創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(320)ボルボの広告(14)

今日から、拙著『ボルポ ---スウェーデンの雪と悪路が生んだ名車』(ブレーンブックス 1968.7.23 絶版)の第4章[「世界最高の安全車」と呼ばれるために]をアップしていきますが、ページ順ではなく、いまの消費者に伝えたいことから。なにしろ、40年前の取材ですから、各国の自動車メーカーが採り入れているもの、あるいは、国自体が法制化したものもありましよう、ま、40歳になったかならないかのコピーライターが、本業と関係なく取り組んだ姿です。


>>『ボルボ〜スウェーデンの雪と悪路が生んだ名車』目次


第1章 ガブリエルソンの30年間
2人の男が出合ってから---


第4章 「世界最高の安全車」といわれるために

主任テスト技師に安全性を聞く

安全性の第一---事故を未然に防ぐこと


PR部のハレンボルイ氏に伴われて、乗用車技術部のゲアハルト・サリンジャー主任テスト技師の事務所を訪ねた。


chuukyuu ボルボが、安全性に関心をもった理由(わけ)を聞かせてください
サリンジャー 私が思うに、スウェーデンの道路、スウェーデンの気候でしょう。ご存じのように、この国の道路たるや、ひどいものです。今朝がいい例ですよ。
(「今朝」というのは、1967年10月18日のことで、夜来の雪が氷結していた)。
スウェーデンでは、運転に危険が伴うのです。この国で事故が多いのもそのためです。どうしても、ある程度のレベルの安全性を維持することに夢中になってきたのです。


chuukyuu ということは、スウェーデンで要求される安全性のレベルは、ヨーロッパの国々よりもきびしいとていうことですね?
サリンジャー ええ。他の自動車会社よりも、少なくともほとんどの自動車会社よりも、ボルボのほうが早くからこの問題に身を入れはじめたことは確かです。もちめん現在では、私たちちと同じぐらい安全性に身を入れている自動車会社も、たくさんあります。
chuukyuu 安全というと、事故が起きたとき---
サリンジャー そうではありません。私たちは、事故を避けることが、いちばん大切なことだと考えています。ですから、このように氷にとざされた土地を走る車にもつとも必要なのは、よく効く暖房、すぐれたロード・ホルディング、そしてすぐれたブレーキを備えているこちと---だとも、私たちは考えるのです。
ボルボ144のブレーキは、全輪ディスク・ブレーキで、氷の上でも正確に停止します。ドラム・ブレーキの月並みな車と比べると、停止まで要する距離は50%は短くなっています。これは大切なことだと思います。
とにもかくにも、第一に考えなければならないのは、事故を未然に防ぐことです。


chuukyuu ボルボのブレーキは、輸入しているのでは?
サリンジャー ボルボで設計して、英国のガーリング社に発注しています。


chuukyuu ということは、ボルボ特製と呼んでもいいわけですね。
サリンジャー ええ。


安全のためには、車が重くなっても---
サリンジャー ところで、万が一、事故を防ぐことができなかった場合のことを考えて、トライバーと同乗者が負傷しないように、できるだけの設備をほどこしておくことも必要です。すごく頑丈なな車をつくることです。そして、車内も丈夫にしなければなりません。フロント・エンドとリア・エンドがアコーディオンのように折り畳み式(コラップシブル)になるようにしておくことも大切です。


chuukyuu アコーディングのようになると、どういう利点があるのですか?
サリンジャー 折り畳まれたあらゆる箇所で衝突エネルギーが発散されてしまいますから、乗っている人が受ける衝撃が少なくなりますでしょう? ですから、より多く折り畳まれるということは、より多くのエネルギーを発散させることになりますから、1箇所しか折れ曲がらないアマゾンよりも、144のほうが、より良いデザインといえます。


chuukyuu どういう設計でアコーディオンのように折り畳まれるようになっているのですか? なにか特別なデザインがほどこしてあるのですか? 
サリンジャー いいえ、とりたてていうほどの秘密はありません。古いものの、リ・デザインです。それから、144は、天井部分(ルーフ)が2重構造になっているのでたいへん強くなりました。


chuukyuu 15トン以上のものが乗っかっても大丈夫だとかっしゃりたいんでしょう?(笑)
サリンジャー でも、それはあくまでも理論上の数値で、現実の道路上では、1箇所にそれだけの重い力が加わることはありません。あくまでも理論上のことで---(笑)


chuukyuu 2重構造だと、車の自重が増しますね。その結果、性能が下がるようなことは---?
サリンジャー 確かに、私たちの車は、競合車と比べると、ちょっと重くなっています。でも、より安全にするためには、すこし重くなるのはたし方ありません。


chuukyuu すると、ガソリンの消費も増えますね。
サリンジャー それほどでもありません。ガソリンの消費率は、タイヤやエンジンにも関係がありますからね。アマゾンよりも17kgも重いのですが、燃費率は、ほぼ同じです。
(つづく)


>>『ボルボ〜スウェーデンの雪と悪路が生んだ名車』目次


どうして女性は不器用
きわまりない車に
固執するのでしょうか?


子供たち、犬たち、それに食料品雑貨を乗せるにはスペースがいることはたしかです。雑貨を乗せるにはスペースが必要なことはたしかです。
だからといって、ばかでかいステーション・ワゴンを引きずり回すこともないでしょう。
ボルボのワゴンは、リアシートを倒せば、子供たち、犬たち、食料品雑貨を乗せる67立方フィートのスペースが
できます。あるいは6フィートのソファーが、そしてフロントは180cmのご主人向き。
ボルボのワゴンの外側は、ボルボのセダンと丁度同じサイズ(駐車スペースは例の巨人族より1mせまくてすみ、したがって車をへこませないでもすみます)。
プロポーションの良さは、ボルボのすばらしい長所のひとつです。
その他には、4輪ディスク・ブレーキ、リアウインドー・ワイパー、ワッシャー、デフロスターなどが
あります。
そしてリアドアには子供が中から開けられないロックがついているので、後部座席に気をとられずに、道路に神経を集中させることができます。
すべてのワゴンがボルボのように気のきいたデザインなら、女性ドライバーも悪名を馳せられないですむでしょうに。


ボルボ


媒体『タイム』1973.6.11号




WHY SHOULD WOMEN
GET STUCK WITH
THE CLUMSIEST CARS?


It's true you need space for kids and the dogs and the groceries.
But that doesn't mean you have lug around a gaint station wagon has space in back for 67 cubic feet of kids, dogs and groceriwes. Or a six-foot safa.
And space in front for a 6 1/2 husbarod.
But outside,the Volvo wagon is exactly the same sizle as the Volvo sedan.(That's about three feet less to park than the giants. And three feet Iess to dent.)
A sense of proprtion is one of many sensible things about Volvo.
Others include 4-wheel disc braks. A rear-window wiper.washer and defroster.
And rear doofs with extra locks the kids can't open from inside, so'you can keep your mind on the road instead of the back seat.
If all wagon were designed as sensible as a Volvo, may be women drivers would have better name.


Time, June 11, 1973