創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(710)クロード・ホプキンズ『科学的広告法』こだわり(10)

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坂本 登さん訳『科学的広告法』(1966.10.05 誠文堂新光社)より


クロード・ホプキンズの名言(4)


第6章 広告心理 ――から



「心理学を理解することは、アドマンの常識である。これは、どれほど
知っても知りすぎるということがない」


人間性は不変である。たいていでは、今日の人間性もシーザー時代の
それも、ちっとも変わっていない。この意味からしても、人間心理の原
理は不動不変といえよう」



「好奇心は人間にとって最も強烈な刺激の一つである、ということを学
ぶ。するとわれわれは、機会あるごとにこの知識を利用する。
"はじき小麦″や"はじき米”が大いに成功したのは、この好奇心を利用し
たからである。《普通の大きさより8倍も大きくふくらんだ穀物》《鉄砲
からはじき出されたシリアル》《1億2,500万の蒸気爆発を起こした
穀粒》……このような好奇心をゆさぶる要素が発見されるまでは、失敗つ
づきだった」


「値段の安いことが決して強い魅力ではないことを学ぶ。アメリカ人は元
来がぜいたくにできていて、掘り出し物は喜んでも、安物は喜ばない」


「大衆が値段によって判断することを学ぶ。彼らは商品学の専門家ではない
からである」


「英国立美術館に、75,000ドルもするという高価な絵画がある。たい
ていの人はそれを知らずに、最初はちょっとながめただけでその場を通りす
ぎてしまう。あとで案内書を読み、その絵の値段を知ると、もう一度引き返
えして絵の周りにむらがり集まる」


「あるデパートが、復活祭の売出し期に1個1,000ドルの帽子を広告した。
するとこのデパートの売り場は1,000ドルの帽子を見たさに集まった女性
でいっぱいになった」


「非常に価値のある処方薬を広告する場合に、単に価値のある点だけを述べた
のでは読者に強い印象を与えないかもしれない。そこで、一つの事実として、
その処方に10万ドルも投資したことを明記してみる。広告は大いに注目を集
めた」


「ある会社が、ディーラーの署名入りの保証書を提供することによって一躍財
をなした。ディーラーが、もし商品に満足がいかない節は代金をお返しする旨
を文書によって同意したのである。遠隔地にある名も知らぬディーラーではな
く、すぐ近所のディーラーが保証したのである。結果が大成功だったので、
この方法を真似るものがたくさん出てきたが、どの例もみな効果をあげていた」


「《一週間おためしください。お気に召さない節は、ご返金申し上げます》。
ところが、手付金を全然とらずに商品を送りつけることを考え出した会社が、
《お気に召したら、一週間以内に代金をお払いください》とやった。これは、
上のものより何倍もの効果があった」


「今日では、葉巻タバコ、タイプライター、電気洗濯機、書籍など、かぞえき
れぬほどの商品がこのような試用支払い方式で見込客に送りつけている。そ
して、大衆は正直であり、損害はきわめて少ない、ということを学んでいる」


「ある広告主が、実業人を対象とする一連の図書を発売した。ところがその広
告はあまり成果があがらなかったので、別の専門家に相談をもちかけてみた。
もちろん、広告に悪いところは何もなかった。
専門家は言った。「この広告にちょっと手を加えてみようじゃありませんか。
購入者に対し、書籍にいちいち本人の名前を金文字で入れてやるという申し出
を添えることなんですよ」と。はたせるかな、何十万冊も売りつくすことがで
きた」


「得意先や見込客あてに、メモ帳のようなちょっとした贈物をする会社
が多い。だが、それだけでは効果があまり期待できない。そこである人
は、次のような趣旨の手紙を送った。すなわち、当社はあなたのご芳名
を入れた皮表紙の手帳を用意しましたが、その手帳はあなたからのご要
求をお待ちしております……と。もちろんこの手紙には、名入り手帳の
中込用紙とアンケート用紙が同封された。このアンケート用紙には、相
手が購入を希望する商品をチェックできるように商品名が列記してあっ
た。
 こうして案内状を受けた人たちのほとんどすべては、手帳の要求と質
問事項に対する回答を書いて送り返してきた。人間というものは、何か
自分に属するものがあると―――しかも自分の名入りとあっては―――
たとえそれがつまらぬものであっても、手にいれたがるものである」


