(328)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(18)
1961年ごろ、つまり、いまから50年ほど前、クルマは、ツー・トーン、スリー・トーン、ひれつきが流行していました。子どもたちはもちろん、おとなたちも年式がいいあてられることを自慢していました。つくられた流行でした。流行が去ってみると、残ったのは、むなしさ、愚かしさに似た感懐でした。
やりません。
私たちは、クローム・メッキで飾りたて、ツー・トーンのフォルクスワーゲンをつくるときには、このクラシックなかぶと虫型も変えるつもりです。
それはクロームばりは見ばえがしないというわけではなくて、そうしたからといって車の性能がよくなるというわけではないからです。
これが私たちのやり方です。私たちはVWを改良するためにのみ変えて、前年のモデルを古くさく見せるようなことはしません。
たとえば1961年には、私たちは空冷式エンジンの大きさも燃費も変えないで、より大きな馬力を出せるようにしました。
(ことし大きくなったものが一つあります。テール・ライトです)
VWを変えるには、すべて「理由」があってのことです。見せるためのものではないのです。
私たちはクロームでつづった車名すら持っていません。
でも、VWのイニシャルをつけた小さな丸いメタルだけはあります。
それは60万のアメリカの方々に、名なしの車に乗っていただくわけにはいかないからです。
C/W ダヴィッド・ライダー ヘルムート・クローン
A/D ヘルムート・クローン
"The NEWYORKER" 1961.09.30
1966 NYADC Gold prize
明日に、つづく。
Never.
We'd no sooner make an over-chromed, two-toned Volkswagen than we'd change the classic beetle shape.
It's not that the chromed version looks so bad; it just doesn't make the car work any better.
That's the rule of thumb we go by: we change the VW only to improve it, not to make last year's model look obsolete.
In 1961, for example, we were able to get more horsepower from our air-cooled engine without making it any bigger or less economical.
(One thing did get bigger this year: the tail lights.)
Everything on the VW happens for a reason; nothing is for show.
We don't even have a chrome piece that spells out our name.
We do have a little round emblem with our initia!s on it, though.
After all, we can't let 600,000 Americans go riding around in unidentified cars.
C/W David Raider Helmut Krone
A/D Helmut Krone
"The NEWYORKER" 1961.09.30
1966 NYADC Gold prize
It will continue tomorrow.