創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(749)[創造行為の四段階説](4)

 

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国内Y&Rの社長であったステファン・フランクフルト氏が
1962年11月4日に東部地区AAAA年次大会で行ったスピーチより


創造行為の四段階説 (4)


第四段階 棄却段階


自分の制作した作品に関して正しい評価のくだせる人とそうでない人とあります。
後者の味方をして「だれだって自分自身の作品に客観的になることなんてできない
さ。だから、スーパバイザーとか、レビュー・ボードとか、コソタクト・マンとか、そう
いった手合いの人を置いているんだ」なんていっていますが、この間題を正視して
みましょう。
自分自身の作品の評価のできる人は、できない人よりもずっとプロだといえます。


棄却段階では、クリエイティブな人種は、思いついたけれども悪いアイデアを棄て、
もっとよいものを見つけ出すことをしなければなりません。
自分の作品がみなすぐれて見えるような人は、自分をごまかしているのです。
結局はどこかで、抜け目のない広告マンによって、そのウイークポイントは見破ら
れてしまって、また戻されてしまうことになるのですから、かえって自分を一層
いら立たせることになるだけです。
他人に指摘されるよりは、自分でウイークポイントを見つけたほうがどんなにい
いかわかりません。


この判断あるいは、棄却期間を過ぎれば、残ったアイデアが、鉱山師の平鍋の中の
金のようにキラキラ輝き始めるかもしれないし、何も残らず、また最初から始めな
ければならないかもしれません。
私たちのよく出合う落胆というやつです。
でも、またアイデアは生まれうるって予知していれば、そんなにショックではあり
ません。
生まれてきたら、前のアイデアにつぎを当てたり、つくろったりするよりは、最初か
ら全くやり始めたほうがずっとよいものが出来あがります。


この理論を述べたのは、私が一緒に働いているクリエイティブ人種が、オフィス外で
の時間を変わった映画や劇を見たり、本を読んだり、週末には出かけたり、美術展に
行ったり、いろいろな講義に参加したり、政治の話やその他自分の興味をひくものに
は、何にでも夢中になったりしてほしいからです。
したり、見たり、聞いたり、いったり、書いたり、動いたり……つまりできるかぎり生き
ていることを味わう……とにかく、それが多ければ多いほど、より深味のある作品が、
より簡単に生まれるようになるのです。


刺激的な経験は、物事を見、述べるのに新鮮な目を養い、かつまた、これが直接、広告
の読者およびテレビの観客を対象にどのように書き、どのようにデザインするかとい
う表現解決につながるのです。


クリエイティブ人種という言葉を用いましたが、これは、ライターやアーティストだけ
に適用されるものではありません。


今や私たちは競争経済時代に生きているのです。
今日の競争には、イマジネーションと革新が、あらゆる面で不可欠なのです。


代理店の機構にあって、最もクリエイティブな人は、コンタクト部門や、メディア部門に
置いておくべきでないといったり、偉大なアイデアでも、クリエイティブ部門外の人のも
のだとアートディレクターがつくったレイアウト用のアイデアよりも、価値がないといっ
たりするのは間違っています。


このスピーチは完了.




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