創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(495)ボブ・ゲイジ氏のスピーチ


ロバート・ゲイジ氏が公の場へ姿を見せることは極めて珍しい。このスピーチ記録も、まず、彼の秘書と仲良くなって---秘書の例に洩れず、切手収集が趣味だったので、浮世絵などの珍しい切手を貼った手紙をしばしば出して---送ってもらった。もちろん、ゲイジ氏の許可をとっての上だ。広告の歴史を変えたDDBを語るには、バーンバック氏だけでは片手落ちなのだということが、取材していてわかってきたのである。氏は、1972年、ニューヨーク・アートディレクターズ・クラブが「名誉の殿堂入り」の表彰制度を新設したとき、第1回目に全員一致で選ばれてもいる。
2008年2月12日のコンテンツの再録

その後、原文が出てきたので別に発表していたものを、今回一つのまとめました。



『私は、広告が大好きだ』

   
         Mr.Robert Gage
         Senior Vice President Chief Art Director, DDB(1963年当時)
         1963年、モントリオール・アートディレクターズ・クラブでの招待スピーチ




人生で最高の出会いが、広告の歴史を変えた


私がどれほど仕事好きであるかを知っていただくためには、初めてビル・バーンバックに出会ったときのことをお話する必要がありそうです。


私は、ケリー・ネイソン広告代理店で働いていましたが、ちょうど辞めようと思っていたところでした。
ビルはそのころ、グレイ広告代理店のクリエイティブ・ヘッドでした。
私は、ビルを知りませんでしたが、ある仕事のために人が求められており、彼がその面接官であるということは聞いていました。


会う前夜のことを忘れることができません。
私は、ちょっぴりでも妥協したものは、すべてポートフォリオ(作品のスクラップ)からのけました。私がやりたいと思っている種類の仕事をよく表わしていると思われるラフ・スケッチだけを残しました。


ビルに会うために部屋に入って行きながら、私は突然、今、自分が手にしているサンプルはとんでもないものではなかろうか、という恐怖におそわれてしまいました。
もし彼がこの作品を気に入らなくて、ポイと投げ捨てでもしたら、私はもう行くところがどこにもないのだと感じていました。
そうなったら、広告なんか信じられなくなって止めてしまうだろうと思っていました。
ビルは、私の作品を見て、気に入ってくれ、私はその仕事を得たのです。
別れる前に、広告の将来について議論しました。


彼が広告の将来をどう見ているか。
私はどう見ているか---を。


その情熱と理解は、私に深い感銘を与えました。
ついに、新しいアイデアを寛大に扱ってくれるだけでなく、それを要求する人に出会ったのです。ビジュアルに考えることのできる想像力豊かなライターに、です。
一人の男との、長い間続いた、そしてこれからも、もっと長く続くと思われるすばらしい友情がこのとき始まったのです。


イデアは、アート=コピー・セッションで高める


1949年、DDBが発足した当時の米国の広告界には、コピーライターとアートディレクターがチームで仕事をするということは、ほとんどありませんでした。
しかし私たちには、それ以外のやり方で仕事をするなど、思いもよりませんでした。


当時私は、ビルかフィリス・ロビンソンといっしょに仕事をしました。
一片のコピーだけが私に渡されるなんてことは、絶対にありませんでした。
先入観をもったレイアウトをつくることを要求されませんでした。
コピーライターの下手くそで小さな絵を添えた例の黄色い紙(---注:コピーライターが使う法律用箋。大学生が講義をメモるのもこれ)---を受けとることもありませんでした。


私は、この13年間(注:1963年の時点で)、ほんとうに幸福でした。仕事をするには、これ以外の方法はないように思えます。


でも、お互いに尊敬しあう2人が、一つ部屋にすわってやるほうが、アイデアがよく湧くように思えます。
そこでは、一つのアイデアについて語ることによって、もう一つのアイデアを導き出し、それがまた次のものを生みます。
アートディレクターは、もっとよいアイデアが出てきたときには、今もっているアイデアがどんなによいものでも捨てる勇気をもたなくてはなりません。


コピーライターもそうです。


私は、コピーライターがビジュアル・アイデアを思いついても、アートディレクターがヘッドラインを書いても、ちっともかまわないと思います。
それは、2人の共同作業であり、その仕事の栄誉は2人で分かつべきです。
またもし、その仕事がまずいものであったら、それは自分たち2人の責任でもあるのです。


