創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(327)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(17)


珍妙な写真です。
音は車内から聞こえてくるのに、ドアをあけてたしかめています。
「時速100kmで走行していて、聞こえてくるのは電動時計の音だけ "At 60 miles an hour the loudest noise in this new Rolls-Royce comes from the electric clock."」という、1950年代の秀作をもじったんでしょうが、R.Rは店の前にクルマをおいたヴィジョン、こちらはドアをあけてのりだして聞き耳を立てています。
どちらのヴィジョンがわかりやすいか。信頼できるか。


走っていて車の調子が気になるようなことはありません?


新車に対する価格には、奇妙なノイズの代金も入っているとお考えになっていますね。
フォルクスワーゲンは違いますよ。
フォルクスワーゲンの新車は、ノイズ別で、1,595ドル。
新しいフォルクスワーゲンは、キイキイきしむ音をみごとに取り除いています。それか
ら、何かが洩れるような音も。各部分が実にぴったりと適合しているんです。
実際の話、ひと晩中走り、整備したように
は誰もできません。
私たちは、15年間、同じ基本形によって仕事をしてきました。現在もそうしています。
私たちは、 ワーゲンを完ぺきな車に近づけるために、改良に改良を重ねています。まさ
に、最初の年からそうでした。
私たちの空冷式エンジンは、例えば、すえつけ前に回転させたり調整したりします。
ですから、初日からトップ・スピードでドライブできるのです。
エンジンは摩擦抵抗の少ないように、うまく設計されているので、オイル交換期間前に
補給しなくてもすむはずです。馴らし運転とか、走っている車の調子が気になるとかいう
こともありません。
今こそあなたは、フォルクスワーゲンを買うことが、インスタント・カーを買うことだということがおわかりいただけたでしょう。
水を必要としないということを除いて。


C/W & A/D ヘルムート・クローン


"The NEWYORKER" 1961.06.10


明日につづく。





You don't have to take it on a shakedown cruise.


Maybe you think mysterious noises are part of the price you pay for a new car.
But not for a Volkswagen.
A new VW costs $1,595. Without noises.
It's pretly hard to get a new VW to aqueak. Or leak. The parts fit together too well.
Obiously, nobody can just go ahead and build a car like that overnight.
We've been working on the some basic model for 15years. And we're still at it.
We keep refining our refinements to give you a car that performs the way it's supposed to. Right from the begining.
Our air-cooled engine, for example, is run and tuned before we install it. You can drive a VW at top speed the first day.
The engine is to beautifully machined for low friction, you'll rpobably never need oil betweenchanges. To say nothing of a break-in period or a shakedown cruise.
So you can see why buying a VW is like buying an "instant car."
Except you don't even have to add water.

C/W & A/D Helmut Krone


"The NEWYORKER" 1961.06.10


【参考】オグルビー氏によるロールスを象徴する広告の一つ。



原文および訳文クリック


It will continue tomorrow.