創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(631)[ニューヨーカー・アーカイブ]を基にエイビス・シリーズ(23)

4日前---9月17日に掲示したばかりの広告原稿だから、覚えていらっしゃる方が多いはず。
(もっとも、毎日アクセスなさっている方はほんの200人前後で、1週間分をまとめ読みって方も少なくはないみたい。
ほんとうは、これだけの超一流---年に何本もお目にかかれないような秀作は、1日ずつ、じっくり対面してこそ、身につくのですが---老爺ィ心まで)


それはともかく、4日前に掲示したのは、1965年4月31日の『ニューヨーカー』誌に掲載のもの。
こちらは、4ヶ月後の8月14日に再掲載されたもの。

同原稿を再掲された理由(わけ)を推察しますと、バッジをもって帰ろうとした多数の客(客ではない人も)が、「ピンつきじゃないじゃないか。(2年前の)広告に出していたピンつきがほしい」と受付カウンターの女性を脅迫したんでしょうね。


で、エイビス側は、この広告を展示スタンド風にし、バッジ容器の隣に置いた---というわけ。
(エイビスほどの目立つ広告でも(しかも、エイビスのレンター(借り手)であっても)見ていない人がそれほど多いってのは---?????)



エイビスの持ち帰り自由のボタンは、
ほとんど
底をつきました。


左:古き良きボタン 右:簡素な新しいボタン


ボタン5,000,000個以上。
1個2.5セント、合計で125,000ドル。2位にすぎないということをいうための大出費。
だから、ボタンを補給する私たちの担当者は、簡素なバージョンに切り換えました。しかし効果は相変わらず誰にでもあることを保証します(担当教区の300人を良い行いへと導こうとするアフリカの司教さんでも)。
単にボタンをつけているだけで、世界は自然に住みよい場所になっていくかもしれません。
しかし、ボタンをつけるよりもっと肝心なこと。
エイビスは、受付の女性がボタンをつけたからといって、奇跡を期待してはいません。エイビスは、勝つ意志を持っており、それがみんなの胸に刷り込まれています。受付の女性にも、葉巻の吸い残しをフォードからつまみ出す男子従業員にも。
エイビスのボタンはお望みの方には差し上げています。
このボタンが効果を発揮するのは、書いてある言葉どおりに、身につけている人がしっかり働いているときにだけですから、念のため。


C/W デイブ・ハーツブロン David Herzbron
A/D へルムート・クローン Helmut krone
"The NEWYORKER" 1965.08.14


(訳:梅地沙史 & chuukyuu)