私は実際、アイデアがどこから出てきたものか、気にしたことはありません。いっしょにやったコピーライターのものか、あるいは私自身のものなのか。
ときには、私がアイデアの推進者になることもあります。場合によっては、私の力のほうが大きいこともあります。
ある一つのアイデアへ導いていった過程をたどってみようとしても、それができないのには、いつもあきれてしまいます。


なぜなら、そのアイデアに達するまでにたどった過程は、私の意識下の中のモヤモヤとした部分にあるからです。


私たちは、あなたがたはアイデアが行きづまるとか、アイデアをきらすとかということがないのか、とよくきかれます。
正直にいって私は、一度もアイデアにつまったこともきらしたこともありません。


でも、私のこれまでの仕事の中で、自分がどんどん消耗しつつある、あるいは2度とアイデアにぶち当たることがないのではないかと思った瞬間や期間があったことを、白状しなければなりません。


このごろになって私は、それがどういうことであるのか、よく分かりかけてきました
私は、なぜこれが起きるのかわかりますし、それがいつ起きるかを予見することもかなりよくできます。

  
イデアにつまった時の、私の脱出法


私は、(ほかのアートディレクターの方々もそうでしょうが)キック(kick) をやります。そんなときには、キックが唯一の思考法です。
私が取りかかっている仕事の中の広告アイデアがどんなものであっても、このキックは、 ビジュアルに、また、ほかの面にも何か影響を与えます。
やがてすぐに、それはあまりにも安易になりすぎて、私はひどくそれにウンザリし始めます。そのとき、私は突然、もう一つのキックを発見したい気持にかられるのです。


何か空虚な気持ちになり、元気がなくなるのはこのときです。


しかし、やがて私はそこから登り始め、そこに新しいアプローチ、あるいは新鮮な見方があることを発見するのです。そして車輪は再び回り始めます。


人が登り始めるとき、必ず今までよりも高く登れるものかどうか、じつのところ私にも分かりません。
アートというものには、ほんとうに進歩があるものかどうかも分かりません。
でも自分のアートを支配する能力という個人的な範囲においては、進歩ということもありうると思います。


この仕事を長い間やってきて、よかったと思われることの一つは、自分にとって最もよい仕事ができる条件というものが分かり始めるということです。


私は、自分が困難のいっぱいあるときに最もよい仕事をするということを知っています。仕事が急を要しないときでも、私はそれを急いでやらなくてはならなくなるまで、わざと引き延ばしているようです。なぜならジュース(精粋)が流れ出し、私がもっとよく考えることができるのは、こういう時だからです。


私は多少怠け者のようです。ですからこの外側からやってきて私を助けてくれる方法を見つけたのです。


私は朝早く起きて仕事をする、ということに、たいして心を留めてはいませんが、自分の仕事が9時から5時までの仕事とはつゆ思っていません。やらなければならない仕事がたくさんあるとき、私は徹夜だってやります。


また思うのですが、どんなアーチストでも決して自分の仕事からのがれることができないのではないかと。私は家庭へは、いかなる仕事をも持ち込まないように努めています。しかしその仕事が、ふと心をよぎる瞬間があり、いつもあれこれとその解決をさがしているように思われます。そしてドキドキするような解決法が見つかると、それが心をすっかり占領してしまって、ほかのことはいっさい考えられなくなります。


仕事がたくさんある時が、いちばん幸せ


もう一つ気づいていることは、私は仕事がたくさんあると時がいちばん幸せだということです。
忙しいと自分自身について悩む時間がありませんし、私の心はその問題でいっぱいだからです。
そして仕事をたくさんすればするほど、もっとたくさんの仕事ができるような気がします。
これが、私が前に言った---車輪の回転を早めることです。


さて、夜、家ですわってテレビを見ている時(ときどき、そうするのですが)、コマーシャルを見ます。


一般的にいって、コマーシャルほど、世の中でうんざりさせるものはないと思います。


今や米国の経済は前進を続けなければなりません。そして広告は商品を動かすための最大の武器だと思います。
しかし大衆をうんざりさせていては、商品を動かすことはできません。
たとえあなたがどんなに多くのセリング・ポイントを詰め込もうともです。