「類似品には広告主も、ほとほと手を焼いている。その対策として《類
似品にご注意》、《このマークでお選びください》などと呼びかけはす
るが、あまり効き目はない。これは利己的な訴求だからである。
そこで手を変えた。《類似品もためしてみてください》という文句を
ヘッドラインに使ってみたのである。類似品おそるるに足らず、ぜひ比
較してもらいたいというわけだ。退勢は挽回できた」


「広告主2社が、ほとんど同じような食料品を売り出した。ところが、
片方は発売記念として現品をいくつか無料で進呈し、別の広告主は逆に
その代金を支払った。つまり、どこの小売店でも引き換えられるという
クーポンを広告につけ、引換え商品に対してはメーカーが小売価格で買
い上げ、その代金を小売店に払い戻したのである。
いうまでもなく、第一の広告主は失敗し、第二の広告主が成功した。
第一の広告主はこの企画に失敗したばかりでなく、これまでの取引先を
多数失い、また1個15セントの商品を無料で進呈したことによって、
その商品を安っぽいものにしてしまった。一度無料で提供した品物に対
して、あらためて代金を払うことはなかなかできないことである。ちょ
うど、定期券で電車に乗り、目的地に着いてから乗車賃を払うようなも
のだからである。
ところが第二の広告主は、消費者に商品を使ってもらうためにその代
金を小売定価で補償することによって、商品に対する関心を大いに高め
ることができた」


「サンプル提供についても、同じことがいえる。望まれもしない製品を
家庭の主婦に進呈したところで、意味はない。彼女はその製品の長所を
知ろうという気持になっていないからである。ところが、諸君の広告を
読んで彼女のほうからサンプルが欲しいと申し出るように仕向けると、
事情は一変する。彼女は諸君の主張を知っている。そうでなければ、反
応が生じるはずはない。しかも彼女は、諸君の主張がどこまで本当かを
ためしたがる」


「知的印象づけには大きな意味がある。全く同じような商品を5人の人
間に見せてみると、五人はそれぞれに自分のいいと思ったものを選ぶだ
ろう。ところが、何か一つ注意をひくような特長を特定の品物にあらわ
しておくと、全員がその特長を発見し、5人が5人ともそろってその商
品を選ぶようになる」


「精神的な印象づけによって人を病気にしたり、健康にすることができ
るものだとすれば、同じ方法で特定ブランドに好意をもたせることもで
きるはずである。しかもある種の製品では、これが唯一の方法にさえな
っている」


「二つの店が、隣合わせて婦人服月賦販売の広告を出した。訴求方法
は、いいドレスを着たいと願う貧しい女性を狙ったことはいうまでもない。
ところが、別の会社がとった方法は違う。まず、母のようにやさしい、
しかも威厳のある有能な女性を担当係員に選び、彼女の写真を広告に掲
載するほか、いっさいの広告、手紙類も彼女に署名させた。貧しい女性
たちにあてた手紙は、さながら友達のような親しみをこめて彼女が書い
た。りっぱなドレスを着たくも着られない貧しい女性の気持は、彼女が
一番よく知っていたのである。そこで、事情によってさまざまな分割払
いを認めながら貧しい女性たちに上等なドレスを買わせるチャンスをつ
かむまで、根気よく努力を続けた。かくしてついに彼女は、(もちろん
その背後には男性の援助があってのことだが)この販売に成功したので
ある」
(隣合せのライバルだった婦人服の老舗がこの商売から手を引いたのは、
それから間もなくのことだった)





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