創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(66)モービルの安全運転キャンペーン(17)

2007年10月に、「レン・シローイッツ氏のスピーチ」の連載の中で4回ほど、モービルが1966年に創業100周年を記念し、社会還元事業として行なって、すごい反響を呼んだ安全運転呼びかけキャンペーンの数作品を紹介しました。
先日、倉庫から元の記録が出てきたので、項を改め、英文つきで掲載しています。


出てきた記録に付けたメモがありました。

1.社名
  1966年までの55年間、ソコニー石油だった。
  創業100年の1966年に、Mobil石油に変えた。
2.企業内容

    1969年 1968年
  売上げ 7,572,658,000ドル 7,092,705,000ドル
  広告費 17,000,000ドル 16,425,000ドル

3 安全キャンペーン
  (あなたに生きていていただきたい)
  目的と当初予算
   モービル創業100年記念にふさわしく、社の性格、個性
   をうまく反映させる企画であること。
   100万ドル(あまりの反響の大きさに400万ドル
          を追加)
4.その他
  *キャンペーン初日にジョンソン大統領の安全についてての演説があった。
  *半年前に、ボブ・ケネディ公聴会で自動車会社の安全性研究にかける
   費用が少なすぎると攻撃。
  *新聞・雑誌のほか、TV−CMも活用。
  *キャンペーンに寄せられた手紙は最初の1週間で1万通をこし、以後も
   増え続けた。モービルはその対応に8名の人員を当てた。



【ニューヨーク・タイムス WEDNESDAY, OCTOBER, 12, 1966 社説】

より安全な車のためのより安全な運転者


今では合衆国恵法にも記載されている、自動車の安全化に対する国民的関心は、よb大きな運転者の安全への必要性を緊迫化している。ニュー ヨーク州の自動車法にかける大きをギャップの一つは、運転者に対する自動車再試験制がとられていないということである。
2、3の州では、運転者に対して、免許証更新の都度、完全なテストを受けるよう要求している。さらに多くの州では、一度目の更新期、あるいは2度目の更新期ごとに、視力の再検査を要求している。約10の州では、すべての免許証保有者がある年齢を越すと、もう一度テストをしなおしてから免許証を更新している。その年齢は州によって、65歳から75歳まで様ざまである。しかし、ニューヨーク州で要求されるものは、、更新用紙の正確な記入のみである。ニューヨークで再試顔が行なわれるのは、何か恐ろしいことが起った後だけである。裁判所で免許証が無効とみなされた後で再試験が要求さるのはもちろんである。そういう場合には、その運転者は、もう一度、すべて最初からやり直さなくてはならない。
そして、18ヶ月の間に5件の事故を起こした者にも、試験が要求される。
自動車委員は、そのドライバーの適性を確かめるための『理にかなった根拠』があればいつでも、法にのっとって、再試験を要求する権利を持っている。実際には、これは、法廷で大変なゴクゴタを起こしたり、保換会社に『あの人が免許証を持っていなかったらなあ』と思わせるような者に対する再試験の必要性について査問が行なわれることである。こういったものは、どれも効果的ではない。40年前に資格をとった人、目が見えなくなった人、弱ってしまった人に対する注意が忘れられている。
65歳あるいは70歳を超えた運転者に対する再試験が、確実な原則となり、老齢者に対すろ過度の差別がなくなってゆくだろう。また3年毎くらいのすべての人に対して行なわれる定期的な目の検査と路上遅転のテストは、さらに確実なものとなるだろう。
車も、タイヤも、ハイウェイも、現代技術によって向上している。しかし、運転者にあってはそうではない。運転者の検査は少なくとも車の検査と同じくらいに必要をものである。


アーメン。(かくあらせたまえ)
ビル  あなたに生きていていただきたい。 




WEDNESDAY, OCTOBER, 12, 1966
New York Times


Safer Drive for Safer Cars

The welcome new national concern for safer automobiles, now written into Federal law, should not obscure the pressing need greater driver safety. One of the great gaps in New York State's motor vehicle law is the lack of automatic driver examination.
A few states require a driver to take a complete test every time his license is renewed. Still more states require retesting of eyesight, either for every renewal or every second renewal. About ten states require tests for renewed license for evry driver over a certain age, which varies from 65 to 75. But all that New York State demands is that the renewal application from be filled out property.
Retesting in New York is only demanded after something terrible has happened. It is required, of course, after license has been revoked in court. Under those circumstances the driver must start all over again. It is required of someone who has had three accidents in eighteen months.
The commissioner of Motor Vehicles does have discretion, under the law, to require a new test whenever there is "reasonable ground" to doubt the driver's qualifications. In practice this means that a hearing is held on the need for a new test for anyone who has had sufficient trouble in court or who has made his insurance company wish he didn't have a license. None of this is effective. Someone who qualified forty years ago, someone going blind, someone infirm may well escape notice.
Automatic re-examination of drivers 65 or 70 would be sound in principle and not unduly discriminating against the elderly. Priodic eye-testing and road-testing for everyone as often as every three years would be even sounder.
Cars, tires and highways have been improved by modern engineering. Drivers haven't. Inspection of drivers is at least as necessary as inspection of automobiles.


Amen.


Mobil We want you to live.