コマーシャルを作るとき、人びとをうんざりさせないようにしようという努力が、私によりよい仕事をさせることになります。
私は人間が大好きです。
シニカルなアプローチで彼らに近づくのが好きです。
彼らの知性を過少評価したり、だまそうとはしません。
つねづね、自分は平均的な男だと思っています。
ですから、私の創るものが自分にアピールするならば、ほかの人もそれによって動かされるだろうと思っています。


私はものごとを客観的に見るということができません。それは専門家にまかせています。自分自身の本能に従わないで、ものごとを客観的に見ることは、自分のアートを破壊します。


アーチストとして、私たちはまわりのあらゆる変化にいつも敏感です。普通の人より敏感だと思っています。もし私たちがその感覚を失えば、滅んでしまいます。私たちが調査マンよりも直観力にすぐれているとすれば、まさにこの点においてなのです。


最後に、これから申しあげる日々は過去のものになったと、私は思いたいのです。そう、長いことかかって苦労して作品を作りあげたアーティストがだれかのところへ行って、「これです。あなたがこれを気に入ってくださるといいのですが---どうぞ好きになってください。もしお気に召さないなら変えましょう。それでもお気に召さなければ、自殺します」と言っていた日々のことです。


仕事をする人が、すなわち、どんな仕事をやったらよいかを決めるのに強い発言力をもつ人でもあるという日が、ついにきた---と私は思います。(了)


ポラロイドのキャンペーン




この写真は1分間で仕上がりました


撮ったのはポラロイド・カラー・パック・カメラです。 本当にロンドンの街角の色を写したかどうか確認するために、わざわざ家へ戻る必要はありませんでした。シャッター速度指定やピント合わせで時間を浪費する必要もありませんでした。シャッターを押すだけでセンサーがすべてをやってしまうのですから。 でも、あなたは世界中を旅行しているわけではありませんよね。裏庭でお子さんの写真をお撮りになりたいんでしょう? しかも、撮って60秒後には、もうカラー写真を見せられるなんてこと、ほかではできません。その上、あなたはラッキー。新しい低価格の型番がでたんですよ。


The New Yorker, October 17, 1964


THIS PICTUE WAS MADE IN A MINUTE with a Polaroid Color Pack Camera.
The man who took it didn't have to wait until he was back home to find out whether he'd really caught the color of London
And he didn't have to waste time fiddling with dials and meters.
You push buttons the electric eye does the rest.
Maybe you're not a world traveler.
Maybe you figure you're lucky if you make it out to the back yard.
There's still nothing like seeing your color pictures in just 60 seconds.
Especially when they can look like this.
Dod you know that there's now a new,
lower-priced model? Take a look.

ポラロイドの広告「動物園」


>>フィリス・ロビンソン夫人とのインタヴュー「娘の協力でできたポラロイドのCM」

サクソン氏のマンガ・イラストを起用したアメリカン航空のシリーズ


わが社のスチュワーデスは盗まれっぱなしです。


わが社のほとんどのスチュワーデスは、2年とたたないうちに、辞めて、ほかの男性のもとに走って行ってしまうのです。
驚くほうがどうかしているんですね、きっと。だって、5時間半もほほえみを浮かべていられる若い女性なんて、そうザラにはいませんからね。
申し上げるまでもないことですが、124人もの人たちが夕食に何を食べたがっているかを覚えていられる細君をみつけることもね(その上、お望みとあれば、気象現況やジェット機のことについてもお話しできるんですよ、彼女は---)。
でも、私たちが問題にしているのは、 こういったことではありません。問題はどういう女性を私たちが雇っているか、です。美人というだけではダメなんです。いいえ、それが重要じゃないと申し上げるわけじゃありませんよ。ただ美人というだけでは十分じゃないってことなんです。
つまり、私たちが求めているのは、そう、親しみのある女性です。
あなたが、彼女たちはすべての乗客に親しくしすぎるとおっしゃるのはムリといものです。
ご自分だけ---をお望みなら、スチュワーデス養成所時代の彼女をおさらいになるんですね。




People keep stealing our stewardesses.


Within 2 years, most of our stewardesses will leave us for other men.
This isn't surprising. A girl who can smile for 5 hours and half is hard to find.
Not to mention a wife who can remember what 124 people want for dinner. (And tell you all about meteorology and jets, if that's what you're looking for in a woman.)
But these things aren't what brought on our problem. It's the kind of girl we hire. Being beautiful isn't enough. We don't mean it isn't important. We iust mean it isn't enough.
So if there's one thing we look for, it's girls who like people.
And you can't do that and then tell them not to like people too much.
All you can do is put a new wing on your stewardess college to keep up with the demand.


