創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(230)[VWビートルの広告](130)


誌面と画面のコラボレイション


「同軌同文」

40年前の1969年の秋、この広告を見たときは、鉄拳が、ガッツンと頭の芯まで届いた気分だった。



イケメンじゃないけど、性能は非凡。


(または)
不恰好ですが、運んでってくれますよね。


copywriter:Larry Levenson
art director:Jim Brown


アポロ11号の月面着陸は、1969年7月20日でした。多くの人がテレビでその光景を見ていました。その時、何人の人が、ひそかに、こんな広告が創れることを考えていたでしょう。

「不恰好 ugly 」とは、VWビートルの広告制作チームが、早くから、自分たちの製品につけた「ニックネーム」でした。このニックネームは人々の見た目の代弁でもありました。

ぼくたちがやったのは[アポロ成功]当日の夕刊第1報への祝辞広告。



当時、銀行は3段以上の広告を出すことを規制されていました。1ページ広告に見せかけるには、このテしかなかつたのです。
>>制作時のはなし


読売新聞1969年7月21日夕刊

カンヌ(1969) 銀賞



(アナ)科学者ならだれでもいうように、
今日では未知の惑星に旅行することは、
それほどたいした問題ではありません。
そこに到着したあとで、問題は起きてくるのです。
ロケットから出た場合、だれも見知らぬ土地で、
ガスや油などをきらしたくありませんから、
あまり燃料を使わないですむ探検車が必要となります。
また、その探検車は、高温にも低温にも耐えられるもので
なくてはなりません。
そのうえ、その星の地面は“生のチーズ”みたいに
固い状態から“糖蜜”みたいなどろどろした状態までのあいだの
いずれかなのですから、探検車には特別な運転能力が必要です。
これらすべてを考慮に入れて、私たちV-1500の乗組員は、
フォルクスワーゲン・セダンをクセノフォン機に合う、
もっともよいクルマとして選んだのです。(金子秀之さん訳)


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