創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

[6分間の道草](922)ベスト・セレクション(111)

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Great art director Mr.George Lois
ジョージ・ロイス氏、
エスクァイア』誌の表紙を語る【下】(抜粋)
(1970年ごろのインタビュー)


ロイス氏「『エスクァイヤ』の表紙が何をやってもうまくいっている……としたら、それは、内容がすばらしいからなのです。
内容はいつ読んでも興味深いものばかりです。
編集がうまいんですね。
アートディレクターは、毎朝いつもアイデアのわき出てくるような人でなければなりません。
しかもグラフィック・アイデアではなく、ストーリーのアイデアでなければなりません。
現状はそうではないのですよ。
もし、ぼくがもういちど人生をやりなおすとしたら、新しい雑誌をひとつつくりたいですね」


1963年5月号
カリフォルニアにおける、正しい価値観と誤った価値観


chuukyuu「雑誌というものは、もちろん店頭で客の注意をひかなければならないから、表紙は大切ですけれど、表紙だけよくても内容がよくないといけないとおっしゃいましたが、『エスクァイヤ』の内容やエディトリアル・デザインに、あなたはどれくらい関係していらっしゃいますか?」


ロイス氏「残念ながら、『エスクァイヤ』にとっても、また他の雑誌にとっても、一人の人間が内容を受けもって、その人とは全く違う人が表紙を受け持つというのは、最高の状態とはいえませんね。
これはひとつのガンですよ。
エスクァイヤ』の人たちは、ぼくに内容のほうもやってもらいたいと考えていると思いますが、前にも言いましたように、すべてのものをうまく見事に仕上げることはできない……という信条からぼくには無理です。
雑誌がうまくいくようなやり方で、ぼくは雑誌をつくれません。
雑誌をうまくいかせるには、全人生をなげうって、土曜、日曜、月、火……といつもアイデアを見つけ出せるような人でなけれはなりません。
エスクァイヤ』にもぼくと同じようなやり方でやろうとしたアートディレクターもいます。
でも前にも言ったように、そんなに簡単なものではありませんからね。
簡単には見えるけどね。

エド・サリバンにビートルズのかつらをかぶせることだって、話すだけなら簡単なことです。
でもそれには、アメリカの若い世代のことをくわしく知らなければできないことです。
良いものは、なんだって見るだけなら、簡単に見えます。
でも、たいへんむつかしいことなんですよ。
表紙は、雑誌の売れるのを助け、コメントを伝達する役目も果たします。
表紙を正しくつくれば、中味よりもコメントをより表現できます。
その雑誌が言わんとすることを結晶化します。
実際これまでに中で言わんとすることを変えて表現して、それを結晶化できたことが何度もありました。
ストーリーに関して、さまざまなアイデアを提供してきました。言わしてもらえば,何千だってアイデアは提供できますよ。でも、時間がありません。
この雑誌や編集長のハロルド・へイズ(編集長)に対して義理もありますし、みながこのぼくのつくった表紙を好いてくれて、できあがるたびに話題にのせてくれますので、この仕事は続けるつもりです」


1963年3月号
1968年の最高人物を選ぶ。ボビー(ロバート・ケネディ)を筆頭に---


chuukyuuエスカイヤの表紙の写真家にカール・フィッシャーをよく起用されていますが、何か意味があるのですか?」


ロイス「ええ、彼こそもっとも知的に、もっとも趣味のいい写真家です。
その上に、ぼくのやろうとしていることをよくわかってくれます。
普通なら、こうこうこういう写真を……と説明するのに、彼にはつくろうとしている広告のことを説明します。
写真には特別説明を加えません。
たいていの写真家を相手にするときには、写真のほうを説明しますね。そして、広告全体をつかんでくれようとは期待しません。
カールの場合には広告を説明してわかってくれるのです。
彼はとてもすぐれたアートディレクターでもありますよ。
彼は話をもちかけただけで全体を理解してくれます。
細部にわたって説明したと同じぐらいまでわかってくれるのです。
ぼくはテクニシャンの写真家に話しかけるよりも、カールに話したほうがいいですよ。
すべてを理解してくれますから。
テクニシャンは理解せず働くだけですからね。
ぼくはだれとよりもカールと話すことが好きです。
他の写真家をつかっては、またカールのところへもどってきます。
そしてとても重要なことになると『ねえ、カール……』と言います。
それで彼は全部を理解してくれるのです。
それに彼は、とってもりっぱな人間ですよ。
この世界には、才能はあっても粗悪品といった野郎がいっぱいいますよ。
こんなやつらとかかわりあいになっていられますかってんだ」


1965年9月号
大学の反逆児たちも人気を博する28人---そのうちの4人を紹介(他のひとは文字でどうぞ)
1.ボブ・ディラン 詩のように語り、反逆を歌うから
2.マルカムX あるがままの事実を語ったから
3.フィデル・カストロ 革命のロマンスの縮図だから
4,ジョン・F・ケネディ すべての人に青春の価値を与えたから


1963年6月号
米国中央情報局ではあなたを求めています。ハバナへの行進に参加してください。新部員募集要項は本誌の本文に。


[明日もつづき]