The New Yorker, May 22, 1965


「アリスじゃないじゃないか!」


そう、彼女はアリスじゃありません。アリスは辞めたんです。
彼女が同乗する路線の〔ご常連の方々に〕とって、彼女がいないことが、どんなに悲しいことか---ご同情申し上げます。
アリスときたら、一度ご同乗なさったあなたのお顔を、次にお乗りなるまで覚えていたんですからね。三度目はお名前までも---。
こうなれば、サッカリン入りのコーヒーを出されても、あなたはご満足なさったわけです。
アリスはどうしたのか、ですって?
お知りになりたい? 彼女は、お客さまのひとりと結婚したんです。
じつのところ、私たちが養成したスチュワーデスのほとんどが、お客さまと結婚してしまうのですよ。
(わが社のスチュワーデスときたら、2年ともたないんですからね)。
アリス嬢がいないとしても、私たちをそんなふうに見ないでください。
(ドリーか、ノーラか「可愛い赤毛のナントカちゃん」がいなかったとしても)。
彼女たちをどんどん引っこ抜いておいて、一方では飛行機の中で出会いたいなんて、ちょっと---ね。




"You're not Alice."


No, that isn't Alice.
Alice isn't with us anymore.
And we understand the "regulars" on her night aren't very happy about it.
After you flew with Alice once, she remembered your face the next time.
And your name the next time.
And that you liked your coffee with saceharin after that.
And what happened to Alice?
Well, if you must know, one of you married her.
In fact, one or another of you has married practically every stewardess we've ever had.
(It' got to the point now where we can't keep girls more than 2 years.)
So don't look at us that way if you happen to miss Alice.
(Or Doreen or Nora or "that little Miss Whoozis with the red hair.")
You can't go on removing these girls from the premises and still expect tofind them on the airplane.


The New Yorker, September 25, 1965


★このシリーズについての、ビル・バーンバックさんが、日経ホールのスピーチ(1966)で付した解説。


ELALイスラエル航空のキャンペーンで成功したあと、アメリカン航空が依頼してきました。
ずっと数年間、この社の広告を担当していますが、ここで私が強調したいことは、広告とは、毎日の生活と密接につながっており、そしてパーソナリティ(人格)がなければだめだということです。
まず、アメリカン航空から依頼をうけたとき、あれこれの航空会社の広告をつぶさに調べてみたところ、ほとんどが同じような表現で社名を手で隠してみると、どこの社のものか区別がつかなかったのです。
そこで、アメリカン航空にパーソナリティを出すために、このマンガのイラストを使うことによって、アメリカン航空らしいパーソナリティができました。
これをタイムその他の雑誌に掲載しましたが、あとでリーダーシップ調査をみたところ、航空会社の広告だけでなく、あらゆる掲載広告の中でもっとも精読率が高かったのです。
ここで言いたい原理は、つねに人々が読む興味深い広告をつまくらなければいけないということです。
そして広告している製品ないしは会社のためのパーソナリティをつくってやらなければいけないということです。


ジャマイカ政府観光局の広告




彼女の眼から数秒間でも視線をそらすことができたら、あなたは絹の格安品を掘り出すこともできるし、ローライ・フレックスだって買えるかも。


ジャマイカでは、じっと見つめることは失礼にはあたりません。
あなたが出会ったこともないような顔立ちがたくさんあるのですから。初めて見たものというのはさまざまな印象を残しますね。目、ほお骨、肌、唇、髪の毛…それぞれ別の世界に属していたものが、ここではひとつの顔の中に存在しているのです。
あなたは、絹を売る店のカウンターの向こうに、ひとりの娘をごらんになる。そして驚きになるでしょう。あの可愛らしさにはアフリカがずいぶん入っているのかな。中国系でもあるが、インド的でもある。ヨーロッパも相当あるな。でもはっきりとはわかりません。アフリカが中国に、中国がインドに、インドがヨーロッパに、混じり合っていることがあるのです。境界が不明瞭となるまで、国籍が消え失せるのです。そして現れるのは、それらのどの国にも属さない、ジャマイカだけの美しさです。その美しさが最高に現れたケースでは、繊細で、夢のような、この世のものとは思えない美しい美女の出現です。(略)
けれども、もし絹へ目を向けることがおできになりさえすれば、これは「いい買物」ということがお分かりになるはずです。アメリカでお払いになるよりも6割もお安いのです。それから、フランス製ドスキンの手袋、エジプト綿も4割方お安い。
ジャマイカの免税率は、世界でも最高の部類に属しています。シーヴァス・リーガル$5.50、 シーグラムV.O.$2.50、 12年ものジャマイカ・ラム$3.00。プロの演奏家用のジョージ・ヘドレイ手作りのコンガ・ドラム$22.00、ニコン、ツァイス・イコン、ローライ45%オフ。(略)

