創造と環境

コピーライター西尾忠久の1960年代を中心としたアメリカ広告のアーカイブ

(754)Y&R社長フランクフルト氏への問いかけ(2)

 

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38歳で、規模は世界第3位のY&R(国内)の社長に抜擢されてすぐに、
インタヴューに応じてくれたステファン・フランクフルト氏は、
40歳でその職を辞しました。
「忙しすぎる」というのが口実でした。


それから数年後の1981年に、ニューヨーク・アートディレクターズ・クラブから
「栄誉の殿堂」入りを受けたときの記事によると、Y&Rを退社後、フランクフルト・コミュニケーションズは
ケニヨン&エクハート代理店と契約、さらに同社のクリエイティブ部門の顧問となっています。
当時のニョーヨークの広告界に吹き荒れていた、小さな組織による
クリエイティビティの再生・復活を目指したのでしょう。


フランクフルト氏とのインタヴュー(2)




 権限の委譲





chuukyuu「これは日本人的な質問かもしれませんが、たとえばあなたのように、クリエイ
ティブな背景のある人が社長に昇進し、実際にはクリエイティブな仕事から遠
ざからなければならなくなると思うのですが、そういった場合、さみしくありま
せんか?」


フランクフルト氏「いえ、Y&Rのやり方は、だれ一人としてクリエイティブな仕事から離れ
るというやり方ではないのです。
アンディも、私も、ボブも、アル・ハンベルも、みんなやっています。
私はそれがなんであるにしろ、毎年どれかのクライアントにつくことにしているの
ですよ。
リーダーなるためにも、働いてくれる人々の尊敬を勝ち取らなければなりません。
それに私は冷血社長ではありませんからね。
もちろん、社長職も私の仕事のうちです。
でも、仕事をし続けるということは、とても大切なことだと思うのです。
というのは、
こうでもしなければ、業界で起こっていることを理解したり、知ることはできませんからね。
あるアカウントを特に担当するということもあれば、Y&Rから吐き出される作品全部に
目を通します(もちろん国内のものですが)。
これはただ単に広告に目を通して『これは好きだ』とか『これは好かん』といってすませられる問題ではありません。
建設的な批判でなければならないのです。
そしてこの批判も私の仕事の一つです。
代理店がつくる数多くの作品のすべてに自分を注入することはできません。
でも、とにかくいったん、自分の名前を出さない社長のいすにすわってしまうと、あきらめなければならないのは、自分のエゴですね。
社長職というものの性格でしょう。

私はさみしくはありません。実際、これまでよりもずっと仕事に密着しているくらいです。
私は、全部門に密着しています。
というのは、私の責任はY&Rの全部門のあらゆる焦点を密接に担当することなのですから。
でも、いつもすべてのオフィスに顔を出すということはできないので、
目を通したり、仕事の委任ということでやりくりしています。
私は権限の委譲ということに絶大な信用を寄せています。
優秀な人間に働いてもらい、仕事をやらせるというやり方です。
ご存じのように、私は気にするタチではありませんから--。
シュミット氏は、アート部をマネージしています。
私は、アート部がうまくマネージされている部だということは知っています。
そして、私たちは、彼がやっていること、マネージングしていることについて
議論するための時間を取ることはほとんどありません。
もし何か間違ったり、問題が生じたりしたら電話をかけてくるでしょうから。
結局、私をとらえるものができなくても、彼ら自身の手で解決に当たるでしょう。
私は委任しているのです。
Y&Rはワンマン会社ではないのです。
委任という形がうまくいくような機能を備えた会社なのです。
この権限の委譲の結果、自由になる時間がたくさんできますし、その時間に
ジェローやイースタン航空、グッドイヤーなどのためにアイデアを考えつくことも
できるのです。
そしてアイデアを考えつくことができれば、尊敬の念をより多く若い人たちが持ってくれる
ことになり、私と一緒に働きたい人がふえるというわけです。
とにかく実務から遠ざかった感じなんかしませんよ」


この項、おわり




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