創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

[6分間の道草](848)バーンバックさん生誕百年記念・まとめ(1)

[クリエイティブの核心] by Bill Bernbach

AAAA(全米広告代理業協会)の 1971年次総会で、DDBのビル・バーンバック社長がおこなったスピーチの要旨です。(『ブレーン』誌・坂本登 編集長=当時:訳)


chuukyuu補)スピーチに入る前に、この広告をご覧ください。
あたかも、バーンバックさんの4Aでのスピーチを証言するかのように、1971年11月19日号の『ライフ』誌に出稿されました。
オーバック氏は、DDB創業以来のクライアントであるオーバックス百貨店のオーナーです。オーバックスの広告群も当ブログですでに紹介しています)
この広告は、スペース販売のDDBの功績を謝して『ライフ』誌から贈られたスペースです。


「私にすばらしいアイディアがある。
それは真実を告げることです」
N.M.オーバック


ドイル・デーン・バーンバックは22年前、最初のクライアントからこの助言をいただき、現在も服膺しています。
それは夢のような利点をもったアイデアです。


まず第一に、 うしろめたさがなくなります。
第二には、従ってラルフ・ネイダーも手が出ません。
第三には、売る商品について、真実を告げることは最上の広告手段です。


無論、真実を告げることは必ずしも容易でありません。それでも事実を告げるためには、多大の勇気を必要としました。
DDBが現在広告をつくっている車を例にとりましょう。
この車は、当初から、デトロイトに馴れた目には、奇妙な小さな生きものに見えたようです。
実際、かぶと虫のように見えました。
そこで、かぶと虫と呼びました。
当社は車を売りました。
また私どもが「ナンバー2」と自称しているレンタカー会社。これもまことに非アメリカ的でした。
消費者に強く印象づけるには、たいてい、最大の---最高の--- といった形容詞を使わなければ不可と思われていました。何かそういうものを---。
私どもは真実を告げることにチャンスを求めました。
エイビスの利用者は増えました。
ローン利用の宣伝をしてはどうかと助言してくれた銀行家もいます。
しかし低利率ローンを宣伝する代わりに、当社は、1400語、2400行の広告をつくり、ローンだと、払い切れなかったとき、どんなことになるか、その不利な点をはっきり書いたのです。
といっても、だれも読んでくれなければ三枚目のコピー--ですよね?
しかし訴える力のあるコピーは読まれるものです。
これを読んでくれた人びとは、銀行ローンをおびやかしただけでなく、ウワサはウワサを呼び、このコピーを求める人は10万人にも及びました。
情報も真実の言葉になります。
潜在的消費者に情報を提供することは、広報の第一歩といえるでしょう。これは依然として最も重要な仕事にはいります。
信じてもらう、銘記してもらう、時には楽しんでもらう---これが大事です。
それゆえ、ドイル・デーン・バーンバックでは(この広告も含め)広告宣伝には大いに力を入れています。
広告は「ホット」でも「クール」でもなく、誠実一筋を旨としています。紙面や映像では、ありのままの姿をごらんいただいています。
あなたの商品であり、広告なのです。
たいていの方は、宣伝・広告といえば一抹の疑惑の目をもって見るのがふつうですが、それだけに真実を訴えるのはむずかしいといえるでしょう。
事実、広告は長い間にはイメージ・ダウンさえもたらしうるのです。
私どもも正直いいまして、楽園で商売しているとは夢々考えていません。
世間の目は抜けません。
だから真実を告げるのです。


