創造と環境

コピーライター西尾忠久の1960年代を中心としたアメリカ広告のアーカイブ

『西尾忠久 アド コレクション展』Vol.1 前夜


3月の終わり頃、イギリスのリドリー・スコット監督の事務所から一通のメールが届きました。
内容は「こんど、イギリスの広告とデザイン産業についてのドキュメンタリーを制作することになりました。その中で使用する、オーバックスの1954年の作品『驚いた目は、あなたのお財布よりは決して大きくなりません。』の高詳細のデータを探している」というものでした。


なぜイギリスの広告史のドキュメンタリーで、ニューヨークのデパートの広告を載せなければならないのか、と聞いたところ「DDBの創業を始めとする『クリエティブ革命』は、その当時イギリスのクリエイティブ産業にも大きな影響を与えたからだ。そのきっかけをつくったのがオーバックスの広告と考えている。」との答えでした。

驚いた目は、あなたのお財布よりは決して大きくなりません。(1954年)


もう一人のあなたがつぶやく。「あ……あのスーツ、欲しい」「でも高すぎよ」ともう一人のあなた。これって欲求不満、よくあること…でもオーバックスだと話は別。ステキなハイ・ファッションをお望みですね。それもステキな安値で。
今すぐオーバックスヘいらしてください。私どもの品物をご覧になれば、驚きであなたの目はみるみる大きくなるでしょう、でもオーバックのバーゲンのときほどは大きくならないでしょうけど。
34丁目エンパイア・ステイト・ビルの向かい。「100万円のピジネスで数ペニーの儲け」


C/W ジュディ・プロタス Judy Protas
A/D ボブ・ゲイジ Bob Gage
Foto


そこで、西尾に連絡を入れ、自宅に伺いました。
「倉庫にあるかもしれない」といって、スタスタと外に出ていく西尾に付いていきました。
退院以来初めての外出でしたが、その足取りはとても軽やかでした。
結局、上記の作品は出てこなかったのですが、西尾自身も忘れてしまっていた60年代後半から70年代にかけてのオーバックスの作品たちが倉庫から出てきました。
その後、佐藤汰さんをはじめ、ボランティアで翻訳してくださった東海大学の学生のみなさんのご協力によって、オーバックスの作品リストが出来上がりました。




オーバックスの作品を確認する西尾 自宅にて 撮影:2012年4月3日


その後、この作品たちを多くの人たちに直接見てもらいたい、という西尾の思いが展示会の開催につながりました。
新聞広告の清刷りのほか、西尾の広告やデザインに関する著書も自由に読んでいただけるよう、ご用意しています。DDBからの手紙や資料なども追加しようと思いますので、ぜひ遊びに来てください。





『西尾忠久 アド コレクション展』Vol.1会場 撮影:2012年8月6日



>>『西尾忠久 アド コレクション展』Vol.1
2012年8月12日(日)17時まで開催中です。


文責:転法輪 篤