(436)ジェリー・デラ・フェミナ氏とのインタヴュー(8)
『中原中也記念館』は、生地に建っている(山口県山口市湯田温泉1-11-21)。立ち寄ってきた。館内にはI氏と2人きり。
愛児・文也(2歳)の遺体を抱き、納棺を拒んだという日の日記(昭和11年7月24日)の一部。
【用法】俺の蔵書だけは、売らぬこと。それには、色々な書き込みがあるし、今から五十年あとだって、俺の蔵書だけを十分読めば詩道修行には、十分間に合う。
『中原中也全集 第5巻』 角川書店
(chuukyuuのつぶやき)〔詩道修行〕を、〔広告クリエイティブ道修行〕と置き換え、当ブログで言えたらなぁ---。
デラ・フェミナ トラビサノ&パートナーズ代理店
社長(当時)
どうやってつくったか覚えていない好きな作品
chuukyuu「おつくりになった広告の中で、もっとも気に入っているものを2つ挙げてください。その理由とそれにともなうエピソードもつけて---」
フェミナ氏「そうですね。私の好きな広告の一つは、タロン・ジッパーです。
タロンというのは、ジッパー会社なのですが、この広告で私たちがとくに強調しなければならなかったのは、この会社のジッパーは自然にはずれる心配がなく、いつもきちんとしているという点でした。
これは、ロで説明するのがかなりむずかしいテ-マなのです。
気にいっている理由は、こうしたテーマであるにもかかわらず、人にいやらしさを感じぜないばかりでなく、逆におもしろおかしいユーモアを感じさせることができたからなのです。
ここに登場するのは、ピッチャーズ・マウンドに何とも落ち着かぬ様子で立っ少年で、彼はキャッチャーが何か言おうとしているので、
『どうせあいつは、ボクの速球の切れが悪くな?たって言うlこ違いないんだ。
いったいボクのどこが悪いのかっていってやりたいよ』
と文句を並べます。
そこで、ピッチャーに近づいたキャッチャーは、『君のあそこが開いているよ』と耳うちして、ポジションにもどっていきます」
「これからって時に、タイムを要求するなんて---いったい何しにくるんだろう。
どうせ、〔代われよ〕ってなことを言うんだろう」
「ボクの速球の切れが落ちているとかいってボクを驚かす気なんだろう。
とにかく、ボクをガタガタにするようなことを言いくるんだ」
「社会の窓が開いてるぜ」
タロンは、あらゆる年代の野球好きの人のためのナイロン・ジッパーをつくっています。絶対に下がらないジッパーです。
chuukyuu「この広告、地下鉄にも吊してありましたね」
フェミナ氏「そうです。これは、いろいろなところに載せられていました。この広告は、私とアートディレクターが組んでつくったのですが、おかしなことに、2人ともどうやってこれをつくったのかよく覚えていないのです。
トントン拍子に仕事が進んで、アッという間にできあがっちゃったんです」