きのいいスーパー・トルクのフォードの新車を借りてみてください。エイビスは業界で2位なんです。だから、お客さまをお客さまとして遇するようにしっかりやってます。
カウンターには2つの側があります。
もちろん、どっち側が私たちのパンにバターを塗ってくださるのか、分かってます。
                  (訳:金丸 哲&chyuukyuu)    


エイビスは、より大きな軍団に
攻撃されています。


私たちの強敵手の一つは、「エイビスの強がり広告もどき」というのを連載しています。やりたいなら、やらせておきましょう。
でも、これだけはいっておかなくちゃぁ。向こうの大きさ、そして、エイビスが可愛らしいほど小さいって印象づけていることを。
最近、先方さん、あんまりかっこつけてられないみたい。
私たちが差をどんどん縮めてますからね。
先方さんの軍団は、トラック込みで104,000台。こちらは7万1,000台。
この数字についてつけ加えますと、プリムスのすてきな新車はまだ加えていません。
No.1は、私たちがどこまで追いあげてきているかを知ってるはずです。
私たちはがかつての小軍団のままだとたら、あんな広告を連載するはずがありませんもの。



このエイビス・ボタン
大学生の息子さんへ送ってほしいと
お思いになりますか?


あるいは、お宅へ皿洗い機を設置にきた人に? または、あなたのシャツのボタンがとれたままで渡したクリーニング屋に?
この「もっと一所懸命にやりますボタン」は、あなたのお知り合いのだれかの目を覚まさせます。
私たちをそうしたように。
このボタンは、私たちをふるい立たせました。レンタカー業界で2位にすぎないということを私たちに思い出させました。あなたに、ぴかぴかのスーパー・トルクのフォードののような新車を新車をお貸しするだけでなく、とてもたくさんしなければならないことがあったのです。
私たちは、あなたに、またいらしていただくようにするために、もっと一所懸命にやらないといけませんでした。
私たちのみんなが、です。
受付カウンターの女姓も、ガソリン・タンクを満タンにする従業員も、技術者も、そして事務所にいる者も。私たちは依然として2位にすぎないのです。けれども、目に見えて向上していています。
どこのエイビスのカウンターでもけっこう、ボタンをお取りください。
もし、スローガンが効力を発揮していなかったら、裏がえししてボタンのピンをお確かめください。


エイビスの持ち帰り自由のボタンは、
ほとんど
底をつきました。



左:古き良きボタン 右:簡素な新しいボタン


ボタン5,000,000個以上。
1個2.5セント、合計で125,000ドル。2位にすぎないということをいうための大出費。
だから、ボタンを補給する私たちの担当者は、簡素なバージョンに切り換えました。しかし効果は相変わらず誰にでもあることを保証します(担当教区の300人を良い行いへと導こうとするアフリカの司教さんでも)。
単にボタンをつけているだけで、世界は自然に住みよい場所になっていくかもしれません。
しかし、ボタンをつけるよりもっと肝心なこと。
エイビスは、受付の女性がボタンをつけたからといって、奇跡を期待してはいません。エイビスは、勝つ意志を持っており、それがみんなの胸に刷りり込まれています。受付の女性にも、葉巻の吸い残しをフォードからつまみ出す男子従業員にも。
エイビスのボタンはお望みの方には差し上げています。
このボタンが効果を発揮するのは、書いてある言葉どおりに、身につけている人がしっかり働いているときにだけですから、念のため。


(訳:梅地沙史&chyuukyuu)


私たちは、世界中で一生懸命にやっています。


この広告で、レンタカー業界における私たちの負け犬のイメージはこわれてしまうかもしれません。
でもエイビスは38ヵ国で経営している・・・ということを秘密にしておけなかったのです。
私たちは依然として2位です。そしてやっぱり1位は私たちに勝っていjす。ということは、つまり、私たちがニースでお貸しするシムカは、ニューアークでお貸ししているブリマスと同じぐらいきちんとしているということ。
たしかに、エイビスのバッチを各国語に翻訳するときは大ごとでした。「私たちはもっと一生懸命やります」という意味に最も近いドイツ語は、「自然に頑張ってしまいます」となります。イタリア語では、「もっとたくさん、召してもっとよくやってみせます」
いずれも、いずれも。外国におけるエイビスの扱い店を忙しくたちまわらすのに十分な訳にはなっています。自分にもっと働くよう強いる(スペイン語の意味)と書いたバッチをつけていれば、自然と自分からそうしなければならない気分になってくるものです。
この中のどれかお気に召したのがおありでしたら、エイビスにいらしてください。車にご用はなくっても。


No.1がエイビスにこだわっている
その理由(わけ)---


最近、No.1の広告が大きく変わってきたことにお気づきのはずです。
ノー天気な男がクルマに飛び降りている広告をやめました。
それに代えて、エイビスの強がりキャンペーンへの対抗編というのを出してきています。
なぜでしょう?
No.1はレンタカーのシェアを減らしりつつあります。
エイビスのシェアは伸びています(最近の主要26空港の統計です)。
「もっと一生懸命にやります」キャンペーンは着実に成果をあげています。
洗浄ずみのプリマス、満タンのガソリン、そして笑顔で迎えられたとき、あなたはNo.1のお客さまがエイビスへ移りつつあることを確信なさるでしょう。
その潮流は明らかです。
この調子で努力していけば、1970年、エイビスはNo.1になっているでしょう


(訳:梅地沙史 & chuukyuu)


Would you belive Avis is No.1 1/2?


エイビスは1.5位って
信じられますか? 


マナーどおりに言うと、私たちはまだ2位です。
しかし4年間、一所懸命にやった甲斐あって、1位との差を約半分に縮め、
数字的には1.556位です(最近の主要26空港の統計より)。
トップに接近するとどんなことが起こるでしょう。人はさらに努力するのです。
たとえば、アーニー・フートのように。
期限切れの州外免許証をお持ちのお客さまが来店された時のことです。アーニーは、免許試験のため、お客さまをハイウエイ・パトロールまでお連れしました。お客さまは免許証を取得され、ピッカピッカのプリマスの新車で出発されました。
私たちのスタッフがスコアを伸ばしていることは明白です。
もう優勝旗の匂いを嗅ぎとっています。


(訳:梅地沙史 & chuukyuu)


【参照】ヘルムート・クローン氏、レイアウトを語る
「レイアウトを語る」(123)


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chuukyuuより】この[10選]は、11月20日のTCC(東京コピーライターズクラブ)でのchuukyuuのスピーチで資料として映写されるものです。スピーチのあと、その会場でCDとして販売されます。1000円前後の実費です。というのはスピーチへの参加は、TCCの会員にかぎられているため、会員以外の社内のクリエイターの方々にもスピーチの概要を知っていただくとともに、クライアントとの歓談のたたき台としていただけると、いささかでも貢献するのでは---と思いついた結果です。

CDは、事前に予約されたご希望者の数しか持参しません。

ご希望の方は、このブログのコメント欄に、その旨、お書き込みください。ハンドル名で結構です。

この1日のあいだに予約された方---お1人。