With copywreiter Ron Rosenfeld




If you can take your eyes off her face for a few moments,
yon may pick up a bargain in silks. Or pedlaps even a Rolleiflcx.


In Jamaica, you have an excuse to stare. Faces like you've never seen before. Shades from a new spectrum. Eyes, cheekbones, skin, lips, hair--- that have always belonged to different worlds. Here, together in one face.
You see a girl behind the counter ofa silk shop. You wonder. How much of that loveliness is Africa? How much
China? How much India? How much Europe? You can't always tell. Sometimes, Africa blends into China into India into Europe. Until the divisions are blurred, the lines of difference, lost. And what comes out is a thing that belongs to none of them. Only to Jamaica. At its best, this new kind of beauty is fragile, dreamy, ethereal. At the yery least, exciting, interesting, unexpected. So who could blame you for not paying attention to the purple silk sari.
But if you can shift your eyes to the silk, you'll see that it is quite a buy. 60% less than you would pay in the States. And those French doeskin gloves. And those Egyptian cottons. 40% less.
Jamaica's duty-free prices are among the lowest in the world. Chivas Regal Scotch, $5.50 a fifth. Seagram's V.O., $2.50 a fifth. 12-vear-old Jamaican rum, $3.00. Aphrodisia-- 60% less. Professional conga drums, hand-made
by Jamaican George Hedley, $22.00. Hand-woven straw bags, $2.50. Nikon, Zeiss Ikon Conta-flex, Rolleiflex cameras, 45% off.
Jamaica? Among other things, it's the world's most beautiful discount house.
For more information about Jamaican eyes, cheekbones or rum, see your travel agent or Jamaica Tourist Board, Dept. 2C, 630 Fifth Avenue, N.Y.C.


The New Yorker, November 30, 1963

[:]


ちょいと勇気をふるって、200メートルの滝をジャマイカのターザンと登ってみませんか。「お孫さんへの武勇伝になりますよ」。


郷に入れば郷に従え、ですよ。燃えるように赤い花を折って髪に挿しませんか。それから、サロンかそれに最も近いものをお巻きなさい(男性は腰巻をお持ちください)。そして、涼しく楽しいダンの滝へ降りて行きましょう。
ビンセントがお連れしますよ。頂上からはちょっとこわいかも知れませんが、ご安心を。ビンセントは滝歩きのベテランです。いままでに一人の怪我人もだしたことがないのです。
本滝のいちばん底へ着いたら、あなたは海岸に出ているのでびっくりなさいますよ。人里離れた、美しいところです。さりとて、あなただけがそこにいらっしゃるというわけにはいきません。ジャマイカ人の家族の幾組かが、いつもここでカリビア海に飛びこんたりしています(これらの優雅なジャマイカたちは、生き方というものを知っているのです。彼らは観光客と同じように、美しい世界を楽しんでいます。そして、その世界を熱愛するすばらしい外国人たちとともに楽しむことを嫌だとはほんのすこしも思ってはいません)。
ジャングル生活をおつづけになると、10センチものバビリオ蝶を、あなたはファーン・ガレイのそばで追いかけることになるでしょう(ここは熱帯植物ガレースのように生い茂っていて、太陽が大地にとどかないほどです)。
あるいは、人跡未踏の奥地深く探検に行ってごらんなさい。地図にも載っていないところ、植民地の逃亡者もすまなかったところです。それとも、海岸をドライブしてワニを撃つのもいいですね(島唯一の野生動物です)。
それからリオ・グランデに登り、竹のバナナ・ボートに乗って動物狩りを楽しんだり、急流下りを満喫しませんか?
太陽が西にゆっくりと沈むころ、そしてその日のジャングルの叙事詩を心ゆくまで味わったころには、あなたはジャマイカの高度に文明施設のととのったホテルへお戻りになるのです。ホテルでは<ジャングル人>よりも<文明人>としての最高の夜をお楽しみいただけるようになっています。


With copywreiter Ron Rosenfeld




Be a little daring,
Climb down a 600-foot waterfall
with the Jamaican Tarzan.
(You'll have something be tell
your grandchildren.)


