創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

[6分間の道草](920)ベスト・セレクション(109)

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今の★数累計です。

オーバックス(「ハイ・ファッションをロー・プライスで」に徹し、衣服類中心の廉価販売で評判をとっているデパート。マンハッタン34丁目ほかNY州南部一帯に展開)の新聞広告。
(オーバックスはDDBの創業以来のクライアント)


オーバックスは永年のマーチャンダイジングと広告活動で、婦人ものに強いというイメージを培ってきました。それを利用して、地下鉄(ネット状に縦横に張りめくらされているニューヨーク市の地下鉄はかつて、落書き天国だったのを逆手にとり)の駅貼りポスターに---、


オーバックスの紳士もの売り場 


落書きふう---女性の男性化---と気がついた人は、微苦笑。

まあ、女性の男性化は、ほかにもありました。


軍人にも---これは、ずいぶん追随者を生みました。

パリ、オーバックスを侵略。 (抄訳)


……でも、それも3月18日木曜日までのことです。4日間というのは、そう長いあいだではありませんよ。パリ・コレク
ションをご存じない方にとっては、オーバックスをご存じない方にも、そしてこの2つが結合したときに起きるものがお好きでなければ……。18日木曜日になれば事態がはっきりします。美しいショーで美しいコピーをご覧になれます。オリジナル輸入生地を使った最新ルックをご覧になれます。何千人ものご婦人方が、オーバックスのパリ・コレクションこそいちばんだ……と思っていらっしゃるわけもご納得いただけましょう。仕立てにうるさい方、ほんとうによいコピーをお望みの方、「オーバックスはいま何をやっているの?」がきょうのいちばんスマートな質問であることをご存じの方に申し上げます‥・‥・ご辛抱を! あと4日間という短い日時がすぎればすべてがはっきりするのですから。
(注)オーバックスの途方もないファッション・ショーは木曜日の5時45分に開幕です。でもパリ・コレそのものは朝の10時45分からお求めになれます。

1965.03.14 ニューヨーク・タイムス


いっぽう、『エスクァイア』誌(1965年3月号)が女性の男性化を第一特集にしたとき、表紙は主張をもつべきだと、デザインを引きうけていたジョージ・ロイスがやったのは、



これにはオマケがありましてね。ロイス氏はもう手を引いてましたが、



2008年5月号に、43年後に同一モデルで再現したんです。編集長もウィットがありますね---というか、ロイス氏のあれがよほどインパクトが強烈で、『エスクァイア』誌の表紙といえば、43年前のあれがいまだにあげられるのでしょう。



広告も雑誌の表紙も、アイデアです。


明日から、40年前にロイス氏に『エスクァイア』誌表紙づくりを語らせたインタヴューを3日にわたって再録します。


(じつは、5年間、1日も休まずにつづけて、疲れているのです。81.6歳ですからね)