創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(427)バート・スタインハウザー氏、新任ヘッド・アートディレクターに(上)


DDBを身近にする一つの方法は、バーンバックさんのほかに、一人のクリエイターのファンになることでしょう。ミュージシャンや画家や小説家、あるいは落語家やマンガ家のファンになったときにやる---そう、そのアーチストに関するものを手あたりしだいにスクラップしますね、あれをやるのです。


あなたがアートディレクターなら、ボブ・ゲイジ、ヘルムート・クローン、ビル・トウビン、レン・シローイッツ、ロイ・グレイスなどのほかに、このバート・スタインハウザーも狙い目の一人です。ぼくは大好きです。尊敬しています。(ファンになったら、このブログのトップ画面左手にある検索窓へそのアートディレクターの名前をカタカナでもローマ字でも入れて、作品をコレクションするのも一方法です)。


だから、元稿の『DDB NEWS』(1975年1月号)より、多い目に作品を掲示しています。



                DDB 先任副社長,新任ヘッド・アートディレクター
                          バート・スタインハウザー 


「単なるガキから大人の男を区別するのは印刷媒体」


「バート・スタインハウザーは、いつもフレッシュで、なにか新しいことに挑戦している。だから彼は刺激を与えてくれる」
DDBニュース』のインタヴュアーが彼とともにDDBで育ったディレクターたちに聞いてまわった時の評言である。
そう、フレッシュネス、さらにはつねに向上する努力を怠らないその姿勢こそが、彼をDDBの新ヘッド・アートディレクターに指名させたといえる。


「ぼくの使命は、アートディレクターたちといっしょに仕事をし、印刷媒体で彼らに興奮を味あわせることです。もちろん、テレビもふくまれています。とにかく、DDBのグラフィックをレベルアップさせつづけることなんです」


バートはつづけて「そりゃあ、印刷媒体のことを強調しすぎているかもしれません。しかしね、当社でもテレビ広告の仕事が多いものだから、若いアートディレクター諸君のグラフィックの力量がいささか手薄になっているようにも見えるから、老婆心からあえて強調しているんですよ。


彼らがそのことを気にもとめていないみたいなのでね。DDBは、印刷広告で確固たる成果をあげてきているんです。ぼくがDDBへ入った(1955)のは、18年前のことでした。

当時のことを言うと、DDBは完全に印刷広告の代理店でした。ぼくは、ここでグラフィックの真髄を学んだのです。そう、相互啓発していました。


ビル・バーンバックは、アートディレクターの個室から個室をめぐっては、なにがなしの助言を惜しみませんでした。新しい視点についても、しょっちゅう話してくれたものです。


その結果、DDBは、刺激的でプロフェショナルで、革新的なグラフィックの、とてつもなく多くの成果をあげえたのです。実験を恐れずにやりましたからね。

ぼくがやろうとしていることは、その復元です。個室から個室をまわって、新しいやり方を見つける手助けができればとおもっています」


バートは、単なるガキから大人の男を区別するのは印刷媒体だと、信じている。


ビル・トウビンは、「アートディレクターとしての入社希望者のポートフォリオ(作品見本)は、まず印刷媒体のものから見る。、そこに見るべきものがなかったらテレビ・コマーシャルのリールなんかに眼も通す気にならない」と言っていました。


バートの作品がいつもグラフック的にみても輝いていたとしても、製品の販売に結びつけることも一瞬たりとも忘れられてはいまいことも見落としてはいけない。


彼の以下の発言はあちこちで引用されている。「その気になれば、アンディやクリオでコマーシャルの賞を取ることもできるが、私はニールセンの視聴率の数字を高めるほうを選びます。なにを言わんとしているか、解かるでしょう?」


>>(下)

[:W500]


これまでは、こんなデリケートなブロンドのどれにもなることはできなかったでしょう。


でも、今なら、あなたは、上の写真のどのブロンドにだってなることができます。あなたの髪が何色であろと・・・・・です。今こそ、クレアロールは声明します29年間にわたるヘア・カラー研究のうちで、もっともすばらしい進歩であると・・・・・・今までどこにもなかった22の微妙なブロンド・シェイドです。全く新しい髪の化粧品クレアロール・クリーム・トーナーです。
写真は、クレアロール・クリーム・トーナーの効果がどんなにすばらしいかを示したものです。今までは、ブリーチによってしかブロンドになることができませんでしたし、色の数も限られていました。あなたの夢みる髪の色はまだ存在していなかったのです!
今では輝くばかりのシャンペン・ベージュも、無垢(むく)のアイボリー・シフォンでも、クール・ムーンビームでもお望みのまま、22色の中から選んでください。
もちろん、はじめにレディ・クレアロール・ライトナーが必要です。その次に、クリーム・トーナー、これであなたの髪がどんなふうに変わるか見てください。柔らかでしなやかな感じと、きらめくような新鮮な輝き、そして、なによりもすてきなのは、あなたがいつも望んでいた新しいブロンドだってこと。あなたのヘア・ドレッサーはクレアロール・クリーム・トーナーがお気に入り・・・・・そして、あなたはプロンドの人生がお気に召すはずです。