この22年間、当社は同じアイディアでやってきました


『ライフ』1971.11.19号
→Google Books




"I got a great gimmick.
Let's tell the truth."
N.M.Ohrbach


Doyle Dane BernbachWas given this advic 22 years ago byour first client,anwe still like it.
It's a gimmick with fantastic advantages.
In the first place, you go to heaven. In the second place, Ralph Nader can't lay a glove on you. And in the third p1ace, telling the truth is the best known way there is of moving merchandise.
don't Of course, telling the truth isn't always easy. After the fact, some of DDB's problems look so tough. But, at the time, it took a lot of stamiNa to use our gimmick.
Take that automobile we do the advertising for. Back in the beginning, that car was a strange-looking little creature to Detroitc-cnditioned eyes.
In fact, it looked like a beetle.
So we called it a beetle.
We sold cars.
Or take that rental car company wecalled "number two." That was practicall Un-American.
The consumer wasn't supposed to be impressed unless you called yourself the biggest or the fattest or the most important. Something. We took a chance on truth.
We rented cars.
We have a bank client who asked us to advertise mortgage loans. Instead of advertising low-cost, mortgage loans, we prepared a 1400-word 2400-line ad describing all the terrible shocks and blows you're subjected to at a mortgage closing.
That was doubly ridlculous inasmuch as nobody reads copy. Right?
They read copy when you're copy telling them something.
Not only did the bank's mortgage busines shoot up,they were able to spread their name all over town because of some 100,000 reprint requests.
Another word for truth is information.
Supplying information to potential customers is where advertisihg started.And it's still the most important job. Done pelievably, memorably, entertainingly, sometimes, but done.
That's why, at DoyleDane Bernbach, we pay as much attention to print today as we ever did (including this ad).
Print is neither "hot" nor "cold.~ It's honest. Inherently. You're out there on the page, naked, without so much as a guitar.
Just you'ere product and the word.
And you're out there with that ordinary man in the street who's turned into a consumerist skeptic and who's learned to spot a hedge three columns away.
And with print, he can take a long, slow, devastating look.
We've got a confessionlfes to make; it's go nothing to do wioth heaven.
People ars as smart as we are.
That's why we tell the truth.


We've been using the same gimmick for 22 years,now.


LIFE, November 19, 1971


>>エイビスは、業界で2位のレンタカーです。それなのに、お使いいただきたい、その理由(わけ)は?
>>Avis is only No.2 in rent a cars. So why go with us?

>>不良品。
>>Lemon.


きょうのスピーチのタイトルは「クリエイティブの核心」であるが、私にいわせれば、その核心とは"鍛練"である。
われわれがビジネス社会において生きていくためには、たくさんの鍛練を積まねばならないが、最も基本的な鍛練は、われわれの目的、われわれの目標は"売る" ということだということを常に意識していることである。
ここからすべてが始まる。どんな分野----それが科学であろうと芸術であろうと---においても成功の度合いはどこまで自分の目的を達成したかによって測定される。
繰り返しになるが、広告の目的は"売る"ことである。
クライアントが金を払うのも、広告が"売る"という目的を持っているからである。
もう、あなたが思いついたどのアイデア、あなたが書く一語一語、あなたが撮る一枚一枚の写真に、この目標が浸みとおっていなければ、あなたはニセモノだ。
あなたはこの商売から足を洗うべきだ。


シェイクスピアはどうしたか

クリエイティブ・マンの読者で、オレはマス(大衆)に売るなぞはマッピラだ、もっと次元が高い仕事をしている、と思っている人がいたら、私は、Marchette Chuteの名著"An Introduction to Shakespeare"(『シェイクスピア入門』)中の次の文節をよく読んでもらいたい。


 「シェイクスピアは一般大衆に絶大な人気があったが、当時の文芸批評家は彼を重要な作家とはみなさなかった。ある作家が普通の人々に人気がある場合、平凡な批評家にはその作家が本当に重要な作家であるのかどうかを見きわめがたい」 
「当時の劇作家でシェイクスピアの無とんちゃくな文章をひどくいやがった人がいる。
ベン・ジョンソンである。彼は英国演劇界に”純粋な”悲劇と”純粋な”喜劇を復活させる決意をしていた。
ジョンソンは、シェイクスピアには技巧がないといったが、これはシェイクスピアはルールに従わないという意味であった
ジョンソンは『ジュリアス・シーザー』中のある文句にしつこく反対した。そのためシェイクスピアは、ジョンソンの気に入るようにその部分を変えたほどである。この劇に出てくるある人物のいう文句に『シーザー、汝は私に悪いことをした』というのがある。これに対しシェイクスピアのシーザーは『シーザーは悪いことはしていない。ただ目的があってやっただけだ』と答えている。
ジョンソンは、この文句は馬鹿げているといった。論理的でないというのであった。ジョンソンは、独裁者は大抵の場合論理的ではないということを忘れていたのである。
ジョンソンは、シーザーを原稿用紙の中にきちんとレイアウトされている登場人物と考えていたのだが、シェイクスピアは、シーザーを生身の人間として考えていたのだ」


