創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(390)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(87)


宮崎論語でみつけた言葉----
『理性で知ることは、感情で好むことの深さに及ばない。
感情で好むことは、全身を打ちこんで楽しむことの深さに及ばない」


本邦初紹介



新しいものを買うについて、大昔からある理由。


ジム・フリーン、25歳。
車は23年前生まれ。
25歳の彼に、とりたてていうほどの深い人生体験があるとはおもえません。
一方、23年間も走りつづけてきた車のほうは、経験たっぷりの珍しい存在といえましょうね。
そうそう、その車とは、VWなんです。
ご存じでしょう、「いま、新、わぉ」といって売りこんでいた車たちが、いまでは、私たちの小さな車の引き立て役にまわっていることを。
(厳然たる事実です)
とはいえ、私たちだって、この車をよりよくするために、いろいろやってきました。
ジムが'49年型ビートルで走りはじめてからこっち、私たちは、5,115ヶもの部品をいろいろと改善・交換してきました。
その事実をジムに告げ、あと23年間乗ったら下取りにだして、新しいのに乗り換えるんですね、と助言はしました。
ジムの返事は、こう、でした。
「いいから、放っといて。必要なときにはこっちから連絡するから---」


"The NEWYORKER" 1971.03.13
"LIFE" 1971.03.05



The beetle's ads series with "NEWYORkER's archive" (76)




The oldest reason in the world for buying a new one.


Meet Jim Frein, ago. 25.
And his automobile, ago. 23.
Now there's nothing unusuall about a nice human being being 25. But you have to admit it's a bit unusual when a car still runing around at the ripe old age 23.
But then again, the car is a VW
You see, in this ago of "New, Now, Wow" automobiles, we spend very little
time making our little car look better.
(Obviously.)
But we go spend a great deal of time making it work better.
Each and every one of the 5,115 parts in the Volkswagen has been improved and improved again since Jim's bug made its first journey back in '49.
We, of course, mentioned this to him and suggested that maybe after 23
years, it was time he traded his old one in for a new one.
”Don't call me, I'll call you," he said.


"The NEWYORKER" 1971.03.13
"LIFE" 1971.03.05