創造と環境

コピーライター西尾忠久の1960年代を中心としたアメリカ広告のアーカイブ

(730)クロード・ホプキンズ『科学的広告法』こだわり(20)

坂本 登さん訳『科学的広告法』(1966.10.05 誠文堂新光社)より


クロード・ホプキンズの名言(14)


第16章 ディーラーにたよる――から



 消費者をつかむ対価


「たいていの業種においては、ジョパーやディーラーの積極的協力にあ
まりたよれないものだ。扱い品目が多くて、忙しすぎるからである。し
かも広告商品の利幅は概して大きくない」


「一般のディーラーがやっていることは、諸君のすることと少しも変り
がない。彼らが努力するとすれば、それは彼ら自身のブランドに対して
であって、他人のブランドではない」


「ディーラーは、しばしばこのような実情とは違った印象を諸君に与
えようとする。つまり、特別に努力を払っていることを口実としてなん
らかの援助、もしくは譲歩を要求してくることである」


「たいていの製品では、ブランド転換者を出さずに売上げを高めること
はあまり期待できない。広告のような、確信にみちびく材料でつかんだ
販売は、常客をつくる見込みがあるが、偶然の勧告によって購入した客
は長続きしない。この次は、だれかが別の勧告をするからである」


「広告主に帰すべき収益が、適切な見返りを伴わずによそに散ってしま
うこともよくある。割引や報奨にこうした収益が使われるくらいなら、
新しい消費者の獲得に使った方がはるかに効果がある」


「報奨として製品の一部を無料提供するにしても、広告主自身の努力に
よってこれを宣伝しなければならない。前述のように10ケースのうち
1ケースを無料で提供すると、これと同額の見返りを得るためには10
パーセントだけ余計に広告費を使わなければならないことになる」


「製品がディーラーにとって都合のよい商品であれば、だまっていても
それぐらいの量は仕入れてくれるはずである」


「広告主のカネが、これ以外のディーラー援助の名目で、つまらぬこと
に散ってしまうこともよくある。ウインドー・ディスプレイ、あるいは
店内ディスプレイなどがそれである。リマインダーとして効果のあるウ
インドー・ディスプレイは、ディーラーによっては売上げを高める上に
欠かせないものになっているが、広告主にとってはすこしも売上げに響
いてこない」


「このような事実をいろいろ見つけ出す努力が肝要である。費用のかか
るディスプレイが案外と無意味に終わっているような品種が多いものだ。
経験を積んだ広告主の間には、ディスプレイ類にカネをつぎ込まないも
のがふえる傾向にある」


「このような面にカネを使うのは、昔流行したパブリシティによく見ら
れたものである。陰徳を施して見返りを期待する、いわばエビでタイを
釣るというやり方で、このような広告はふた昔も前のものである」


「今日では、いろいろな問題をテストにかけている。そして、コストと、
あらゆる形態の支出の結果とを比較検討している。その方法は簡単であ
る。おかげで、非常に多くの巨額の浪費が防止されている」


「すべて広告の目的は、利益を食われないだけの費用で新しい客を獲得
することにある」


「諸君は自ら売り、自ら成功をつかまねばならない。ディーラーにより
かかるのは自らの努力不足を暴露するものだ。ディーラーが注文を満た
してくれたら感謝すればよい。浪費はなんとしても避けねばならぬ。
武器弾薬は最も効果のあがる場合に投入すべきものなのである」


この章、完