エリザベス朝時代の演劇の人気は、ちょうど今のフットボールや野球のそれと似たものだった。演劇は大衆娯楽の王座にあったのである。
シェイクスピアは俳優出身だったので、大衆が自分の所属する劇場を支持してくれるようにと大衆にアピールする芝居を書くことに専念した。
彼にはそのようなはっきりした目的があった。
だから彼はクリエイティビティのルールには関心がなかった。彼は気どらずに自分の仕事をうまくやった男なのである。
彼は教養にじゃまされずに自己の天分を発揮したのである。


コピーライターは長髪にすべきか


【補筆】当初のコピーライターは、重鎮ジャック・ディロン氏でした。


スコッツの肥料---ベジタブル・ガーデンを一度お試しください。
(一度だけ。)そして収穫を見てください。


庭の植物はすべて成長したがっており、もし土壌がどうにか肥えていれば、あなたがちょっと手を借すだけで、そうなります。
(そして手作りの豆、スイートコーンは食事の度にお金の節約になるだけでなく、味もずっとおいしいはずです)。
トマトが10ポンドとれるか、その半分にしかならないかは、単純に言って、肥料の問題。
別に職業的裏付けがなくても、十分な収穫をあげられます。
私たちが、一度使うだけで足りる家庭菜園用肥料を発明しました。
収権期まで長持ちする十分な養分が入っています。
(ここが一気に溶けだし、すぐに効かなくなってしまう即効性の肥料と違う点。こういった類は2、3回肥料をやらなければならない)。
私たちの肥料は、配合成分の窒素が最初は植物が育つようにたっぷり、それ以後は少しずつ溶け出すように作ってあります。
トマト、豆、 コーンが余分にとれるのは、 こうした着実な養分補給のおかげなのです。しかも南部の砂地以外では、肥料は1回まくだけで十分です。
この肥料はすべての野菜に使用でき、害になるのではないかという心配もありません。遅溶性の肥料なので根焼けしません。箱の指示書通りご使用ください。
理想的な散布時は、種または苗をうえる時です。地表から深さ3〜5cmのあたりに、できるだけ均等にまいてください。
私たち自身、この肥料をあらゆる野菜でテストしましたので、効果はわかっています。そしてこれ以上考えられないほど簡単な保証をつけました。「いかなる理由でもこの製品ご使用後と効果に不満が出た場合は代金を返済します。購入の証明になる物をお送りくだされば、折り返し小切手をお送りします」
私たちは別におさがしにならなくてもオハイオ州メリーズビルにおります。


【掲載誌】1978年4月6日号『ニューズウィーク




Use Scotts Vegetable Garden Fertilizer once.
(Just once.) See what crop you get.


Anything you plant in your garden wants to grow, and if the soil's halfway decent and you give it just a little help, it will. (And your own fresh peas, beans and sweet corn will not only save you some money with every meal, they'll likely raste better, too.)

