創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(330)[ニューヨーカー・アーカイブ]によるビートル・シリーズ(20)

ケーニグ氏の退社により、それまでカタログ関係のコピーを書いていたレブンソン氏が登用された。もちろん、しばらくは老練のダヴィッド・ライダー氏が介添えした。レブンソン氏は高校で国語(ということは英語)の教師をしていたから、呑み込みは早かったが、それ以上に特技があった。ユーモアである。ビートル風といわれている文末の「クリッチック(皮肉っぽい捨てゼリフ)」。レブンソン氏にいわせると、それは、ビートルの広告でしか使っていないということだが、それにしても印象的でありすぎた。
1962 1/2型というからには、新車の発表時期の相当前に掲載されたのであろうと推測していたが、今回、3月17日号と判明。


2日前---5月14日分に、関連するTV-CMを追加しました。


1962 1/2フォルクスワーゲン


フォルクスワーゲンに改良するところを発見したら、改良します。
ただちに、どの部分も---です。
もし、きょうあなたが、最新のフォルクスワーゲンをお求めになれば、あなたは、まったく新しいステァリング装置つきのフォルクスワーゲンをお求めになったことになります。
いわゆる、操舵感覚がぐんとよくなっているので、やはりVWはハンドル(操縦)しやすいとお感じになるでしょう。
私たちは、この装置を、いそいで取りつけようとはしませんでしたし、間に合いもしませんでしたから、'62年型にはついていません。
でも'63年型まで待たないで、さっそく新採用しました。
私たちは、この15年間に数千ヶ所に及ぶ改良を加えてきました。が、VWを廃物化するためのものは一つもなく、つねによりよくするためにだけやってきています。
「なぜ、ほかの車のように毎年スタイルを変えないのか」と、よくおたずねになります。
答えは簡単---1年に1回の改良では不十分なのです。


C/W ボブ・レブンソン
A/D ヘルムート・クローン


"The NEWYORKER" 1962.03.17




The 1962 1/2 Volkswagen.


When we find a way to improve the Volkswagen, we do it.
Then and there.
If you went out to buy a new VW today,you'd get one with on entirely new steering mechanism.
It gives you on even better sense of touch with the road and makes the VW still easier to handle.
We weren't in any rush to put it on our '62 model; it wasn't quite ready.
And we're not waiting for the '63 VW to come out; it's ready now.
We've made thousands of changes in the past 15 years. But not one has ever made a VW obsolete; only better.
People sometimes ask us why we don't change our car once a yeor like everybody else.
The answer is simple: once a year isn't always enough.


C/W Bob Levenson 
A/D Helmut Krone


"The NEWYORKER" 1962.03.17