創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(1)エイビス・キャンペーンを語る_07.01.22



参加者

会社名 役職 氏名
CE チーフプロデューサー  転法輪 篤 
CE チーフプロデューサー  新美 弘恵
AET デザイン部 林 裕也
AET  コピー部 赤星 薫


T 『創造と環境』という本を、アーカイブとしてもってきて1項目ずつアップし、それにコメントやトラックバックをつけていただくことを期待しているのですが、それとは別に今回のように、「session」と名づけた場で、数人が意見を交換する場を設けました。


「session」という命名は、DDBでのコピーライターとアートディレクターのアイデア会議が「コピー&アート・セッション」と呼ばれているのに倣いました。


ところで、DDBという広告代理店を知らない方も多いと思います。『創造と環境』に入る前に予告編の形で、エイビスの広告キャンペーンをアップしました。
これは、17年間におよぶVWビートルの広告シリーズとともに、20世紀中最高の広告と評価され、DDBのクリエイティブのあり方をよく示していると思われます。今日は、これを素材として話しあってください。

もちろん、エイビスのNo.2主義宣言キャンペーンの広告作品は掲出したもの以外にも、いくつかあります。


S 何年ほどつづいたキャンペーンなんですか?


T 5年ほどと聞いています。Aコングロマリッドがエイビスという会社を買収し、派遣されたタウンゼント新社長は、まず広告代理店としてDDBを選びました。


H それって、トップの仕事なんですか?


T DDBを選んだ企業は、ほとんどトップの決断のようです。ソニーも当時の盛田社長がご自身で依頼されたと聞いています。


S 掲載された広告は、利用者が目で確認できることだけをとりあげています。


A クリエイティブ・チームの選択なんでしょうね。ボンネットをあけなければ分からないようなエンジン・オイルの交換といったことは避けているみたいです。


H タウンゼント社長がつくらせた100項目にもおよぶチェック項目の50ぐらいは、利用者には見えない点検箇所もあったとおもいます。


T 貨幣がNo.1からエイビス側へ移っている写真があります。これに触発されて気づいたことは、エイビスのこのキャンペーンは市場を広げることよりも、シェアを拡大するためのものなんですね。


S 新規需要の拡大はNo.1のTVCMにまかせてる。


A 2位を決定的に意識させるキャンペーン。


T 媒体もビジネス誌に集中して、現実のシェアを拡大を狙ってます。


A 米国では競争相手とやりあうコンペティティヴな広告って多いように聞いてます。


H でもエイビスは、いちどもハーツとはいってない。つねにNo.1。


S レンタカー業界のNo.1はハーツだってこと、だれもが知ってるから使えたテでしょう。ハーツの「虎と猫」の広告を見たとき、エイビスのうまさに納得しました。


T 今日のような形でのsessionが、今後も当ダイアリーにアクセスなさっているいろいろなグループで行われ、投稿され、このサイトが大きくふくらむことを期待したいと思います。
そうそう、Avisのキャンペーンについての1964年の「TIME」の記事がアーカイブされていました。
>>Friday, Jul. 24, 1964「Trying Harder」

TIMEはすごいですね。1923年〜最新号までデータ化されているようです。しかも、無料です。