創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(728)クロード・ホプキンズ『科学的広告法』こだわり(18)


坂本 登さん訳『科学的広告法』(1966.10.05 誠文堂新光社)より


クロード・ホプキンズの名言(12)


第14章 配品の問題――から(下)



「一新聞の総発行部数中、その半数は郊外の町に流れるかもしれない。
この場合、もしサンプルを市内の商店だけに配給していると、発行部数
の半分、すなわち郊外に流された分がむだになる。だから郊外居住者に
は、郵便でメーカーに直接請求するよう、クーポンにその旨を明記して
おく必要がある」


「請求を受けたメーカーは、これまた直接請求者にサンプルを郵送して
はならない。まず市内の引換え店に送り、その店を請求者に案内してや
ることだ」


「引換え店でサンプルを引き換えさせれば、その後の消費者と小売店
の結びつきは楽になる」


「広告主の多くは一人もセールスマンを使わずに、全国にわたる製品の
配送を達成している。それも短時日にである」


「新製品の発売にあたって、すべてのディーラーに商品を2個〜3個、
贈物として進呈する広告主がいる。いくら無料奉仕品だからといっても、
広告しなければ効果がない。そこで広告費が必要になる。それにこの奉
仕品のコストを売上高に加算してみたら、ディーラー1店当りの販売コ
ストはかなり高いものになろう」


「委託販売を目的として小売店に製品を送りつけることは、あまり広く
行なわれてはいない。ディーラーの多くはこれを憤るし、だいいち集金
が容易でない。それに商業主義に反するこのやり方は、ディーラーにそ
っぽを向かれる」


「上述したいろいろな方法は、適用できる品種のために、いままでに発
見されたものの中では最善の方法であるが、むろん他の業種にあっては
これと違った方法が要求される。しかしその細目にわたってまでは、と
うていこのような著述では説き尽くせないので、ここでは省略する」


「これだけは忘れないでもらいたい。製品が商店に行きわたらないうち
に広告してはならぬこと、製品を広く行きわたらせるにしてもあまり経
費のかかる方法はとらないこと、動きの遅い旧式な方法もとらないこと
である。時間のロスは販売コストに大きく響くばかりでなく、積極的な
競争相手に先手をとられないとも限らないからである」


「諸君の製品には何が最良の方法か、それを知るために経験豊かな専門
家の門をたたくのはよいことである」

この章、完。