Great art director Mr.George Lois
ジョージ・ロイスへの道(6)
ジョージ・ロイス氏は、1978年、第57回目のニューヨーク・アートディレクターズ・クラブから「名誉の殿堂入り」の指名を受けた。この制度は始まって7年目で、翌年がヘルムート・クローン氏、1年置いてウィリアム・トウビン氏、次の年が写真家のリチャード・アヴェドン氏、さらに3年後がレン・シローイッツ氏だから、いかに早かったかわかる。
指名された年の『ニョーヨークADC年鑑』に、表題の文章が載った。大要を数回にわたって紹介している。
PKLは、ゼロから始めて7年間で取扱い額4000万ドルの広告代理店に成長した。ロイスは「ビッグ・ビジネス」の初代のモダン・アートディレクターになった。というのは、1962年、PKLは株式を公開した最初の広告代理店になったからである。(古くからの広告代理店も、生意気ではあるが創造的なPKLを見習って、のちに株式の公開をするようになった)。
ロイスのやったことは、広告界のクリエイティブ畑の人たちに、才能があれば、錬金術的が可能であることを示した。PKLの成功を見て、クリエイティブ・エージェンシーは急速に増殖しはじめた。そして、多くが花が咲いた。1963年にロイスは、ニューヨーク・アートディレクターズ・クラブによって「アートディレクター・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。「だれにも、とても若くて、とてもうまくいく権利があるとはいいきれません」と、前年の受賞者(ロイスの元のボスであるハーブ・ルバーリン)は祝辞を述べた。
1967年、起伏の激しい男ロイスは、また新しい冒険を始めるべく、運命をコピーライターのロン・ホランドとマーケティング・マンのジム・カロウェイに預けた---なんと、PKLは太り過ぎて安逸すぎるといって、3人でPKLを飛び出したのである。 ロイスは、株式の公開によって、素晴らしくうまくいっていた広告代理店の精神が何か変質したと感じたのであろう。「私は35歳になったが、この若さでは、死ぬまでにする新しい試みが山ほどできる」これが彼の捨て台詞でした。
ロイスの新しい広告代理店(ロイス・ホランド・キャロウェイ社)は、たちまち、PKLの急速な成功を繰り返していた。 1969年に『アド・エイジ』誌は、1968年における話題の10人の中にロイスを入れた。 (彼は10人の中の唯一人のアートディレクターであった)
1971年、ロイスはニューヨーク・アートディレクターズ・クラブの会長に選出された。ロイスのアートディレクターとしての10年間は、『エスカイヤ』誌の表紙をつくることでひとまず、達成されたといえようか。
【chuukyuu注:ここで、この記事は一時休載し、明日からは、PKLを飛び出してロイス・ホランド・キャロウェイ社を創立した3人のうちの1人---ロン・ホランド氏とのインタヴューを数日間、連載する予定】
DDB時代にPKLの【K】ジュリアン・ケーニグ氏(コピーライター)が創って広告界に衝撃を与えたVWビートルの広告[Think small 小さいことが理想]を、同じケーニグ氏がプジョーのために揶揄してみせた。
前は、小さいほうがいいと思ったでしょうが-----今は、もうちょっと大きいほうが---とお思いでしょう。
フォルクスワーゲンを買う(またはルノーやフィアットを買う)のに、とてもいいセンスをお持ちですね。
さて、あなたは、もうちょっと大きい車を考える準備ができているわけです。そして、もうちょっと速いのをね---。
『ロード&トラック』誌の編集長ジョン・R・ボンド氏は、プジョーをこう呼びました。「世界の七つの名車」(ほかの六つは、ロールス・ロイス、ランチャー、ローバー、メルセデス・ベンツ、BMW、キャデラックです)。ロールスは15,655ドル、ローバーは3,695ドル、あとも似たりよったり。
ところが、プジョー403型は、完全装備で、たった2,250ドル、完全装備の内訳は、365ドルの値打ちのあるアクセサリー、すなわち、リクライニング・シート、サン・ルーフ、音のしない電気時計を含めてということです。
プジョーは、思いやりのある車です。(たとえば、4ドアで、それが直角に開きます。シートは5人のおとながラクにすわれるなど---)。静かです。路上では当節のすばらしいドライビング・カーの一つ。一日中、時速80マイルでとばせます(もし、法規がゆるすなら)。プジョーはどくらい保つか? 今なお米国を走っている最古の車は、1891年型プジョーです。「403型」はとてもよくできているので、維持費はほとんどかかりません。昨年、保障期間中のプジョーの部品代と作業費は平均6ドル50セントでした。
もし、コンパクトカーをおさがしでしたら、プジョーの販売店(422あります)へお出かけください。そして、七つの名車中、だつた一つのコンバクト・カーに試乗してみてください。