The chief difference between getting, say, up to 10 pounds of tomatoes and only half that much is simply fertilizer.
And you don't have to make a career out of putting it down.
We've created a vegetable garden fertilizer you use just oncea planting. It has enough nourishment in it to last for your entire crop.
(This is different from quick-release fertilizers that give you a burst offood right away and then run out on you. They're the ones that tell you to"apply" two or three times.)
We make our fertilizer so that it releases nitrogen gradually, enough at first to get your plants off and running, and then a little more week after week.
It's this steady feeding that helps give you all those extra tomatoes, beans and com. And one feeding is enough unless you're in the South and have sandy soil.
You can use this fertilizer on all your vegetables and you don't have to worry about harming them. It's a slow-release fertilize~ so it won't bum. Just follow the directions on the box.
The best time to use it is when you plant your seeds or seedlings. Just spread it as evenly as possible and work it into the soiI an inch or two.
We've tested this fertilizer ourselves on all sorts of vegetables so we know what it can do. And we sell it with the simplest guarantee we can think of. "If for any reason you are not satisfied with results after using this product, you are entitled to get your money back. Simply send us evidence of purchase and we will mail you a refund check promptly."
You won't have to go looking for us. We'll be right here in Marysville, Ohio.

(訳文なし:陋宅には芝生なし。将来もないと思うので未訳。原文を掲げたので、どなたでもヴォランティアを---

That tiny moving object your lawn is a goner. or we pay for this bag.

In just two weeks, bugs so small you can't even see them can finish off a whole lawn. So call this a kind of short lesson in bugs.
While our main grass research farms are here in Marysville, Ohio, we got to know the different bugs in the counrry by going where they are.
Mole crickets in Florida. Chinchbug in Connecticut. There areTexas bugs, California bugs, special bugs everywhere.
The closestthing there is to a national bug is the chinch-bug. This is a vampire. It slips its beak into the grass plant, lets loose with a toxin, and clrains off the plant's juices. The toxin does it. That grass is dead.
Let's start with the good news. The same treatment that takes care of one bug-sod webworms, say-also takes care of other bugs. Grubs, armyworms, most any bugs you have.
There are two main kinds of bugs to worry about. The surface kind lives down in the thatch and either chews or sucks fluid out of your grass. Most of these generally row up to be moths.
The other kind lives underground, eats your grass roots and usually becomes a beede.
In fact, dead grass is the first clue you've got bugs. You're a lot better off doing something before they start.
Our Lawn InseetControl"will handle just about any bug you can get, and one treatment lasts about 8 weeks.
We also have New Kwic for towns where chinchbugs are an out-and-out epidemic.
And a feeding ofScott1fertilizer will help your lawncomebackafter an attack. All our fertilizers are summer-safe and give yourdamaged lawn the slow-release feeding it needs.
Your Scotts retailercan tell you all you want to know. (Use lots ofwater when you're treating chinchbugs, for instance.)
But if you want to call us toll-free with any questions, dial: (BOO) 543-1415. From Ohio: (BOO) 762-4010, from the Dakotas and Nebraska West: (BOO) 543-0091.
You might also like to get our quarterly, Lawn Care. It's free and it's filled with good things to know. Just write: Scotts, Marysville, Ohio.We want to see that lawn grow as much as you do.




それにしても、女性好みのフレームづくりがみごと。


「クリエイティブの核心」
ビル・バーンバック氏 (坂本登 訳)
AAAA(全米広告代理業協会) 1971年 年次総会スピーチより


コピーライターは長髪にすべきか


最近、ニューヨーク・コピーライターズ・クラブで講演をした時、奇抜な服装をしているコピーライターをどう思うかという質問を受けた。
私は、いい広告を書いているかぎりクリエイティブの人がどんな服装をしてもかまわないが、逆に奇抜な服装やヘア・スタイルだけでコピーの天才にはなれないと答えた。
われわれの仕事は、クライアントの商品を売ることであって、われわれ自身を売り込むことではない。
われわれの仕事は、商品でなくわれわれ自身を目立たせるような小利口さを殺すことである。
神経が鈍くては商品を売れないが、神経が鋭くてもそれが見当はずれでは同じく商品を売ることはできない。
われわれの仕事は単純化すること、関連性のないことを捨てること、商品メッセージを殺してしまうような余分のものを切り捨てることである。
挑発的であってもよいが、それはあくまでも商品に関連性のあるものでなければならない。
クライアントの商品を売ることは、クライアントの責任でもあるが、またわれわれ自身の責任でもある。
われわれのコントロールの及ばない要因が原因で販売成績が低下して、そのためにアカウントを落とすのは腹立たしいことである。 しかし、間違いなくわれわれ自身の作業が原因であれば、クビになっても文句のつけようがない。
それで、まずわれわれは"売る" という鍛練---「商品の利点と商品のカギとなるメッセージが流れているか」という尺度で、われわれの広告の仕事を測る訓練---を必要とするのである。(かつての『ブレーン』誌の坂本 登編集長:訳)


