創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(219)[ビートルの広告](120)


「入れ物」と訳した元の英文は、”our old package”。ふつうなら、「ボディ」とか「車体」というところでしょう。それなのに、”our old package”---「容器」。この場合、エンジンが主役---といいたかったのでしょう。使用した言葉の上でもコピーライターの言葉選びの鋭敏で繊細な感覚が覗けます。


見慣れたこの入れ物に、驚くべき成分が加えられました。


それは、より長持ちするエクンジンと呼ばれています。
何と比べて長持ちするかって?
私たちの古いエンジンと比べて-です。その古いエンジンだって、新しいエンジンが出るまでは、この世に存在する最もタフなエンジンの一つだったのです。
新しいエソジンは、より強力です (最高時速でいえは、130km対125kmです)。
加速も向上しました。
何よりも大切なことは、古いエンジンと同じ重さだという点です。
ですから、目的地へ無理なく行けるってわけです。
けれども、世代差はこれまで。
この新しいエンジンも1リットルのガソリンで11km走ります。
オイルもクォート単位じゃなく、パイント単位です。
不凍液のいらないことも同じ。
そして、相変わらず、ぬかるみや雪の中で強い牽引力を発揮するのに都合がよいように、後部に置かれています。
そうです、私たちの古い入れ物をヒットさせた去年の要素は、今年もそのままなのです。
古い入れ物も含めまして。




An amazing new ingredient now comes in this familiar package.


It's called a longer. lasting engine.
Longer -lasting than what?
Longer lasting than our old engine, which in case you didn't know, was one of the to toughest engines around.
The new version is more powerful. (Top speed: 81 mph vs. 78 mphJ
It has better acceleration.
And most important, it weighs the same as the older version. So it doesn't have to work as hard to get you where you're going.
But that's where the generation gap ends:
1he new engine will still give you a good 26 miles to a gallon of gas.
It still takes pints of oil instead of quarts.
It still abstains from antifreeze.
And it's still conveniently located in the rear for better traction in mud and snow.
Yes, all the things that made our old package a hit last year are back again this year.
Including our old package.




2009.02.04追記
cnot さんに1997年にカンヌで賞をとったパサートのCMをYouTubeにアップしていただきました。イギリスDDBの制作だそうです。cnot さん、ありがとうございました。