創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(95)いわゆる「DDBルック」を語る(5)

     前DDBクリエイティブ・マネジメント・スーパバイザー ポーラ・グリーン
     (1969年退社 グリーン・ドロマッチ社をDDBの隣のビルに設立)


『MC』誌1969年6月号の記事、ご当人の了解をとって拙編DDBドキュメント』 (誠文堂新光社 ブレーンブックス 1970.11.10)に翻訳・掲載したものです。


<<いわゆる「DDBルック」を語る(1)

コンセプトに達することは広告に達すること


グリーン「閉め切った部屋にすわり込んで、お互いに死ぬほど打ち負かし合います」


問い「そしてただ書くだけ?」


グリーン「いいえ、チームです。コピーライターとアートディレクターのチームです。重大事とか緊急時などにはビル・バーンバックも一緒の場合もあります。頭と頭を突き合わせてすわり、問題とレスリングするって具合ですよ」


問い「タイプライターを持って一人閉じこもりっきりといったことは、今までなさったことありませんか?」


グリーン「いいえ。私たちの手順は、ほかの広告代理店の手順と異なるかもしれません。でも一般にコンセプトに達した時に、その違いがはっきりしてくるのです。
コンセプトに達したことは、すなわち広告に達したと真にいえる段階なのです。つまりそのポイントに達して、初めていわば問題を明確にできたと知ることができるわけなのです。
根本的にはあなたがあなたの広告をつくるのです。というのは、問題を明確にした時、あなたはそこに到達したのですから。
だからあなたのコンセプトはあなたの定義から生まれてくるものです。そしてそれがそこにあることをあなたが分かるのです。
それは同時に起こるわけです。たいてい、ヘッドライン、ビジュアル・アイデア、そういったものが一緒くたに生まれてきます。
そしてアートディレクターが、それをなぐり描きします。
そして私たちしラフをたくさん走り描きし、壁とかそういったところにまとめてピンで止めます。
そのキャンペーンを担当したらふつうはシリーズをやり通さなければならないのですが、ほかにも仕事をかかえていることってよくあるんです。つまり、ほかの仕事のチーム・セッションの予定もあるわけですから、次の日また壁に貼られたラフ・スケッチ群を見て、昨日同様にそれがすばらしく思えるかどうかを判定します。また、次の次の日も同じこと、すばらしく見えるかどうかを確かめるのです」


問い「古くさい言い回しを使えば、うまく固まったかどうか、まだあなたのために功を奏していてくれるか、旗ざおのてっぺんまで登ってくれるかどうかを確かめわけですね」


グリーン「そうです、そのとおりです。それからアカウント(得意先連絡担当)・グループに見せるわけです」


>(6)に続く


2位のほうが、
面白いですよ。
行き先が
あるのですから、ね。


「いま、この国に、ひとつの病気がはびこっています。コーポレーショナイティス、と私たちは呼んでいるのですが。
大企業がかかる病気です。
紙ばさみの箱が必要になって、それを許可してもらうのに4人の副社長の判コをもらわなければならない---こんなのが、この病気の危険信号です。
エイビスでは、なにごとも迅速に行われます。私たちの車は、貸し出す前に洗ってあります。燃料タンクも満タンにしてあります。灰皿も空っぽになつてます。私たちがお渡しいるのは、軽快なスーパー・トルクのフォードのような新車です。
こういうことをやるのは、エイビスでは朝飯前です。
私たちの会社は、自動車磨きとリンゴ磨きの人間を見分けることができる程度に、まだ小さいのです。


これまでにアーカイブしたエイビス・キャンペーン
[DDBの広告]エイビス(01) (02) (03)(04)(05) (06)(07)


>(6)に続く