Do something corny. Break off a scarlet flame tree blossom for your hair. And wind into a sarong or the closest you can come to one.(Men, bring your loincloth.) Then, splash your way down cool, musical Dunn's River Fall, with Vincent in the lead. From the heights, it looks scary. But relax. Vincent is a professional waterfall walker−−and he hasn't lost a climber yet. When you reach the base of the falls, you'll find yourself standing, surprisingly, on a beach. Remote and lovely. You won't have it all to yourself, though. There's always a family or two of Jamaicans splashing in the Caribbean here. (They know how to live, there beautiful Jamaicans. They enjoy their delightful world as much as visitors do. And they don't mind sharing it with other nice people who have a passion for it.)
To continue your jungle life, you might chase after a six-inch Papilio butterfly through nearby Fern Gulley (so laced with tropical greenery, the sun barely touches the ground). The Land of Look Behind.
Strange, largely unmapped. And inhabited by descendants of plantation runaways. Or drive to the south coast, to shoot alligators (the only wild beasts on the island). Or, to the Rio Grande, for tamer sport, to shoot rapids---on a bamboo banana raft.
When the sun sinks slowly in the west, and you've had enough of this jungle epic for the day, head for one of Jamaica's highly civilized hotels. Any of them can provide you with an evening that will be more
man-of-the-world than man-of-the-jangle.


The New Yorker, December 21, 1963


(このカラー版は、khalki さんにお手配いただきました。感謝)


スーパーマーケットのお買物から、アラマアを取りのぞいたのは、だれか?


冷凍食品の外装は濡れているものです。ミルク・コンテナーにしても然り。その上に1週間分の食料品をのせれれば、アラマア!です。そこで、食料品店の人は、袋を2枚重ねてうまくやろうとします。でも、袋を2枚重ねればコストも倍かさみます。オリンは、ウォーターバフを開発しました。耐水性の袋で、濡れた食料品をつめこんでも、45分間はゆうにもちます。ということは、店員さんも1枚の袋ですむというわけになります。ご店主は1枚分だけの袋代ですみます。1枚の袋で、お宅まで無事お持ち帰りになれます。オリンのパッケージ事業部からの・・・・・・もうひとつのクリエイティブな問題解決です。


Jzn. 06. 1962 The New Yorker

With copywriter Mrs. Philis Robinson




Who took the OOPS out of supermarket shopping?


Frozen food packages are wet. So are milk containers.
Load week's groceries on top of them and OOPS!
Grocery clerks sometimes try to solve this problem by doubling up on bags.
But two bags cost the grocer twice as much as one bag.
Olin has developed WaterBuff, a water-resistant bag that can carry a
load of soaking wet groceries for 45 minutes. That means one bag for the clerk to use.
One bag for the grocer to pay for. One bag that carries the groceries all the way home.
Another creative solution to a problem...from the Packaging Division of Olin.


どんなものにもまして、最高の贈り物。


幸福感に満ちていて慌ただしく、そして輝けるクリスマス・シーズン---あらゆる贈り物の中で、とびきりなのは聖書でしょう。お友たちへ、家族へ、ほかのどんな贈り物と比べても、あなたの愛と敬意をこれほど雄弁に告げるものはありません。

今日、あなたが聖書をお選びになると、完全に新しい種類の用紙に印刷されていることでしょう。次の世代まで、読みやすい白さと美しさを保ち、ほとんど重さを感じない紙。オリンが開発した紙です。オリンは、あなたのすばらしいクリスマスに、いささかでもお手伝いできたことを誇りに思っています。




The greatest gift of all.


In this happy, hurried season, when the true brightness of Chrismas is sometimes blurred by glitter and gadgetry, one gift shine through as the greatest of all---the Holly Bible. To a friend, to a family, no other gift speaks so eloquently of your love and respect. When you chose a Bible today, chances are it will be printed on an entirely new kind of paper---a whiter, almost weightless paper that will stay fresh, white and easy to read from one generation to the next. Olin developed that paper. We are proud to be part of your Christmas, part of your giving.

