創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(636)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(27)


「エイビス・ファンド(基金)」なんてものが、現実にはあるはずがありません。
エイビス社は、レンタカーの営利私企業です。


それなのに、エイビス・カラー(赤)で「エイビス・ファンド」と書かれた寄付金缶が置かれています。
寄付金を出しなれしているアメリカ人は、「おや、いつのまに---?」と、広告を読みはじめたことでしょう。



エイビスは2位にすぎません。
だからといって、
憐憫を期待してはいません。


私たちが泣きごとをいってますか? 大げさに負け犬を演じてますか?
ダヴィッド・ビーナー君(11歳)から「プリマスを買い足すのに使って---」と35セント同封の手紙を受け取るまで、考えてもいませんでした。
目からウロコが落ちました。
そこで、これまでの間違った印象を訂正しようと考えました。
あなたが私たちを可哀相と感じていらっしゃるなら、私たちはエイビスの車をお貸ししたくはありません。私たち全員が望んでいるのは、2位は1位のようによくなれることを証明することです。いや、それ以上によくなることを。だって、私たちはしっかり励んでいるんですもの。
私たち自身が、消極的なところを捨てて、積極性を強調すべきなんでしょうね。
「レンタカー業界で私たちは2位にすぎません」に代え、「われわれは世界で2番目に大きいんですよ」というべきなんです。


C/W
A/D ヘルムート・クローン Helmut Krone
"The NEWYORKER" 1965.12.11 1966.03.19