創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(135)レオン・メドウ氏とのインタヴュー(4)

    (Mr. Leon Meadow Vice-President, Administrator Copy Dept. DDB

6分間は5分より長く、10分より短い、1時間の10分の1です、読むのは6分。しかしいつか、この道草について60分考えることになります。あるいは6日間…


レオン・メドウ氏とのインタヴュー
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コピー部アドミニストレイターとしての職務

chuukyuu「現在、コピー部のアドミニストレイターをしていらっしゃいますが、その仕事の内容を説明してください」
メドウ「アドミニストレイターとしての私の責任は、コピー部全般の管理です。約75人から80人の部員がいますが、部が適切に機能しているかどうかを監督します。
さらに、会議に出たり、部員に仕事を与えたりします。これらはルーチン・ワークです。
さらに、部員に仕事を割り振った場合、その宿題といいますか、仕事を一定の時期に書き上げてもらう、またある程度のレベルの作品を部員にしてもらう、ということを総括的に上から見るんです。
DDBでは非常にレベルの高いものをクリエイティブ部門に要求していますから、ただ単に、なんでもいいから宿題とか要求された仕事を提出すればいいというのではありません。
やはり、DDBのレベルに達したすぐれた作品でなければなりません。このことは、どんな小さなものであってもそうです。
ですから、そこで私の義務は、そのようなすぐれた人を雇うということですね。で、私の判断によって、DDBのスタンダードを維持できるような人を見つけること、さらには広告界に新しい雰囲気を吹き込むことができるような人、そういう人を選抜するということです。
これはちょうど、バーンバックさんが第2次大戦後、米国の広告界にこういう新風を吹き込んだと同じように、そのようにすぐれた人を探すということです。
まとめると---。
このコピー部を総括的に上から監督すること、新人やいろいろなライターを採用すること、さらにいろいろなアカウントにライターを割り振るということ。
これらは、アート部門のアドミニストレイターのスピーゲル(Ben Speagel)氏と協力しあってやっています。DDBの広告は、コピーライターとアートディレクターとの非常に緊密な協力によつて行われるわけですから、彼と私の両方が相談いあって仕事を担当する者たちの人選をするのです。
ところで、コピーライターとアートデイレクターとが、お互いにまったく考えが対立してしうようなことがありますね。人間的にも、いわゆる個性の面でも、折れ合い的にも、その他全然合わないというようなことがあります。
そういう時には、その組み合わせを一度解体して、新しい組み合わせをつくると、直ちにうまくいくという場合があります」

メドウ氏が担当したベター・ヴィジョン協会のキャンペーンの広告の1例




私は、定期的に目の検査を受けさせるためのキャンペーンがあると聞いたとき、私自身(と家内自身)について書くことで、このアイデアの推進を協力することができるだろうとかんがえたのです。
本当は、このことについては、アイデアでなく、法律がつくられるべきです。見るということは、運命のなすがままに任せておいてはいけないことの一つです。私にはチャンスがなかったのです。
私はピアニストという職業柄、いろいろな国へ出かけてきました。音と匂いとだけから判断するな、見るという世界は、じつにすばらしい世界であるに違いありません。私は、あなたが目の検査をしないから視力をうしなったなどと言っているのではありません。検眼なんてたいしたことではないのになぜそんなにおっきうがるんですか? わたくしにのようなものにとっては、見えるということはじつに感謝すべきことなのに、あなたのような方には選択の問題なんですね。 あなたは視力が完全だということを確認することができるし、検眼によって、もっとよく見えることが分かるかも知れませんよ。私にそんな選択の機会が与えられたらどうするか、私にはわかっています。

              ジョージ・シアリング


つづく
【参考】
ベター・ヴィジョン協会の広告 Advertisements for Better Vision Institute
(1) (追補)