DDBは、オーバックスを最初のクライアントとして1949年6月1日に、経営陣とも11人で創業された。




ジョーンの秘密がわかりましてよ。


彼女の話すのをお聞きになったら、あなただってきっと、この人ったら名士録に載るほどの人だなってお思いになってよ。でも、私、彼女の秘密をつかみましたことよ。ご主人が銀行家だろう---ですって? とんでもございません。銀行口座すらありませんわ。それに彼女の住んでいるあの邸宅だって抵当に入っているのよ! 想像できて? それなのにあんなにたくさんの衣装! ええ、もちろん、彼女は着こなし上手ですわ。 でも、ほんとうのところ、ミンクのストールやパリ製のスーツや、あんなにたくさんの衣装が、ご主人の収入で買えるとお思いになれる? そこなの、私の発見は---ジョーンを尾行しましたのよ、そしたら彼女、オーバックスから出てきましたわ!


I found out about Joan.


The way she talks, you'd think she was in Who's Who. Well! I found ound all those dressest what's what with her. Her husband own a bank? Sweetie, not even a bank account. Why that palace of their wall-to-wall mortgages! And that car? Darling. that's horsepower, not earning power. They won it in a fifty-cent raffle! Can you imagine? And those cloth! Of course she does dress divinely. But really---a mink stole, and Paris suits, and all those dresses---on his income? Well darling, I found out about that too. I just happened to be going her way and I saw Joan come out of Ohrbach's!


★この広告に、ビル・バーンバックさんが、日経ホールのスピーチ(1966)で付した解説。

最初のスライドは、ニューヨークにあるオーバックスという店のものです。オーバックスは低価格を持ち味としており、つねに大安売りをする店です。こういう低価格方式の店がハイファッションの商品を売るというコンビネイションは、ちょっと考えられないことですが、この店はそれをやっているのです。
DDBがいつも提唱している広告によって、パリから持ってきた流行を非常に安い値で売るんだということで、これより高級な品のサックス5番街とか、ボン・ヌイット・テーラーと同じようなハイファッションのものを売っているという印象でできあがっています。
このような低価格のオーバックスの店でセレブな人が買い物をすること自体が、高級社会のごえまんさをあらわしているようにまで考えられるようになつてきているのです。
このような形の広告を始めてから、オーバックスはメイシー・デパートよりも50分の1らいの広告しかしないにもかかわらせず、読者調査をすると、ニューヨークで一番広告に金を使っているメイシーと同じ量くらいの広告をやっていると人々に受け取られています。
50分の1の予算で同じ量の広告をやっているように感じ取られれば、ビジネスマンにとってこんなに利益になることはないはずです。すなわち、意術的能力を実際面に転化したことらなり、これはマーケティングのうえにおいて非常に重要なことだと思います。
この広告は、普通の猫のストック写真を使い、リタッチでパイプの帽子をつけたしました。
ところが、猫にどうやってパイプをくわえさせたのかという手紙がきました。また、私の妻は、猫にどうやってあのような格好の帽子をかぶせたのかと聞きました。そこで私は、帽子をかぶせたりパイプをくわえさせたりするのは簡単だったが、猫に煙草を吸うことを教えるのがいちばんむずかしかったよと冗談を返しました。
これは、芸術的能力と創造性をいかにうまく使ったかとという一つの例です。


ボブ・ゲイジ氏の創造哲学


趣味のよさというものは、移ろいやすいものです。
ある環境ではよい趣味であっても、他の環境に置かれれば、悪趣味にされてしまうこともあります。
また、趣味は時間的なものによっても左右されます。朝にはよい趣味であったものが晩には悪趣味にみなされてしまいます。
ですからアートディレクターは、自分の趣味に自己満足をいだいてはいけないのです。それはその人の創造性を弱めてしまいます。自分のグラフィック・デザインが無趣味的で受身的になってしまいます。また、その時受け入れられたよい趣味だけにかぎっていると、アートディレクターは間が抜けるだけでなく、その安全だという気持ちがヴァイタリティとオリジナリティの最大の邪魔ものになるのです。


関連記事:選ばれたのは、ゲイジだった