創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(215) ボブ・ゲイジについて。そしてボブ・ゲイジとの会話(了)

   『CA(Communication Arts)』誌 1966年 Vol.2より

ヘルムート・クローン氏のエッセイに、帰宅途中の列車の中で、ボブ・ゲイジ氏と、ヘッドラインはどこまで小さくできるか---との会話を交わした、とありました。ジャマイカのあとのことでしょう---あんなにロゴを大きくしたのですから。そして、反射的にやったのが、サクソンのイラストを使ったアメリカン航空でしょう。そんなふうに、ゲイジ氏の心の動きを推測してみるのは、この人がほとんど、心のうちを明かしてくれないからです。

会話の終わり

ボブ・ゲイジとの、そして、ボブ・ゲイジについての会話は、ある冬の休暇の夕べで終わりを告げる。外はもう暗くなっていた。彼の机は、夫人と3人の息子とのポコノスでのスキーのための長い休暇を控えていて、きれいになっていた。ゲイジは椅子の背にもたれて煙草に火つけ、ゆったりとくつろいでいた。
「アートディレクターっていうのは、世界で一番ラッキーな人種ですよね。したいことをしてお金をもらってるんだから。私たちのように、環境に順応しにくい人種は、ほかに、どこでこんなにてて生計が建てられましょうか。でも、時々ですが、本当に環境に順応しにくい人っていうのは、私たちではなく、ビジネスマンだと思います。あの人たちは、自分のしたくないことをやってお金をかせがなくてはならない人が多いんですからね」



ボブ・ゲイジ氏のアート・ディレクション作品をもうすこし紹介したいが、オーバックス百貨店の広告群は別に独立させているので、ユチカ・クラブ・ビールとオリンを1点ずつ掲げる。



この時代のビールのうまさの秘密は?


● ウォルター・J・マット
この写責は1895年の夏、私たちのビール会社が恒例のピクニックに行ったときに撮ったものです。私の父---F・X・マットは右から5番目にいます。

私の父が1878年にドイツからこの国にやってきたとき、彼はビールのつくり方について非常に強い確信をもっていました。

彼は、ブラック・フォレスト地区のあるビール会社でこのやり方を学びました。そして彼が99歳でこの世を去ったつい3年前まで、彼は昔のやり方の多くがやっぱりビールづくりの最高の方法だと信じていました。(速いやり方ではありませんでしたけれど)。
父は自然なやり方のビールづくりがいちばんよいと信じていました。

ビールは実験室からでなく天然の収穫物からつくられるべきだと考えていました。
後年、シロップや調合液が簡単に使えるようになってからも、父は、けっしてそれを使おうとはしませんでした。
今日に至るまで、ホール・グレインだけが依然としてユチカ・クラブ・ビールでは使われています。

父はちょうど母が台所を切り回すようなやり方でビール会社を経営しました。90歳になるまで自分で仕入れもしました。そして一度もしくじったことはありませんでした。

私の覚えているかぎり、ユチカ・クラブ・ビールに使われているモルトは「特級」です。これはだれもが使うあいまいな言葉(たとえば「優良」などのように)としてではなく、ほんとうに手にはいるかぎりの最高の品質ということです。

父は、ビールはビール自身の生命をもつべきだと考えていました。人工的なカーポネーション(炭酸ガス補入)ではなく、この自然の生命を作り出すために、ビールは数週間ではなく数ヶ月寝かせるべきです。
問屋の倉庫のぴんの中でではなく、厳重な管理の下に冷蔵大オケの中でです。

自然にねかせるのは非常に経費のかかることです。3〜4倍の収容場所と、3〜4倍の大きさの大オケ、3〜4倍の冷蔵能力がいります(いいかえれば、同じ量のビールをつくるのに余分の設備と非常に多額の投資が必要だということです)。

さらに必要なことは、余分に十分に寝かせるということは、それだけ高いビールにつくということです。これをやるには、あなたは聖人のようにならなければなりません。
特に、暑い日には、問屋は血まなこになってビールを求めます。
そんなとき、まだまだビールが十分に熟成していないから店に出すわけにはいかないと彼らにいうには、よほど頑固でなくではなりませんす。いつも、父はたいへんに頑固な人でした。

この方法でつくられたビールの味は、どこが違うのでしようか? それは個性をもっているのです。ヘッドは濃くクリーム状です。味はまろやかでソフトです。そしてこれが今でも私たちがユチカ・クラブ・ビールをつくるのにとっているやり方なのです(ダークではなくライトです) 。この国の数少ない自然の味を生かしたビールの一つです。

しかしこういう味が好さではない人もいるということは、私たちがいちばんよく知っています。カーポネート(炭酸ガス補入)率の高い戦後のビールで育った人びとには、ユチカ・クラブは初めはちょっと変わった感じするでしょう。しかし、あなたが輸入もののドイツやデンマークのプランドに高い金を払っているビール飲みなら、あなたのユチカ・クラブに対する反応はこうでしょう。「どうして、だれかもっと早くにこのビールを教えてくれなかったのか!」
                社長 ウォルター・J・マット


with copywriter Julian Koenig



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Fair warning to fungi and bacteria: next on Zinc Omadine's little list are athlete's foot, perspiration odor, acne...