(729)クロード・ホプキンズ『科学的広告法』こだわり(19)
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坂本 登さん訳『科学的広告法』(1966.10.05 誠文堂新光社)より
クロード・ホプキンズの名言(12)
(この全文は、アド・エンジニアーズのクリエイター全員に社内研修資料として配信される予定です)
第15章 テスト・キャンペーン――から
「およそどんな問題でも、テスト・キャンペーンによるときは費用も安
く、迅速に、そして最終的な解答が得られる。これが問題解決の道であ
って、テーブルを囲む議論によって得られるものではない」
「最後の審判官――諸君の製品を買ってくれる人びとなのである」
「どんな商売でも、新しい計画を立てるとまず浮かんでくるのは、どう
したらもうかるように売れるか、という問題である。諸君も、諸君の友
人たちも、その製品が好きかもしれない。だがそれよりも好かれ、さら
に安いのが他のライバル製品であるかもしれない」
「ライバル製品は抜くべからざる堅固な要塞で防御されているかもしれ
ない。要塞からユーザーを引き抜くことは、負担しきれないほど費用が
かかるかもしれないのだ」
「人びとは、一度は買ってくれても、繰り返し購入してくれるという保
証はない」
「広告の世界ではびっくりするようなことがよく発生する。諸君が一笑に
付した計画が、意外にも大成功をおさめることもある。自信満々の計画が
むざんにも敗北を喫することもある。すべては、好みが人によって違うた
めである」
「大衆の欲求を知りつくし、そこに平均的な見解をつかむなどということ
はだれにもできっこない」
「昔は、広告主が自分の考えだけをたよりに冒険をやっていた。それだ
けに正しい判断を下した者が少なく、的をはずした人のほうが多かった」
「いってみれば、この時代は広告の悲劇時代だったのである」
「今日、われわれは千人の反響をもって百万人の動きを知るようになった」
「顧客千人当りのコストを算出すれば百万人のコストがほぼ正確にわかり、
千人が何を買うかがわかれば百万人の購買傾向もほぼ正確にわかるのであ
る」
「われわれは小規模の平均を抽出しているが、この平均でコストも、売上
高も、損益もわかるし、どれだけ早くコストの元が取れるかもわかる」
「一つの計画を実施するにあたって、まず4つか5つの町を選んでその計
画を実験してみる。1日も早くユーザーをつかむ手段として、サンプルを
提供したり、実物見本を無料で提供しながら出発時の顧客1人当りのコス
トを算出する。そして、ユーザーたちがはたして製品を買ってくれるかど
うか、しばらく様子を見る。もし買ってくれたなら、今後も継続して買っ
てくれるだろうか、どれくらい買ってくれるだろうか、売上げ利益が販売
コストを回収するまでにはどれくらいの期間を要するだろうかといった問
題を調べてみるのである」
「このようなテストを行なうのには3千ドルから5千ドルの費用を必要
とするだろう。だが、よしんばその製品の人気が出なかったにしても、
かけた費用の全部がむだになることはない。ある程度の売上げはあるは
ずだからである。それに、ほとんどすべてのテストは遅かれ早かれコス
ト総額を回収することになるだろう」
「ある人が、広告すれば売れること疑いなしと確信する製品を持ってい
たとする。ところが、全国広告では大がかりすぎるし、費用も大変だと
いうので、思いきってそれができない。彼は、大事をとって、一発で百
人を射止める小規模作戦に出る。もし製品が売れてくれれば、これでも
数百万ドル(?)のもうけはあるし、仮に失敗しても損害はたいしたこ
とがない」
「この事実こそわれわれが大いに強調し、また広く知ってもらいたいと
念願するものなのである。われわれの大手アカウントはみなこうした小
規模のスタートで今日の繁栄を築いてきた。なるほどこの方法に間違い
はない、と実業家たちが悟ったとき、他の幾百という人びともこれにな
らってくれるだろう。それにしても、商運の開拓を願いながらこの点に
目ざめない人びとが、今日、いかに多いことか」
「テスト・キャンペーンのもう一つの役割はこうだ。平凡きわまる広告を
続けている広告主があったとしよう。これを見てある広告代理店が、われ
われがやればもっと成果が上がるのに、と感じる。そこで、一般のキャン
ペーンを妨害することなく2,3の町をテスト・マーケットに選び出し、一
般キャンペーンとその成果を比較しながらすぐれた手並みのほどを実証して
みせるだろう」
「仮に、ある化学者がただばく然とこの薬は良い、あの薬はもっと良い、など
と言っても、諸君はこの化学者の言にあまり尊敬を払わないかもしれない。だ
が化学者は、どっちの薬が良いかを知るためには、少なからぬ――ときには
数百回に及ぶ――テストを行なっているのだ。いやしくも化学者たるものが、
実証を待たずにどの薬が良いの悪いのという判断は下さないはずである」
この章、完。