創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(626)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(18)


「---でなければ、ペナルティを払います」というのは、別に新しい広告手法ではない。
しかし、「エイビスがお貸しした車が、あなたの愛車より手入れが劣っていたら、1/4ドル(クォーター)をその場で払います」というのは、いかにもあぶなっかしい。
客側はウソもいえるから。


エイビス側のアイデアなのか、DDBからの提案だったかは、不明。


このアイデアをすっかりいただいたのが、DDB出身の広告界で才媛とほめそやされたメリー・ウェルズ女史であった。
この翌年だったとおもうが、ブラニフ航空のために「オン・タイム」キャンペーンを提案し、飛行機が定刻に15分以上遅れたら1ドル交換保証の7色のプラスチック1ドル硬貨(?)をお渡しする、と約束したもの。
定刻遅れの常習犯だったブラニフは、このキャンペーンで、1966年には定刻組の首位につけた。


そのストーリィは[メリー・ウェルズ物語])←クリック




25セントの約定。
エイビスの車はあなたの愛車より
よく整備されています。


この約定はサービス基準なんです。まあ、適用されることって、そんなにあるわけじゃありませんが。面目にかけて、ちゃんとやっていますからね。
お借り出しになったエイビス車(フォード車であれほかの車であれ)が、あなたの愛車よりも状態---整備具合や外まわり---が劣っていたら、受付カウンターの女性にお申し出てください。
彼女は、ご苦情を聞くなり恐縮し、お詫びの言葉とともに、さっと25セント硬貨をお渡しするはずです。その場で。
手持ちの25セント硬貨が底をつくだろうなんてご心配は、無用です。
でも、私たちとしますと、そんな車を貸し出すことを許すわけにはいかないのです。、
実をいえば、たとえ赤字決算になろうとも、この約定は取りさげません。
収支の思惑なんか、論外ですよ。


C/W エド・ヴァレンティ Ed Valenti
A/D ヘルムート・クローン Helmut Krone
"The NEWYORKER" 1865.03.13