(71)モービルの安全運転キャンペーン(22)
モービルの安全運転キャンペーンの紹介は、今回で、とりあえず、終わります。最終回に紹介するのは、担当したコピーライターのボブ・レブンソン氏---VWビートルの2年目からも担当---が、「わが思い出の自信作」にあげた1点です。
その経緯は、レブンソン氏とのインタヴュー(2)に収録していますが、本文は全文ではなかったし、原文もつけていなかったので、今回、改めて、和英全文を掲出。原文は名文です。
これをTV-CMにした華麗な映像は、多摩美大に寄贈してあるビデオ・テープを、いつか借り出してお目にかけます。
(映像が見つかりましたので、Youtubeに載せました。)
死が2人を引き裂くまで
詩の中でなら、愛のために死ぬのは美しいことかも知れません。
しかし、車の中で愛のために死ぬのは、醜く愚かしいことなのです。
それなのに、車に乗ること自体にではなく、車の中での恋に夢中になっているカップルを、あなたはど
けだけ多く見てきたことか? あるいはあなたと自身が恋を楽しんできたことか? 死と肩を並べている生活に馴れっこになってしまったからでしょうか?
私たちは、若者を鋼鉄の山の中に埋葬することを暗黙のうちに認めている国民なのです。しかも、向こう見ずな若者だけでなく、純粋無垢な子どもたちまで。
だれもがこの事実に驚くばかりで、どうしていいか分からないでいるのです、しかも信じる信じないはともかく、15歳から25歳までの若者の死の筆頭は、自動車事故だというのに。
親たちは心配して、強に車のキーを採り上げます。保険会社も警戒し、高い保険料率を設定します。運転者のだれひとりとして思い止どませることができないのです。
(冷静な心をもった)統計学者でさえ、1970年には、毎年14,450人の若者が車の中で死んでいくいう数字を明らかにして警告を発しています。
もし、 毎年14,450人にのぼる若者が交通事故で死んでいくとしたら、これはベトナムでの若い犠牲者数をはるかに上回ることになるのです。
私たちが国に納めている税金は、小児マヒ一掃のためだけにしか使われていないということなのでしょう?
あるいはジフテリアや天然痘を根絶するための医学のためだけに?
ハイウェイでの若い犠牲者を出さない社会とは、いったいどんなものなのでしょうか?
これこそ現在の米国がかかえている大きな問題なのです。
信じられないことですが。
若者はベスト・ドライバーであるべきです。悪質ドライバーではなく。
彼らは、鋭い視覚、すばやい反射神経をもち、細かく神経を配れるのです。多分、車の性能にも、より精通してるはずです。
だからなんだというのです。
彼らは大パカ者で勉強できないというのですか? 利口すぎて、分かりきったルールに従うことなどできないというのですか? 自信過剰になるのでしょうか? なさすぎるのでしょうか? あるいは、単に未熟な若者だからなのでしらょうか?
手遅れの事態を招く前に、思慮分別をわきまえた若者になってもらうにはどうすればいいのでしょうか?
よりよい運転者になってもらうために、学校に講座を設けてみっちりと教育するというのも一つの方法です。放課後でも、作業が終わってからでも、夏休みでもいいのです。
免許交付をきびしくする。悪質な運転者を罰するかわりに優良な運転者を表彰する。交通法規を全国統一する(現在は州によって異なっています)、ラジオ、テレビ、新聞を通じて交通問題をとりあげさる。独りよがりを少なくする。
以上は、私たちが提案するさほど厳しくない解決策の一例です。
若者に運転を止めさせることはできませんし、そうすべきでもありません。
安全運転技術を身につけた運転者という仮定の上に立って彼らを教えれば、それだけで彼らはそうなろうとするのです(この教え方は医学や法学に用いられているのに、なぜ、運転者教育には適用しないのでしょうか)。
私たちモービルは、宣教師でも教師でもありません。私たちは生活に必要なガソリンとオイルを売っていまのです。私たちは、あなたに可能性あるお客さまになっていただきたいのです。
今日のお客さまではなく、あすのお客さまに---。
私たちは、若者からお年寄りまですべての方々に、万人平等に与えられた明日を自分のものにしていただきたいだけなのです。
モービル あなたに生きていていただきたい。
CW: Robert Levenson
AD: Leonard Sirowitz
Photo: Mike Cuesta
1966
Till death us do part.
It may be beautiful to die for love in a poem.
But it's ugly and stupid to die for love in a car.
Yet how many times have you seen (or been) a couple more interested in passion than in passing ? Too involved with living to worry about dying?
As a nation, we are allowing our young to be buried in tons of steel. And not only the reckless lovers---the just plain nice kids as well.
Everyone is alarmed about it. No one really knows what to do. And automobile accidents, believe it or not, continue to be the leadling cause of death among young people between 15 and 24 years of age.
Parents are alarmed and hand over the keys to the car anyway.
Insurance companies are alarmed and charge enormous rates which deter no one.
Even statisticians (who don't alarm easiIy) are alarmed enough to tell us that by 1970, 14,450 young adults will die in cars each year.
(Just to put those 14,450 young lives in perspective, that is far more than the number of young lives we have lost so far in Viet Nam.)
Is it for this that we spent our dimes and dollars to all but wipe out polio? Is it for this that medical science conquered diphtheria and smallpox?
What kind of society is it that keeps its youngsters alive only long enough to sacrifice them on the highway? .
Yet that is exactly what's happening. And it's incredible.
Young people should be the best drivers, not the worst.
They have the sharper eyes, the steadier nerves, the quicker reflexes. They probably even have the better understanding of how a car works;
So why?
Are they too dense to learn ? Too smart to obey the obvious rules? Too sure of themselves? Too un-sure? Or simply too young and immature?
How can we get them to be old enough to be wise enough before it's too late?
One way is by insisting on better driver training programs in school. Or after school. Or after work. Or during summers. By having stricter licensing requirements. By rewarding the good drivers instead of merely punishing the bad ones. By having uniform national driving laws (which don't exist today). By having radio and TV and the press deal more with the problem. By getting you to be less complacent.
Above all, by setting a decent example ourselves.
Nobody can stop young people from driving. And nobody should. Quite the contrary. The more exposed they become to sound driving techniques, the better they're going to be. (Doctors and lawyers "practice;" why not drivers?)
We at Mobil are not preachers or teachers. We sell gasoline and oil for a living and we want everyone to be a potential customer.
If not today, tomorrow. And we want everyone, young and old, to have his fair share of tomorrows.
Mobil We want you to live.
予告:
明日からは、DDBのコピー・グループ・スーババイザーの、手ごわいコピーライター---チャック・コルイ氏とのインタヴューを連載します。ご期待ください。