創造と環境

コピーライター西尾忠久の1960年代を中心としたアメリカ広告のアーカイブ

[6分間の道草](921)ベスト・セレクション(110)

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Great art director Mr.George Lois
ジョージ・ロイス氏、
エスクァイア』誌の表紙を語る【上】(抜粋)
(1970年ごろのインタビュー)


chuukyuu「『エスクァイア』誌の表紙は、パパート・ケーニグ・ロイス(PKL)社の仕事なんですか、それともあなた個人の仕事ですか?」


ロイス氏「ぼく個人の仕事です。
エスクァイヤの表紙の件はちょっと変わってるんです。
3年ほど前、『エスクァイヤ』の編集長に頼まれました。
それまでに雑誌や建築関係からフリーランスの仕事をしてくれるようにと何度も頼まれてましたが、引き受けたことはありませんでした。
フリーランスの仕事はすべきではないというのがぼくの信条です。
ひとつの仕事に自分の持つあらゆる注意、あらゆる能力、あらゆる勢力をそそぎこむべきです。
ぼくは人はひとつ以上の仕事を完全に仕上げることはたぶんできない……と思っています。ですから、『エスクァイヤ』の仕事を引き受けたのは、信条に反しているともいえます。
エスクァイヤ』の人たちが話をしにきたとき、この雑誌がたいへん気にいっていましたし、気のきいた雑誌だと考えていましたので、いろいろと助言しました。とくに表紙について批評しました。質の点から見ると、それほどすぐれていると思えなかったものですから……。
1年半ぐらいそうこうしていましたかね……そのうちに、よし、表紙とはどんなものであるか、2、3やってみせてあげましょうと言ってしまったのです。


1965年3月号
米国女性の男性化


やり始めて以来、とても楽しくやってきています。
記事や『エスクァイヤ』の人たちが何を言おうとしているか、深くつっこまなければならないので、簡単な仕事ではありませんでした。
良い表紙とはどんなものであるか、示したくもありましたし、気がきいていて、今までになかったようにやって、前よりも雑誌の影響力も増したいし、部数を多くしてみせたくもありました。
表紙に論説を持たせるつもりでした。
もちろん、愉しみのためにこの仕事はやっていたのですが、実際のところ、この仕事に恋してしまいましたよ。
それに彼らも辞めさせてはくれませんでしょうし。
本当にこの雑誌は好きですよ。
表紙をぼくがやり始めると、『タイム』、『ニューズウィーク』、『マコールズ』、『レイディーズ・ホーム・ジャーナル』などからもやってくれと頼まれたんです。
ぼくはセンセーショナルなものはなんでも好きです。
でもそれにまきこまれしまうのはいやですから、断りました。
それにぼくの仕事は、「表紙屋さん」ではありませんからね。
エスクァイヤ』はやっていて楽しいですよ。
やりたいことをやって、彼らに渡し、ダメなら辞めてしまいますよ。
だからといって暴君ではありません。
ただ、ほくは彼らがどういうふうにやるべきか、わかっているつもりですから。


1965年7月号
今日のティーン・エイジャーは大人の世界に影響をもたらしているだろうか?「バカげている」とエド・サリバンは言う。


エスクァイヤ』は、とても巧妙な手をつかってぼくに続けさせています。
仕事に対する謝礼金を全部ギリシャの孤児院に寄附してしまうようにしているのです。
ぼくも、PKL以外でお金を稼ぐべきでないと思っていますしね。
で、きっとこんなことだれも気になんかしやしないんだろうけど、倫理的な面から、続けるべきだって考えています。
本当にこの仕事は楽しいですよ。
実験的な仕事ができるからではありません。
だってそれはPKLでもおおいにやっていますから。
でもこの楽しさは、この仕事が実験的なものだから生まれる楽しさでしょうね。
この楽しさは認めますよ」


chuukyuu「表紙にコメントを含ませるやり方は、今後の表紙デザインの主たるあり方になるでしょうか?」


ロイス氏「きれいな女の写真をとって『ボーグ』に載せるせるってなことではなくて、もっとほかのことを試みる機会は他の雑誌にだってたさんあるはずです。
『ボーグ』をけなしているんではないんです。
しかし主婦の写真をとって『マコールズ』の表紙に載せるというだけではね。
『ライフ』はぼくの目標ではありません。
ニュース写真を載せていますね。すばらしいニュース写真ばかりです。
『ライフ』のあるべき姿を示していると思います。
しかし、雑誌の表紙には、皮肉っぽいものであれ、なんであれ、なにかしらコメントを持たせるべきです。
なぜ、だれもやってのけられないのか、ぼくにはわかりかねますね。
不思議ですよ。


1962年10月号
最後にリングに倒された男。ソニー・リストンとフロイド・パターソンが強靭さ、おびえについて語る。


エスクァイヤ』には、ぼくに同意してくれ、ぼくの仕事を愛してくれる編集長ハロルド・ヘイズやその他の人びとがいます。
ぼくが表紙をやるようになってから、発行部数がすぐ増えだしたからでしょう。
他の雑誌もできるはずなんです。
実験的にやってはみても、いざとなるとそれを出さないんですよ。
ええ、気にいったのができないんでしょうね。
簡単なことではありませんからね。
簡単には見えますけどね。


明日につづく