引用の広告図版は、1973年---つまり、37年前の石油ショックの時のものである。『トゥルー True』誌11月号に掲載されていた。端正なビートルの写真に語られせるVW独特のスタイルから、マンガ調のイラストレイションにしている。「もう、端正になんか気取ってられない」という怒りも感じられる。ビートルのパトカー、タクシー---トラックやスクールバスへの改造車も描かれているのもガソリン高騰への庶民の怒りを凝縮。こんどの原油高騰に怒った庶民の声を反映した石油会社や車メーカーのCMを目にしたことがないのは、テレビの視聴時間が極端に少なすぎる人間だからであろうか。


ガソリン配給制に代わる配慮ある案。


この絵のどこに配慮があるかって? そう、もしこれが実現したら、毎年280億5600万ガロンものガソリンが節約できるという点。
どうしてこういう数字がでたか? 私たちは全国平均を得意とする国民性のおかげで、普通の車が年間735ガロンものガソリンを使うことを知っています。かぶと虫は399。そこで現在路上を走っている8500万台の平均的車種を全部カブト虫に代えたら、28,560,000,000ガロンのガソリンを節約できわけです。(多少の誤差はありましょうが)。
かぶと虫の空冷エンジンのおかげで、水や不凍液がどのくらい節約できるかはまだ計算してみたことはありません。
駐車スペースがどんなに増えるかもちょっと計算できませんでした。
フォルクスワーゲン世界でどんなにお金を節約できるかはもちろん。
でもこれがとっぴな考えでないことに私たちは確固たる自信があります。すでにオシニングではかぶと虫のパトカーが登場しています。L.A.では自家用運転手付カスタム・かぶと虫。そしてホンデュラスの町中ではフォルクスワーゲンのタクシー、そしてミズーリではかぶと虫が家畜の群れを導いています。
ガソリンの価格が上がり、配給制が実現されそうな今ほどかぶと虫が美しく見えたことはないでしょう。いえ、見事にと言っても過言ではありません。

この世にフォルクスワーゲンほどの働き者は、まず、いません。


chuukyuu補】"rationing(配給)" って用語がのこっていたなんて---第2次大戦中の米国の市民生活の名残りですかね。60数年前、米国ですらガソリンは切符制だったらしいことをしのばせる、なつかしい用語。

AD:Wally Arevalo
CW:Jane Talcott



A rational alternative to rationing gas.

What's right with this picture? Well if it were true, we'd be saving 28 billion, 560 million gallons 01 gas every year.
How did we arrive at that figure? Since we're a notion of notional overages, we know the overage car uses about 735 gallons of gas a year. The Beetle, 399.
Turn the eighty-five million overage cars on the road right now into Beetles, and it works out to a saving of 28,560,OO0,000 (give or take a few gallons).
Now we haven't figured out all the waler and antifreeze that would be saved with the Beetle's air-cooled engine.
Nor can we compute the extra parking space that would be around.
Not to mention all the money people would be able to save in a world of Volkswogens.
But we know for sure that this is no piple dream. There already are police car Beetles up in Ossining. And a custom built, chauffeur-driven Bug in L. A. And Velkswagen toxis all over Honduras. And a Beetle that herds cattle in Missouri.
So with gas prices going up and rationing becoming a reality, the Beetle never looked so good. In fact, you might almost call it beautiful.

