創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

[6分間の道草](860)総索引リスト(50)

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今の★数累計です。

chuukyuuの好みで選んだベター・ヴィジョン協会のシリーズから10点。その1.


選択の基準は、製品の人間化---つまり、性格づけ。


                         必読期待
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ジョニーはなぜ読めないのでしょう?


彼は賢い子です。だれもがそう言います。でも読み方の時間になると注意力が足りないと、先生が言っています。興味がないようなのです。
家ではどうでしょうか? 彼は、急にイライラするようになりました。頭痛がすると訴えています。なぜでしょう? そうです、ジョニーの目は検査をする必要があるのです。それは単に視力の問題なのかもしれません。ジョニーのような賢い子が読み方が得意でないわけは、目に問題があることが非常に多いのです。
ジョニーは、なぜそのことを言わないのでしょう? 知らないからです。
みんなも自分と同じように見えているのだと思っています。そう思うのが自然でしょう?
あなたのジョニーはどうでしょう? 学校はもう始まっています。彼の目を検査をしてもらう申し込みをされたほうがよいのではありませんか?
(学校で受ける通りいっぺんの検査は役に立つこともありますが、多くの場合、視力の欠陥を発見するためには、十分とはいえないのです)
子どもたちはこの世界を、それが実際にあるがままの姿で見る権利があると私たちは思います。シャープな、明るい、すばらしい世界をです。
資格のある検査員なら、子供たちがこの権利をもっていることを確かめてくれます。ベター・ヴィジョン協会


C/W レオン・メドウ Leon Meadow
A/D レン・シローイッツ Len Sirowitz
FOTO  ホーン・グリナー Horn Griner
"LIFE" 1963


その2.



青空の下の緑の草原で黄色に咲きみだれているデイジーの花が、こんなふうにしか見えていない米国人だって少なくはないのです。あなたはたった2対の目しかお持ちではない。年に一度は検眼をお受けになっては? ベター・ヴィジョン協会


C/W レオン・メドウ Leon Meadow
A/D レン・シローイッツ Len Sirowitz
"LIFE" 1962.10.26 (三宅秀道先生検索) 



This is yellow daisies in a green field against a blue sky look to many Americans.
You have only one pair of eyes. Have them examined once a year. Better Vision Institute

このシリーズのアートディレクターであったシローイッツ氏がチューリッヒへ招かれておこなったスピーチの一部。

ベター・ヴィジョン協会


4年前でしょうか、もうすこし前(1963)だったかな、ここがDDBの新しいクライアントになりました。
私は、本能的に、ここがすばらしい可能性をもつアカウント(取引き口座---つまりクライアント)であると感じました。

この協会は、他の広告代理店のもとで6年間、それ以前にも10年間ほど広告を出していました。
その間、このアカウントに関する目に立つような広告は何一つ行なわれていませんでした。

私は、このアカウントがDDBへ来たことを知るとすぐに、このアカウントのために働くことを申と出ました。
私はボブ・ゲイジ(クリエイティブ部門の総責任者)のもとに行って言いました。

「ボブ、私がその仕事をしたいと思っている、新しい、そしてすばらしいアカウントが来たようだね。
ベター・ヴィジョン協会という名前だ」

「どんな会社だい。聞いたこともないね」とボブ(これが15年間も広告にお金を費やした後でのできごとなのです)。

「とにかく、私をそこで担当にしてくださいよ」といい、了解を得ました。

私がアートディレクターとして、レオン・メドウがコピーライターとしてチームを組みました。
レオンと私はそれ以来、ベター・ヴィジョンのすべての広告の制作に携わっています。

私たちは協会 へ出かけ、そこの人たちと話し合いました。彼らのかかえている問題点のすべてについて検討しました。

何がベター・ヴィジョン協会を作り上げているかを知るためのすべてについて学びました。驚いたことには、そして皆さんも驚かれることと思いますが、私たちがベター・ヴィジョン・インスティテュート(協会)と呼んでいるものは、利潤追求のための組織だったのです。
協会は、光学レンズ・メーカー (主としてボッシュ&ロム社とアメリカン光学社)、めがねの枠の製造業者やその販売業者と検眼士によって成り立っています。

彼らは米国におけるめがねの販売を増進するために、協会にお金をプールしているのです。これは寄り合い所帯広告の好例です。運営費はたいして多くはありません。
年間 100万ドル以下でしょう。

DDBでは60万ドルの扱い高から始まつて、現在でも80万ドル程度のものです。
米国では、小さいほうのアカウントです。

私たちは、めがねフレーム、検眼等を直接売り込んでならないという結論に達しました。
それが本当に大衆のためになるような「パブリック・サービス・キャンペーン」を行なうことが、お金を最も有効に使うことであり、そしてまた、協会の利益にもつながると考えました。

それゆえあらゆる要望にもかかわず、この基本線からはずれたことはありません。
そもそもの最初から、人びとに目を検眼してみようと思わせる最良の方法は彼らに目についての関心を持たせること---目の重要性について認識させることであると私たちは考えました。

時には不安からのともあるでしょうが、基本的には人びとが持つもっとも重重な感覚の一つに対して、興味を持たせることから初めることにしました。

こうして私たちの広告が始まりました。

私が大変誇りにしていることは、このキャンペーンの開始以来、米国でのめがねの販売高が33パーセント増加したことです。


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