copywriter:Carol Ann Fine 1958


補足】↑についてのバーンバックさんの日経ホールでの解説『日経広告手帖』1966年5月15日号

クレアロールは、12色の違った毛染めをつくっているが、最初にクライアントとしたとき、12色を現わすために、12の頭を使った広告をつくってくれということだった。しかし12の頭はまずいので、違ったことを考えた。ここで言いたい原理は、目をみはるようなショッキングな広告をつくるための道具立ては、それ自体が物語りになりうるということである。
私どもはここでは少しメカニカルなことをやってみた。12色の比較を12の頭でやるより、この写真でおわかりのように、少しずっずらしてやることによって比較は非常にうまくいき、クライアントも喜んでくれて、「これは変えないでほしい」ということで、何年間も使われている。
だからここでこの原理をもう一度言うと、人びとが見る広告はまた物語りを伝える広告でもあるということである。




今では調髪は60秒で。


美しくしなやかな髪で、しかもセットにもちこたえるだけのコシを与えるクレアロールの新発見。
うすい髪を豊かに見せます。痛んだ髪を再び健康な髪に見せます。それがカインドネス! 原料は濃縮たん白質。待つこともなく、ピート・キャップもいらず、洗い落とす必要もなし。ただカインドネスをつけてブラッシングでいいのです。強くて健康な髪にするのは、今では簡単。あなたにさいていいただくお時問は1分でいいのです。そしてクレアロールからのカインドネスをほんの少量。


1年に365回も剃るんですから、お肌も傷つくかもしれません。


あなたが、毎日、 ヒゲをお剃りになれば、あなたの肌は、顔を何回も走るカミソリの刃によって、イタメつけられることになります。炎症が着実に発生します。これが、ヤードリーのアフター・シェービング・ローションのようなよいローションが、現実になぜ必要かという理由です。この炎症を防ぎ、カミソリの刃で傷つけられた肌の痛みをやわらげるため、ヤードリーの純良で、豊かな有効成分が必要です、ヤードリーの特別な治療作用が、傷や荒れに働きかけます。そして、その刺激のない殺菌剤が、病気の起こるスキをけっして与えません。ヒゲ剃りのあとにアフター・シェービング・ローションを・・・・・これが鉄別です。
いつも二ヤードリーをお使いになれば、肌を整え、ヒゲ剃りあとの回復を早めます。ですから、ヤードリー が、快適で、元気のでるような感じをもっているからといって、一度つけただけでだまされないでください。あなたの肌がこの良質で、健康的な整効果をほんとうに必要としているのです。
アフター・シェービング・ローションを、ゼイタクだなどと言う人は、毎日ヒゲを剃らなくてもよかった人です! 特別敏感な肌の持ち主にヤードリーの新しい、ヒリヒリしない、ベトつかない テンダー・スキン・シェービング・ローションをおためしください。


copywriter:Mary Wells 1959

シヴァス・リーガル


[:W450]


トク、トク---


パーティーが終わってホストは、ほとんど空になった教本のスコッチの瓶がでることがよくあります。
残った酒を自然と1本のに瓶に集める傾向があるようです。どの瓶にでしょう?
モラル性をうんぬんするつもりではありません(シーヴァス・リーガルがよくこの名誉にあずかっているってお世辞を言っていただいているのですから)。
でも、どうぞなさらないでください。だれもだませないのですから。スコッチの味を知っている人はね。
シーヴァス・リーガルは、たいへん独特なウイスキーです。たくさんの人がシーヴァス・リ-ガルがあらゆるスコッチの中でもいちばん口当りがいいと考えていらっしゃいます。
スコットランド高地地方でもいちばん古い醸造所のグレンリベットの一級品のウイスキーでつくられています。
どの一滴一滴をとっても12年はたっています。
シーヴァス・リーガルとほかのスコッチとの違いがわかるようになるには、どれくらいの習練が必要かとよくお尋ねいただきます。
お近くのバーで1杯ど注文なさって、水で割らないですすってごらんになれば1回で分かります。
秘訣はそれだけ。


Copywriter:John Withers 1962


【参照】




DDBのアートディレクター---バート・スタインハウザー


>>Bert Steinhauser, 73, Art Director for Ad Agency(The New York Times)


>>(下)