Few things in life work as well a Volkswagen.


True Magazine, November, 1973
AD:Wally Arevalo
CW:Jane Talcott


何をいうかだけでなく  
   どのようにいうかが問題。


それだけで十分だろうか?
それだけが広告の目的のすべてだろうか?
ノーである。
広告が成功するためには、その他いくつかの鍛練を必要とするまでに世の中は進歩しているのである。
今や正しいこと、商品について関連性のあることだけをいう鍛練では不十分なのである。
洗練され、冷笑的で、不信感の強い世間の人々に対して、どのようにいうかがより重要なのである。
そこで第二の鍛練---美学的鍛練が必要なのである。モノをいう技術が必要である。
この前のANA総会で述べたことが参考になるかもしれない。

正しい広告だけでは商品は売れない。 ところが、私の見たところ、たいていの企業は正しい広告をつくることにきゅうきゅうとしているようだ。もちろん正しい広告は行なわねばならない。
しかし正しさを求めるあまり、不景気とコンシューマリズムの高まりのダブルパンチを受けて最近では広告の第一の目標---注目を集めること---が見失われかけている。今日のビジネスで最も罪深い金の浪費は、注目されない退屈な広告に金を使うことである。企業は日夜の努力によって正しい製品を開発し、正しいパッケージングをしながら、最後の段階で消費者を取り巻くコミュニケーションという大海のもくずと消えてしまうような広告をつくって、これらのマーケティングの技術を役に立たないものにしてしまっている。今、メーカーにとって最も望まれ、かつ重要なことは、自社の広告の内容に神経を集中させ、一つ一つの広告がコンシューマー・サービスの役割を果たすよう気を配ることである。
しかし、自社の商品の利点をくどくど書きたてたり大声で説明することがその解決策ではない
消費者が一種のコンピュータのように、広告を読んで商品についてのあらゆる情報を記憶し、その結果、完全な評価ができるのならよいが、悲しいかな、われわれ人間は、あらゆる種類の精神的・体的な要素を寄せ集めた生物体である。
われわれを退屈させる危険性のないものはないのである。 
最初の宇宙飛行のことを思い出していただきたい。われわれはみな昼食に行く時も小型ラジオを持って行った。あの偉大な冒険の一瞬たりとも見のがすまいとした。
それからあと、月着陸の場合を除いて宇宙飛行について、あの時ほどの興奮を覚えただろうか?
今になっては、宇宙飛行の話は世界の最大の関心事とはいえないのではなかろうか?
今日の広告についても同様のことがいえる。
確かにわれわれは広告なしにはやっていけない。
そうはいっても広告は正当な評価を得ていない。
広告予算に限っていえば、関係者が広告の力を信じるまでは正当な広告予算すら組めない。関係者は、広告の内容がわからなければ広告の力を信じない。
広告を見聞きしなければ広告の内容がわからない。広告が面白くなければ広告を見聞きしようとしない。
広告は、その表現が新鮮で、独創的で、想像力に富んだものでなければ面白くないのである」


明日は「意見は測定するのではなく つくり出すものである」


chuukyuu補】バーンバックさんのこのスピーチは、1971年の初夏におこなわれたものである。アポロ11号の月面着陸の成功は、計算どおり、1969年7月21日午前11時56分20秒であった。

DDBによるVWビートルの広告


不恰好ですが、運んでってくれますよね。


copywriter:Larry Levenson
art director:Jim Brown


今日の引例図版も、アートディレクターはヘルムート・クローン氏。DDBのクリエイティブ・チームは、コピーライターとアートディレクターのペアが責任を持つ。2人は、コピー=アート・セッションと呼ばれている自由対話によって、高みに達し、アイデアを結晶させる。この過程は、拙著『創造と環境』 (誠文堂新光社 ブレーン・ブックス 1969.5.30)に詳しく、当ブログの初期に全文を公開した。DDBの第一線級のコピーライターたちが口をそろえて打ち明けたのは、クローン氏とのペアは苦痛だと。30分単位のセッション中、クローン氏はただ黙ってコピーライターの顔を見つめているだけなので、ライターがひとりでしゃべりまくらなければならないのだ。独談しているうちに気が変になってくるんだと。しかし、ペアを我慢するのは、数回の独演セッションが終わってみると、クローン氏が広告史にのこるような作品を提示してくるから、その名誉欲に、ライターは勝てないらしい。


