創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(135)レオン・メドウ氏とのインタヴュー(3)

    (Mr. Leon Meadow Vice-President, Administrator Copy Dept. DDB

6分間は5分より長く、10分より短い、1時間の10分の1です、読むのは6分。しかしいつか、この道草について60分考えることになります。あるいは6日間…


レオン・メドウ氏とのインタヴュー
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DDBにおけるライセンスド・フリーダム

chuukyuu「2年前にお会いしたとき、『DDBにはライセンスド・フリーダムがある』とおっしゃいましたね。もう一度詳しくお話しください」
メドウ「あの時そういったのは、どういう意味でだったかといいますと---ここDDBでは各ライターが自分のスタイルをも持っています。そして、みんなをすべて一つのスタンダードに統一しようということはありません。たとえば、書き出しは7語だとか、13語だとか、15語まで、というようなことはいいませんよ。
私たちは、このようなどうでもいいような基準、与件はつくらないんです。
同時に、私たちがやらないことは、特に私たちがあるコピーやアイデアを『これはいい』と褒める場合に、いままで既存の枠を打ち破って突飛なものを持ってきた、だからこれはよくできた、という理由で、それを褒める、認めるということもやりません。それは結局、単なる個人的な一つの表現にすぎないという場合があるからなんですね。
コピーライターやアートディレクターは、広告をつくる時、たとえばテレビの広告なんかの場合、やはり最も自然な形で、最もそれが当然だ、現実的だ、というのを考えるわけです。
どんなDDBの広告についても、写真でも、何かきまった型というようなものはありません。たとえば、写真だけてほとんどコピーがないというような場合があるし、またはコピーばっかりのーだという場合もありますし、マンガ的な絵という場合もありますし、いろんなものがあります。
外形に対しての規定というものは、全然、ありません。また、それがどのように仕上がらなきゃならないということも、一切規則はありません。
要するに、問題点は商品が売れればいいんです。どんなものであっても、このことが、いちばんの判断の基準になるのです。だから、商品の販売ということに直接つながるようなものを、コピーライターなり、アートデイレクターなりが採用する、ということなのです」

DDBにおけるコピーライター(あるいはクリエイティブ・ピープル)に認められている『自由』の問題は、ここ数年間、私の頭を去らない主題です。
ですから、DDBの人に会う時には、言葉を変えては、この主題を質問し続けてきました。

メドウ氏が担当したベター・ヴィジョン協会のキャンペーンの広告の1例




青空の下の緑の草原で黄色に咲きみだれているデイジーの花が、こんなふうにしか見えていない米国人だって少なくはないのです。あなたはたった2対の目しかお持ちではない。年に1度は検眼をお受けになっては? ベター・ビジョン協会

This is yellow daisies in a green field against a blue sky look to many Americans.
You have only one pair of eyes. Have them examined once a year. Better Vision Institute


(つづく)

【参考】
ベター・ヴィジョン協会の広告 Advertisements for Better Vision Institute
(1) (追補)