創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

エイビス01


Avis is only No.2
in rent a cars.
So why go with us?

We try harder.
(When you're not the biggest,you have to.)

We just can't afford dirty ashtrays. Or half-empty gas tanks. Or worn wipers. Or unwashed cars. Or low tires. Or anything less than seat-adjusters that adjust. Heaters that heat. Defrosters that defrost.

Obviously,the thing we try hardest for is just to be nice. To start you out right with a new car,like a lively,super-torque Ford,and a pleasant smile. To know,say,where you get a good pastrami sandwich in Duluth.

Why?

Because we can't afford to take you for granted.
Go with us next time.
The line at our counter is shorter.




エイビスは、業界で2位のレンタカーです。
それなのに、お使いいただきたい、その理由(わけ)は?

私たちは一所懸命にやります。
(だれでも、最高でないときはそうすべきでしょう)。

私たちは、汚れたままの灰皿をがまんできないのです。
満タンにしてない燃料タンクも、いかれたワイパーも、洗車してない車も、
山欠けタイヤも、調整できないシート、ヒートしないヒーター、霜がとれないデフロスタ…

そんな車はお渡しできません。

はっきりいって、私たちが一所懸命にやっているのは、すばらしくなるためです。(省略)

この次、私たちの車をお使いください。
すいていることでもありますし、ね。


45、6年前、ぼくはまだ30歳ちょっと、かけ出しのコピーライターでした。
神田の古書店アメリカの古雑誌の束を買い込んでは、毎夜、気に入った広告を、勉強用にスクラッブしていました。
で、この広告に目がとまりました。


躰がふるえたのを、いまでも、はっきりと、覚えています。


コピーライターはだれか。
小さな写真、大きなコピー・スペースをデザインしたアート・ディレクターは?


調べました。


1962年のレンタカー業界の短期レンタル実績は…、

1位 ハーツ 64,000,000ドル
2位 エイビス 18,000,000ドル


決定的2位で、しかも3位がすぐうしろにいました。


そのエイビス社を買った人が、タウンゼント氏に経営の刷新をまかせたのです。


刷新の一つとして、タウンゼント氏は、広告代理店にDDBを選びました。


それまでに、DDBがつくっていたキャンペーン…VWかぶと虫、フランス政府観光局、ポラロイド、民主党の大統領戦などに感心していたからです。


DDBは、コピーライターにポーラ・グリーン(女性)、アートデイレクターにヘルムート・クローンを指名しました。


2人のクリエイターは、タウンゼント新社長に会って訊きました。


「エイビスの新車率は、ハーツより高い?」
「いいえ」


「料金が安い?」
「いいえ」


「お宅とハーツのあいだには、なんの違いもないのですか?」
タウンゼント新社長はちょっとかんがえて、
「私たちは、もっと一所懸命にやるつもりです」


ポーラは、社へ帰り、バーンバック社長に、顛末を報告、
「困りました。なんにも差がないんですもの」


すると、バーンバック社長がいいました。
「私たちは一所懸命にやってる---と書けば」


エイビス02>>