人間 対 機械


人力には限界があります。
もちろん、あなたは、考えたり、笑ったり、愛したりできます。機械にはできっこありません。でも人間にできなくて機械にできることもあります。
1秒間に平均120回も歯ブラシを上下させるなんて、あなたにはできっこありませんね。
ブロックソデントにはできます。この点では、人間よりも優秀です。
毎朝の歯を磨く楽しみを、自動化で奪ってしまいました。
あなたが歯ブラシを上下させたほうをみてください。たったの1回ですね。
ブロックソデントは、ご覧のとおり、上下の連続運動で、手だと3分はかかるところを、1分間ですませてしまいます。
人間の負け、ブロックソデントの勝。


アートディレクター: ヘルムート・クローン
コピーライター: ルディ・フィアラ



Man versus machine.


You're limited.
Sure,you can think and laugh and love and hate. And a machine can't But machines can do a few things that you can't do.
You can't brush your teeth at the rate of 120 strokes a second.
Broxodent can. It's better than you.
As a tooth-brusher, automation has put you out of business.
Look at the stroke you make with atoothbrush. It's just one stroke.
But the Broxodent stroke is really a series of up-and-down strokes.
Enough to do in one minute what it would take you half an hour to do by hand.
Man loses. Broxodent wins.

Broxoden the Automatic Toothbrush from Squibb

art director:Helmut Krone
copywriter;Rudy Fiala


意見は測定するのではなく
    つくり出すものである


少し前に、わが社のあるクライアントが、全関係広告代理店に、70年代の広告はどうなるか、という予測を依頼した。
わが社もこの問題を真剣に検討し、その結果プレゼンテーションには表や統計数字は一切使わないことに決めた。
われわれは、米国のビジネスマンはすでに事実と数字を十分以上に駆使しているから、同じように事実と数字を示しても目新しいとは思うまいと感じた。
われわれは意見の測定に熱中するあまり、われわれが意見をつくり出すことができるということを忘れている。
統計を集めることに熱中するあまり、統計をつくり出すことを忘れている。
もし、チャーチルが世界の世論に耳を傾け、冷静に統計数字を判断の基準にしているだけだったら、おそらく彼は事態は全く絶望的で、英国も自由世界も、もうこれまで---という結論に達していたにちがいない。
そんなわけで、わが社の意見としては、今後10年、いや100年たっても、広告における説得は、10年前と同じであるということになった。
人々の心に触れ、人びとを感動させることのできる広告人が有能なのであり、そのような才能のない広告人は有能でないのである。
広告について、 これまでと異なる新しいテクニックがあるだろうか?
さらに知識がふえるだろうか?
もちろんあると思う。
しかし新しいテクニックは公開されるや否やコピーされ独創性を失ってしまう。
もし、今後10年間に勤務時間が変わって、プライム・タイムが7時半でなく4時から始まるとしても、だれもそれを問題にすることはない。
独創的であるのは、印象に残る表現によって伝えられるすぐれたアイデアだけなのである。 これは他人がまねできるものではない。
アルバートアインシュタインと彼の礼賛者のエピソードがある。礼賛者が訊いた。


「教授。あなたはどのようにいろいろなことを記憶しているのですか? どのようにしていろいろな事実や数字を思い出すのですか?」


アインシュタイン博士はこう答えた。
「何も記憶していません。ほんの少ししか記憶していません。私はこれまでにたった2つのアイデアを持っていただけです


アインシュタインは、そのほかはすべて2つのアイデアを生かすための道具であることを知っていたのだ。





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