創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(633)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(25)


旧著売る−−ヒット・キャンペーンの内幕−−』(日本経済新聞社 1971.3.10)は、経営者層向けに[シグネチャ]誌に1年有余連載し、手を入れたものです。

もちろん、エイビス・キャンペーンにも触れています。
その中に、広告キャンペーンになにかと口を出したがる社内幹部の発言を封じるために、タウンゼント社長が「エイビス・キャンペーン広告哲学」と題した掲示を全社のあらゆるところに掲示した事実を引用していました。


「エイビス・キャンペーン広告哲学」


1.エイビスは広告についてDDBほど多くを知りえないだろうし、またDDBはレンタカー事業についてエイビスほど多くを知りえないだろう。


2.広告の目的は、商用旅行や休暇旅行のため、あるいは臨時の家庭用として、しばしばレンタカーを利用する人々を説得し、エイビスの車を使っていただくことである。


3.競争会社の広告の5倍の効果のある広告をつくり出すために、思いきった措置をとる。


4.すなわち、エイビスは提出された広告を承認するかどうかを決めるだけで、広告に手を加えることは一切しない。エイビス側が変更の提案を行なうのは、具体的かつ明瞭なミス(たとえば、制服が違っているというような)があった場合に限る。


5.DDBは広告代理店として推奨する広告の承認を得るために提出するだけであって、それに対するエイビス側の意見を聞くためではない。


6.媒体の選択は原則としてDDBの責任であるが、しかしDDBは、市場や特殊な状況---とくに表面的な数字だけでは実情のわからない地域の状況---を考慮する際、自ら進んでエイビスから情報を求めることが望ましい。媒体の選定は自由な討議事項とする。その際は確信が優先し、妥協を避けるべきだ。 (ボブ・タウンゼント著『組織に活を入れろ』高橋 豊訳 ダイヤモンド社より


参照[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ



エイビスは9ヶ月前に賭けをしました。
今までのところ、
私たちは、46ドル失いました。


25セント賭けの勝者は184人。
3,700台の貸し出しにつきお1人。 心配していたより少なくてすみました。
ですが、わざわざお申し出をなさらなかったお客さまもあったかもと、内心、憂慮しています。
要するに、エイビスはレンタカー業界で2位でしかないのですから、もっと一所懸命にやらなければならないのです。
私たちがお貸しするプリムスは、どなたの車よりもよい状態に整備されていなければなりません。
レイモンド・ケイスさんの車を含めて。 ニューヨーク市の北のホワイト・プレーンズにお住まいのケイスさんは、
「帰宅してみたら、ぼくの車はバッテリーがあがっていて始動しなかった。エイビスの勝ちだ」との手紙をそえ、25セントをご返送くださったのです。
私たちは、アメリカ・カップであるかのごとく、25セント硬貨の約定を厳守するつもりです。


写真は「25セントの約定。エイビスの車はあなたの愛車よりよく整備されています」

キャプション いまも継続中。


C/W ダヴィッド・ハーツブロン David Herzbron
A/D ヘルムート・クローン Helmut Krone
"The NEWYORKER" 1965.10.02

01:50〜05:40のあいだ、主題とは異なった図版を掲示していました。お詫びいたします。

掲載順(番号および"The NEWYORKER"出稿月日)が、昨日分と入れ替わっております。つづいてお詫びいたします。
このシリーズ完了後の索引は、正規順に修正掲示の予定です。