創造と環境

コピーライター西尾忠久による1960年〜70年代アメリカ広告のアーカイブ

(435)ジェリー・デラ・フェミナ氏とのインタヴュー(7)


【用法】アリスは、土手の上で、お姉(ねえ)さんのそばにすわっているのがもとても退屈になってきました。おまけに何もすることがないのです。一、二度、お姉さんの読んでいる本をのぞいてみたけれど、その本には江もなければ会話(かいわ)もありません。ルイス・キャロル『不思議の国のアリス福島正実訳 角川文庫


(chuukyuuのつぶやき:広告コピーに会話体が少ないのは、なぜなんだろう? 読み手からの応答を明らかにしてしてしまっては、実もふたもなくなるくからかな。




デラ・フェミナ トラビサノ&パートナーズ代理店
社長当時


<<ジェリー・デラ・フェミナ氏とのインタヴュー(1)


広告の第一条件は、人の注意を引くか、ということ


chuukyuu「2,3年前に、プロの立場から広告を分析するといった内容の話をされたことがありましたが、ここでもう一度その話を繰り返してはいただけませんか?」


フェミナ氏「よくは覚えていないのですが、たぶんそれは、『人の注意を引くものであるか否か』といった点から広告を分析した話だったと思いますが、たぶん、つぎのようなことを話したものではないですか---広告をつくるのに当たってもっとも大切なのは、『それが人の注意を引くか』ということです。
というのは、わざわざ広告を読むために雑誌を買っている人など、どこにもいないからです。
そこで私たちがしなくてはならない最初の仕事は、人びとの関心を引くことなのです。


私は広告を見るたびにこんなひとりごとをいいます。
『これは人を引きつけるかな? 何か面白そうだから、奇抜な写真が載っているからということで、ここに目を止めるだけでなく、これを読んでくれる人いるかな?』と。


さて、つぎに大切なのは、『十分相手に伝わるかどうか』という点です。
私たちの紹介が完壁なものであるなら、人びとは紹介された商品を明確に知るのです。
今日、莫大な数にのぼる広告がこの世の中でひしめき合っていますから、人びとはとかく混乱に陥りやすく、広告されている商品がなんであるのかを知ることからしてなかなかむずかしいのです。
商品そのものを明らかにする、これが2番目に重要なことです。


3番目に大切なのは、『その商品の使用目的は何か。働きは何か。どんな利益をもたらすのか』といった点を、できるかぎりハッキリした形で紹介することです。
今日、広告のアート性、ビジュアル性を強調する傾向が非常に強く、広告本来の姿は遠くに押しのけられてしまっています」


1970年春に再び訪問してみて、ジェリー・デラ・フェミナ&パートナーズ杜という社名が、デラ・フェミナ・トラビサノ&パートナーズ社に変わっているのに気づきましたが、あえて、トラビサノ氏が何者なのかは尋ねませんでした。
このインタビューは、あくまでもコピーライターであるデラ・フェミナ氏が対象なのですから。


>>(8)好きな作品